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2019年12月10日23:43

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「漫画誕生」 戦時は漫画も国のため

漫画は萩尾望都や、息子たちの少年時代に安達充とか読まないわけではないが、
本で言えば1%以下だから、題だけでは関心が無かった。
しかし、北沢楽天(1876-1955)と聞いて観に行く気になった。

というのは長年勤務した会社に、戦前、子供向けの雑誌があり、
楽天は主な筆者の1人だった。
他には、武井武雄、竹久夢二、村山知義などの画家が描いていた。
もちろん私の知らない時代だけれど、絵は何度も見て親しんでいる。

「漫画誕生」
http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=10258677&id=4867611
https://www.mangatanjo.com/

最初のシーン、「漫画奉公会」会長の楽天(イッセー尾形)が漫画家たちに、
国家のためにと演説する姿に驚かされた。昭和18年、戦争が始まっていた。

やがて彼の人となりが分かっては来るのだが、
画家も美術家も軍事態勢に組み込まれていく時代だったのだ。

楽天は旧内務省に呼ばれ、検閲官に漫画について聞かれ、いろいろ説明するシーンに、
彼の若い日から、家族や仲間の話が間に挟まれていく。
福沢諭吉の紹介で、時事新報社に入社したこと、若い仲間たちとの談論議論の場など。

「ポンチ絵」と言われて評価の低かった風刺画を、
楽天が「漫画」というジャンルに確立しようと力を尽くしたことが描かれる。
楽天は「時事漫画」で風刺画を描き続け、評判となっていく。

その一方、彼の名の如き楽天家ぶり能天気さは、政治への疎さに現れる。
楽天は国家体制に従順で、戦争に反対する漫画家には、
彼の行動に対し反感を持つ者もいた。

国家総動員とは、誰しもを巻き込む重苦しい時代であったことが分かる。
楽天の妻(篠原ともえ)とのエピソードにほのぼのとさせられた。

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