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2019年10月14日10:42

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「蜜蜂と遠雷」 ピアノへの愛に満ちたコンクール

恩田陸の原作は寝不足になるくらい面白かったし、音楽やバレエコンクールの
ドキュメンタリーのテレビ放映があると楽しみに見ている。

だから、ピアノもたっぷり聞けそうだし、何より、新たに作曲された「春と修羅」
そして4人の登場人物それぞれに作曲されたカデンツァを聴いてみたかった。

「蜜蜂と遠雷」
http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=10258677&id=4831374
https://mitsubachi-enrai-movie.jp

栄伝亜夜(松岡茉優)は、天才少女ピアニストとして活躍していたが、13歳で
ピアノ教師でもあった母を失ったショックで、コンサートを放棄した過去を持つ。

高島明石(松坂桃李)は、楽器店に勤務し妻子がある。応募年齢ギリギリの28歳で、
音楽一筋の若者に交じって、深みのある社会人の音楽を模索する

マサル・カルロス・レヴィ・アナトール(森崎ウィン)は、ジュリアード音楽院出身。師に完璧を求められ、すでに将来を嘱望され、コンクールの大本命と言われている。

そこに音楽学校にすら行ったことのない、養蜂家の息子の風間塵(鈴鹿央士)が、
亡き高名なピアニストの推薦状と共に現れる。
蜜蜂とともに欧州を移動しつつ、音のない木製鍵盤で練習をしていたらしい。

第一次予選、第二次予選…そして本選と進むコンクールの日々、
4人がライバルでありながら、互いの才能を認め合い、
関わりを深め、親しみ合ってゆく姿が心地よい。

亜夜とマサルが幼馴染で今も続く友情、明石の生活を支えながらの努力と天才への羨望、
塵の天真爛漫なピアノが好きでたまらない姿、それぞれに上手く描かれる。

亜夜と塵の、月の光を浴びながらのドビュッシーの月の光、ペーパームーン、
ベートーヴェンの月光の曲の連弾シーンは、ピアノって素敵だと思わせられる。
https://www.youtube.com/watch?v=7197M4qTiSk

本選にはマサルがプロコフィエフの2番、亜夜が3番に対し、
塵がバルトークの3番を選ぶ。
その選択も頷かされるし、演奏のシーンも素晴らしい。

ただ、楽しみにしていた「春と修羅」のカデンツァ部分に、
それぞれの映像と語りが被さってしまう。もう少し音を聴かせてほしかった。
映画だから仕方がないのかもしれないけれど。
https://www.youtube.com/watch?v=IVRI7lrzRhA

あの長い小説の枝葉をバッサリ切って、
亜夜の再生と明石の生活者の音楽を追求する姿にまとめた。
そこも上手く行っているが、小説に描かれた苦悩の部分は薄くなっている。
その分、さわやかな若者の友情と競演の成長物語になったかな。
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