朝と午後の試写会の合間に、時間的にちょうど良かった1本。
東銀座→銀座→京橋と、歩いて回れる距離。
ごっちゃになりそう? 3本ともがらりと違っていて助かった!
「アンティークの祝祭」 ★3
https://clairedarling.jp
夏の朝、「今日が私の最後の日」と啓示?を受けた
クレール夫人(76歳のカトリーヌ・ドヌーブ)。
居合わせた若者たちに手伝わせて、長年集めて愛おしんできた
アンティークの家具や人形、置物、絵画などを庭に運び出してセール。
近所に住む友人のマルティーヌ(ロル・カラミー)からの知らせに驚いて、
娘のマリー(実娘のキアラ・マストロヤンニ)は20年ぶりに帰宅。
クレール夫人は、認知症が始まっていて、時々意識が過去に飛び、
アンティークの品々にまつわって、様々な思い出がよみがえる。
石切り場での辛い事故、そして夫との関係、娘との諍い…。
青年に一瞬「あなたも帰ってきたのね」と声をかける場面が切ない。
物って、人生に絡むと捨てがたくなる。
私自身はあまりコレクションをする趣味はないけれど、
それでも親から譲られた古い金襴の赤絵付けのお皿やお茶碗、
ベネチアやフランスで買い求めたガラス器などは旅の思い出。
「あの方から頂いた物」というのも、やはり大事にしてしまう。
下さった方のお気持ちを思うと、なかなか断捨離はし難いのね。
東京では蔵のある家に住むなんて、まずあり得ないのに…。
クレールも一度は庭に出しておきながら、取り戻したりもしている。
喜んで安値で買っていく人々、いつか無くした大事な指輪、象の時計、
神父様の大事な睡蓮の絵、物と人と過去のエピソードが入り混じる。
冒頭、時計の内部の歯車が回り、時を刻んでいくシーンがあるが、
流れていくクレールの人生の時間と、刻まれていく思い出の象徴のよう。
夫も息子も失い、娘にも去られて、20年をアンティークに囲まれて生きたのね。
白髪のドヌーブが、父親似の娘キアラとの共演。
実生活でもいろいろあったかな…と思わせるような母娘を演じる。
アンティークの品々は、ジュリー・ベルトゥチェリ監督の持ち物だとか。
それにしても、いさぎよく終わらせちゃったもの…。
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