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2020年03月20日21:42

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「恐竜が教えてくれたこと」 子どもが孤独を学ぶということ

原作はアンナ・ウォルツの児童文学「ぼくとテスの秘密の七日間」

「恐竜が教えてくれたこと」
http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=10258677&id=4930032

http://kyoryu.ayapro.ne.jp/

家族でオランダ北部のテルスヘリング島にバカンスに来た
11歳のサム(ソンニ・ファンウッテレン)。
「最後の1匹になった恐竜はどんな気持ちだったのだろう。
自分が最後の恐竜だって知っていたのかな?」と考える。

「僕は家族の末っ子だから、最後に1人で死ぬことになるんだ」。
そしてサムは、孤独になる練習を始める。
お父さん、お母さん、お兄さんと離れて1人で時を過ごす。

海岸で砂に足がはまり込み、抜けなくなった時、サムは死を意識したかな。
1人暮らしの老人に助けられ、「思い出をたくさん作れ」と言われる。

サムが孤独に過ごすために掘った砂浜の穴に、兄が落ちて足を骨折。
パパは本土の病院へ兄を連れて出かけてしまい、ママは片頭痛で寝込む。
1人になったサムは、サルサを踊るテス(ヨセフィーン・アレンセン)と出会う。

快活で行動力のあるテスは、母子家庭で育ち、母からは父は死んだと聞かされていた。
疑ったテスは父親に会いたいとFBで調べ、「懸賞に当たった」と密かに島に招待する。
父親は、テスの存在すら知らなかったが、ガールフレンドとやってくる。
テスを、父親はわが娘と気づくだろうか?

子どもは実存なんて言葉は知らなくても、自己の存在を意識し、悩むことはある。
思索的なサムは、家族も友達もみんないつかは死んでしまう…と考え詰め、
闊達なテスは、自分がどこから来たのかと、父に会って確かめずにはいられない。
子どもだからと言って、悩みも悲しみも大人より小さいとは限らない。

出てくる大人が、いろいろ癖はあるものの、みんないい人たちで、
子どもとの心のすれ違いはあっても、彼らの悩みには気づいていなくても、
子どもへの愛情がそれを補って余りある。だから優しい仕上がりになっている。

恐竜は出てこなくても、小学校の高学年くらいから大人まで楽しめそう。
登場人物が、そしてその関係が、それぞれ魅力的に描かれている。
小品ながらとても良い味わい。


もう30年くらい前の本だが、3度の大整理でも捨てられないでいた
『子どもが孤独でいる時間』や『育てるものの目』を、しばらくぶりに手に取った。
子どもへの考察は、日常に忘れている大事なことを思い出させてくれる。
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