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2020年07月31日23:48

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「剣の舞 我が心の旋律」 ハチャトゥリアンの知られざる姿

ハチャトゥリアンというと、「剣の舞」と「仮面舞踏会」のワルツが思い浮かぶ。

「剣の舞 我が心の旋律」
http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=10258677&id=5000101

https://tsurugi-no-mai.com/

グルジア(現ジョージア)のアルメニア人家庭に生まれ、
民族音楽を聴いて育ったハチャトゥリアン(アムバルツム・カバニアン)。

1942年、39歳のハチャトゥリアンは、レニングラードバレエ団のため、
「ガイーヌ」を作曲していた。

しかし、演出家のニーナは細かくやり直しを出し、彼はイラつく。
弟子のゲオルギーと、ソリストのサーシャは、そんな彼をそっと応援する。

やっと仕上がったゲネプロの日にやって来た文化庁のプシュコフは、
最後を勇壮なダンスで締めくくれと、勝手な変更を命じる。

しかもサックス奏者のアルカジーに、ハチャトゥリアンの動向を探らせる。
このプシュコフには、ハチャトゥリアンを苛め抜きたい理由があった。

1日しかない。必死でピアノに向かい、ペンをとるハチャトゥリアン。
やがて彼の中に、外の列車の音がリズムを刻み、音が響き出す。

第二次大戦下のソ連の、暗い抑圧された重苦しい空気、
スターリン賞受賞で体制に認められていても、スターリンの恐怖政治下だ。

国家のためにとの命令に振り回され、従わざるを得ない芸術家たち。
万一、党のイデオロギーに反していると当局に指弾されたら、
芸術活動の禁止のみならず、粛清の対象となるかも知れない。
(事実、後年、彼はショスタコーヴィッチら共々「ジダーノフ批判」で
自己批判に追い込まれて、10年近く不遇であったとか)

故郷の草原や人々の明るさに救われる。
ヴァイオリニストのオイストラッフと、作曲家のショスタコーヴィッチと
彼の3人が飲み交わし、貧しいアコーディオン弾きを助けようと、
街角で四重奏を奏でてお金を集める場面がとても楽しい。

若い頃に有名なバレエ曲はかなり観たつもりだったけれど、
また「剣の舞」の部分だけは見ているけれど、「ガイーヌ」は未見だった。
集団農場の娘の恋といういかにもソ連の「社会主義リアリズム」のテーマ。

そして「剣の舞」が、トルコに蹂躙されたアルメニアの歴史だったとは。
ハチャトゥリアンの姿が、当時のソ連社会の中に描かれて興味深い。

「仮面葡萄会」のワルツは、浅田真央が2008〜10年頃にフリーに使った曲。


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