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2020年10月02日23:37

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「行き止まりの世界に生まれて」スケボーの若者たち 暴力と貧困から逃れて

ドキュメンタリーの舞台のラストベルト(錆付いた工業地帯)は、
トランプ大統領の票田地帯と言われている。
トランプに期待を寄せた貧困層の人達は、彼の政治をどう見たのだろう。
折りしもトランプ夫妻のコロナ感染(予測通り)のニュースが伝わってきた。

「行き止まりの世界に生まれて」
http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=10258677&id=5016579

http://www.bitters.co.jp/ikidomari/

イリノイ州のロックフォード、以前は栄えていた工業地帯だが、
いまや、仕事も無く寂れた街に暮らす3人の若者。

中国系のビンは、義父から暴力を受け、母は庇ってくれなかった。
15歳の時から、スケートボード仲間3人のビデオを撮り始める。
彼らにとってスケボーは家庭から逃れる唯一の居場所。

勢いよく滑り、転んでも笑って立ち上がる。時にはボードに当たって
へし折ったりもするが、彼らの笑顔は無邪気で明るい。
この後々を、その頃のビンは想像もしなかったことだろう。

黒人のキアーは、末っ子。兄に暴力を振るわれお金を盗まれたり。
親は離婚、父親は亡くなっているが、暴力を振るわれたこともあった。

白人のザックは、母親は幼い時に離婚して、父親と継母に育てられる。
父親は大工を継いでほしかった。よく暴力を振るう。

良い就職口も無く、キアーは皿洗い、ザックは屋根職人、
彼らは貧しさや暴力を一瞬でも忘れられるスケボーに打ち込む。

「スケボーはコントロールする能力が必要だ」と語る。
「人生もコントロールしなくては」。

白人の若者たちが黒人について、「白人だって逆差別を受ける」
「いや、それは違う」と語り合うのを黙って聞いているキアー。

こんなだったら、グレても仕方がないかも…と思うほどに、
殴られて、高校も出てなくて、あがき続ける姿が痛々しい。

ザックは、ネグレクトされて育ったらしいニナと結婚し、
子供も生まれるが、ニナが働き始めると家事と育児で喧嘩ばかり。
「ビッチなら殴ってもいいだろ」と暴力の連鎖が…。

家族を養うために、屋根職人よりも良い仕事につきたいと、
高卒認定試験を受けるが、質問さえ理解できないザック。

ニナはザックの暴力に子供と家を出て、伯母の家に転がり込む。
伯母夫妻に抱きしめられて、ニナの心はほぐれていく。
しかし、子供が可愛くて仕方がないザックの元には、戻らない。

キアーは、父の厳しさは愛している故の躾だったと思い至るが、
父に捨て台詞をはいて家を出て、父と和解する間もなく父は亡くなる。
葬式以来だと、墓地で父親の墓を探すキアー。

ビンは、カメラをセットして、母親と向き合う。
互いの辛い思いを吐き出していく母親、そしてビン。

多くの賞を受けた、胸に突き刺さるようなドキュメンタリー。
行き止まりの世界を、彼らは突き抜けることが出来るのか。
彼らの挫折や困難の度に、祈るような気持ちで観ていた。★4.5

冒頭映像 彼らの解放感が伝わる。原題「Minding the Gap」


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