mixiユーザー(id:10258677)

2019年10月08日01:46

777 view

「ハワーズ・エンド」英国の田園風景と複雑な人間模様

「眺めのいい部屋」のE・M・フォースター原作でジェイムズ・アイヴォリー監督。

「ハワーズ・エンド」〈4Kデジタル・リマスター版〉
http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=10258677&id=4813958
http://hark3.com/archives/837

花野の中を1人の女性が歩んでいく。
ウィルコックス夫人ルース(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)。
ハワーズ・エンドと名付けられた美しい田舎家の所有者。

20世紀初頭の英国。
知的な中流家庭のシュレーゲル家の二女ヘレン(ヘレナ・ボナム=カーター)。
富裕なウィルコックス家のポールにキスされて結婚に進むと思い込む。
しかしポールにその気は無かった。

なんとロンドンのシュレーゲル家の前にウィルコックス家が引っ越してくる。
ヘレンは嫌がるが、穏和な姉マーガレット(エマ・トンプソン)は、
ルースに心のつながりを感じて親しくなる。

ルースは死の間際にマーガレットにハワーズ・エンドを譲ると遺言するが、
ウィルコックス家はそれを握りつぶす。

数年後、ルースの夫ヘンリー(アンソニー・ホプキンス)は、
マーガレットに結婚を申し込む。

ふとした出来事でヘレンが知り合った貧しいバスト夫妻。
上流・中流階級と労働階級、高踏的な知識階級とスノッブなブルジョア。
立場や育ちの違いを超えて、理解や交流、そして愛情は生まれるのか。

映画紹介にはヘンリーとマーガレットの愛のない結婚とあったが、
ヘンリーは、マーガレットの中に愛していた妻ルースの
理知や自然への愛を見たのだろう。
マーガレットは、ヘンリーの大らかな率直さに、
自分の家族に無いものを感じたのかもしれない。

ヘレンの純情で理想主義ではあるが、時に奔放に逸脱する行動に比べ、
マーガレットの相手を理解しようとする寛容さは、それぞれをつないでいく。

バスト家の夢想的な夫の哀れな結末、無知な妻に救いはあっただろうか。
ウィルコックス家の息子や娘たちが、あまりに実利主義に描かれていて、
戯画的で分かり易いものの、もう少し複雑にしたら膨らみが出そうに思われる。

豪華な出演者たち。ことに印象的なヴァネッサ・レッドグレイヴの優雅さ。
ハワーズ・エンドの素朴なたたずまいと、吹き抜ける風にそよぐ木々と花々。
英国の田園風景に浸りながら、一筋縄ではいかない複雑な人間模様を楽しんだ。
10 11

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する