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2020年02月02日11:35

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「母との約束、250通の手紙」 強烈ママの1人息子

この作品、人によって受け取り方が違うかも?
「こんなにも深く激しい母と子の絆、美しい愛」が、宣伝文句。
一流の音楽家にとか、目指せ東大ママ、ステージママいわゆる一卵性親子や、
親の叱咤激励を生き抜いた成功者には共感できるのかな? 私はダメ。

「母との約束、250通の手紙」
http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=10258677&id=4903823
https://250letters.jp/

モスクワからポーランドへ、母ニナ(シャルロット・ゲンズブール)と、
ロマン・カツェフ(ピエール・ニネ)は2人で逃れてきた。

ニナはこよなく息子を愛し、絵を描くことが好きな息子に
「音楽家になれ」と無理やりヴァイオリンを習わせ、
「画家は貧乏、死んでから有名になってもダメ」と描くことは禁止。

「おまえは作家になり、空軍で名誉を受け、フランスの大使になる」、
仲間と喧嘩をすると「喧嘩は女と名誉とフランスのために」
「母が侮辱されたら、全身の骨を折るまで戦え」。
少女に恋すると「大使になれば美女が寄ってくる」と追っ払う。

母子家庭で、ロマンを育てるお金を稼ぐために、一生懸命なのは凄い!
フランスのデザイナーに店を任されたと嘘をつき、
お針子を雇って頑張るが、あえなく破産。

母は憧れのフランスのニースに渡る。
そこでもロシア貴族の末裔だと嘘をつき、骨董屋にガラクタを
高値で売ろうと詐欺を企むが見破られ、却って助けられる。

成人になったロマンは空軍に入り、ホテルを営んでいた母は入院。
軍の行く先々、ロマンに母からの手紙が次々と届く。

母親からの手紙の言葉に、感情を動かされ涙腺をゆるめた人も、
最後のシーン、ベンチに座るロマンのセリフを聞き逃さないで!


高名な作家で外交官のロマン・ガリーの自伝というから、
その息子は、母の愛に応えて成功したとは分かっているものの…。
これで良く壊れなかったね〜、良かったね〜とため息。

この母親、一人息子に対し、とても愛情深いことは確かだ。
しかし、果たしてその愛は、息子を励まし、育てているのか?
 
それとも息子を追い詰め、壊しているのか…。
凄まじい努力で育てたと言っても、まさに支配的モンスターママ。
その母の過酷ともいえる願いに応えようとする息子は、マザコンにしか見えない。

しかし、彼女は、惨めな現実を見据えるよりは、生き抜くため、
勇気を得るために、嘘や子供に託す希望を必要としたのかも。
彼の作家としてのインスピレーションの源泉は、この母親の嘘にあるのかも?
ゲンズブールの存在感は、圧倒的。時代を追ってかなり重層的な作品。


ロマン・ガリーは「悲しみよこんにちは」の主演女優ジーン・セバーグが
のちに彼の作品を原作とする映画に出演したことから結婚しているが、
セバーグ40歳、ガリーは1年後66歳で、共に自殺で生を終えている。

彼の遺書には「大いに楽しんだ。ありがとう。さようなら」と、
あったのは救いだが、自殺であったことには変わりない。
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