mixiユーザー(id:10258677)

2020年01月07日00:12

303 view

2019映画ベストテン&候補とドキュメンタリーのベストスリー

2019年は試写会と劇場鑑賞を合わせて104本でした。自分でもびっくり。そのうち邦画は13本、観たいものもあったのですが…。ドキュメンタリーが16本でした。
選ぶのに迷いましたが、私が好きな映画、そこに描かれた人の生き方に共感したり心を動かされた作品で選びました。すごい!と思うけれど好きじゃないのは候補にも入れませんでした。たとえば悲しすぎる「ジョーカー」「ちいさな独裁者」など…。

1)「存在のない子供たち」
親はいるのに戸籍もなく、学校も行かせてもらえず働かされるレバノンの少年。妹を庇い、移民の赤ん坊の世話をする。「ボクを産んだ罪で」と両親を訴えたが、もし親のどちらかでも教育を受けていて僅かなゆとりがあれば違ったかもしれない。出演者たちもほぼ同様の暮らしで、撮影中も逮捕や収監されたという。格差の広がる世界で、痛みを覚えずにはいられない作品。

2)「ガーンジー島の読書会の秘密」
英国で唯一ドイツに占領された列島の1つのガーンジー島で続いている読書会。読書会をテーマに本にしたいと、掘り下げて取材していく若い女性が突き当たる島民たちの壁。そこに戦争の悲しみと残酷さが潜んでいたとは…。

3)「グリーン・ブック」
題は、米国の黒人用のホテルやレストランの旅行案内書と聞けば、それだけで見当がつくかもしれない。雇われた無学な運転手が白人で、尊大なご主人が知識階級の黒人音楽家。しかも差別意識の強い南部へのコンサート旅行。困難は目に見えている。彼らの乗った車を見つめる農場で働く黒人たちのシーンが忘れられない。人種を超える友情が生まれる過程に心を惹かれた。

4)「希望の灯り」
ドイツのライプツィヒ郊外のスーパーマーケットの巨大倉庫で働く人々。それぞれの過去、悩み、ささやかな喜び。人妻に恋する青年、旧東独の暮らしを懐かしむ人、孤独に苛まれる人。映像と音楽がマッチして深く響き、さほどのドラマもないのに胸がしんとして、忘れられない作品。

5)「僕たちは希望という名の列車に乗った」
東西ドイツの壁ができる寸前の東ドイツの高校生たち。ラジオを聞き、自由に憧れる。死亡と聞いたサッカー選手への黙祷が反政府的だと大騒ぎになるとは。そして当局の取り調べの卑怯なやり口。亡き父親を英雄と信じ、東独政府に忠実であろうとした学生の哀れさに胸が痛む。彼らは東独の政治体制下で生きることを拒否して、親とも別れ、亡命を決意する。

6)「マイ・ブックショップ」
海辺の小さな町で本屋を開いた女性。ところが地元の有力者の夫人にはそれが面白くなく、ことごとく邪魔をする。
人生は必ずしも自分が望むようには行かないことも多い。それでもそこに在ることで、知らぬ間に他者の心に種を蒔き、それが小さくても花を咲かせたり、次世代に芽生えたり。例え自分に結果は見えなくても、誠実に生きたいと思わせられる。

7)「風をつかまえた少年」
アフリカ、マラウイの村の理科好きの少年。学校に行きたいのを親は応援するがとても貧しく学費が払えなくなる。図書館に忍び込んで学び、廃棄物のゴミの山から風力発電を作り上げる。学ぶ、考える、工夫する、実行力、諦めない粘り強さ…日本全国の中学生に見せたい!

8)「アダムズ・アップル」
野原にポツンと立つ教会の牧師に預けられた出獄したばかりの粗暴な人たち。自身の人生のあまりの辛さに目を背けて、議論ばかり吹っ掛けている牧師がマッツ・ミケルセン。奇人変人のバイオレンス映画?と思って観ていたら、粗野な中に潜む優しさに胸をつかまれた。

9)「ROMA」
メキシコの医師の家で働くお手伝いさんクレオ。その家庭の夫の裏切り、クレオの恋人の裏切りと妊娠。大波にのまれかけた子供たち、人生の大波に襲われても、立場の違う女性2人は悲しみと苦悩を超えて助け合う。タイルを洗う水の上には、空が広がり飛行機は遥かに飛ぶ。モノクロの映像がとても美しい。困難があろうと日々を愛おしんで生きていこう。

10)「蜜蜂と遠雷」
4人の個性の書き分けが見事。それぞれ立場も音楽表現も違うけれど、心を通い合わせて、コンクールで競い合う。音楽も楽しめたし、さわやかな若者の成長物語。

―――――――
たくさんの候補
11)「よあけの焚き火」
狂言役者の父と息子、山の別荘にこもり、厳しい稽古をつける。それに応える少年。見とれるほどに美しいたたずまい。

12)「たちあがる女」
合唱指導者で、裏の顔は過激な環境活動家。とんでもない行動に呆気にとられる。シュールでコミカルな奇妙な味わいは秀逸。

13)「テルアビブ・オン・ファイア」
現実の厳しい情勢をユーモアで見せる。馬鹿々々しいのだけど何ともおかしい。同じドラマをイスラエル人、アラブ人が同じように楽しんでいる姿に、本当の世界でも一筋の希望はないのかと夢を抱かせる。

14)「残された者―北の極地」
マッツ・ミケルセンのほぼ一人芝居で、セリフもほとんどない。場面も雪と氷のみ。なのに、目が離せない緊張感は凄い。

15)「アマンダと僕」
孤児になった姪を育てることで、若い叔父も成長する。優しい思いやりに満ちていた。

16)「COLD WAR あの歌、2つの心」
ポーランドの男女の分かれと時を経ての出会い。ヨーロッパの歴史を感じさせるモノクロ画面が美しい。

17)「ホテル・ムンバイ」
等身大の普通の人たちが、恐怖の中でいかに人を守ろうとし、務めを果たそうとしたか。2008年のインド、ムンバイ同時テロの実話だというのが悲しい。

18)「ワイルドライフ」
プライドばかり高い父親と、彼についていくのに疲れた母親。つらい事実を受け入れざるを得ない少年の痛みが伝わる。親が大人になり切れない分、子供は早く大人にならざるを得ない。

19)「バジュランギおじさんと、小さな迷子」
迷子の女の子がとても生き生きと可愛い。イスラムの女の子をヒンズーの男性が、インドからパキスタンの村に届ける。バジュランギの実直さがいい!

20)「あなたの名前を呼べたなら」
インドの高級マンションで、傷心の若いご主人に仕える、若い未亡人の女中。彼女はデザイナーになりたい夢を持っていた。カーストの厳しい現実の中で夢を叶えようという努力に応援したくなる。

21)「ビリーブ 未来への大逆転」
女性差別を法的に正していく女性弁護士。夫婦や仲間の知恵の出し合い、支え合いが困難を乗り越えていく力に。

22)「幸福なラザロ」
無垢な青年と、彼を取り巻く村人は彼を利用する。そして村人も彼も街に出る。外から見れば明らかに利用されていると見えても、もっと深いところでは違うのかもしれない…。

23)「WEEK END/ウィークエンド」
ゲイの男性2人が出会い、週末を一緒に過ごす。理解されないつらい思いに寄り添う限りない優しさ。

24)「北の果ての小さな村で」
アイスランドの漁村に、本土デンマークから嫌々赴任してきた教師。そこに住む人々と触れ合ううちに彼はその地の文化に気づいていく。

25)「神と共に1・2」
地獄に送られた兄、そして弟。それを救おうとする地獄の使者3人。奇想天外な地獄とそこの裁判官の裁きを何とかパスさせようとする3人の大活躍。アクションも涙も濃厚で、しかもコミカルな韓国映画。

―――――――
ドキュメンタリー部門ベストスリー

1)「アレッポ 最後の男たち」
シリア北部、空爆が終わると駆けつけて、瓦礫の中から救助をするホワイトヘルメットの男たち。

2)「i-新聞記者ドキュメント」
ドラマの「新聞記者」のモデル望月衣塑子記者。真実はドラマの上を行く。

3)「RGB 最強の85歳」
「ビリーブ 未来への大逆転」のルース・ベイダー・ギンズバーグのドキュメンタリー。一筋縄ではいかない彼女の信念の強さとバランスの良さ。素敵なご主人は性差にこだわりなく家庭を支え、ユーモアのセンスも抜群。

――――――――
すみません、毎年絞りかねてドッサリで…。マイミクさんたちの映画評のおかげで、良い映画に出合えたことに感謝です。今年もどうぞよろしく。

14 18

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する