オケのヴァイオリンやヴィオラ演奏者は、女性の方が多いくらい。
男性ばかりだったコントラバスやトランペット、ホルンなどにも女性が増えてきた。
なのに、今でも指揮者は女性が少ない!そう言えば日本の女性指揮者も少ない。
「レディ・マエストロ」
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http://ladymaestro.com/
NYのコンサートホールで働くウィリー(クリスタン・デ・ブラーン)は、
1926年のメンゲルベルクの指揮を見たくて、最前列の通路に椅子を持ち出す。
当然見つかって、経営者の息子フランク(ベンジャミン・ウェインライト)に
放り出され、仕事もクビになる。指揮者になるにはどうしたらいいのか…。
無料コンサートを指揮しているゴールドスミスに弟子入りさせてもらう。
有名音楽家に会えると彼に連れていかれたパーティは、なんとフランクの家。
メンゲルベルクもいて「なぜ楽譜を見ていたのか?」と問われ、
ウィリーが「指揮者になりたくて」と答えると、失笑が広がる。
やがてウィリーは自分が養女で、母親はオランダのシングルマザーと知る。
オランダの母を訪ねるがもう亡くなっていた。彼女は元のアントニアを名乗る。
そしてドイツで指揮を学び、1930年、ベルリンフィルでデビューするが…。
指揮の前、音楽の前に、女性であることが立ちはだかる時代だったのだ。
モデルのアントニア・ブリコ(1902-1982)はベルリンフィルのデビュー後、
初のニューヨークフィルを指揮した女性であり、他所の指揮でも好評だったが、
常任指揮者には招かれず、女性ばかりのオケを自ら作って人気を得たという。
エルガーの「愛のあいさつ」の演奏は、女性たち皆のびやかな美しい音を響かせる。
「メアリーの総て」や「コレット」に描かれたように、女性作家も
書いた小説を女性名では出版できなかったなど、差別された時代があったが、
女性の指揮者の指示に従うのを嫌がる男性の音楽家もいたということだ。
長年のフランクとの関わりや、
彼女を助けるゲイのロビン(スコット・ターナー・スコフィールド)の優しさ。
彼は実際にもトランスジェンダーを公表しているとか。
どんな壁にも負けずに立ち向かうアントニアの音楽への熱意と意志の強さこそ、
無理と思いつつ、困難を承知で支えようとする人々を動かしたのかと思う。
バッハ、ドヴォルザーク、ガーシュイン等々、沢山の曲が聴けるので、
クラシック好きには、それも楽しい魅力。
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