mixiユーザー(id:10258677)

2018年02月10日00:40

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「スリー・ビルボード」 人間は一筋縄ではいかない

最初から最後まで、心を鷲掴みにされ、
ハラハラさせられながら、最後まで引きずられた。

「スリー・ビルボード」
http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=10258677&id=4406243
http://www.foxmovies-jp.com

アメリカ中西部、ミズーリ州の田舎町。
ミルドレッド(フランシス・マクドーマンド)の娘が
レイプされて焼き殺された。

しかし、7か月たっても、犯人は捕まらない。
ある日、郊外の人通りの少ない道端に放棄されたような
3枚のボードを見つけたミルドレッドは、広告会社に乗り込む。

そしてボードに「レイプされて殺された」「逮捕はまだ?」
「どうして?ウィロビー署長(ウディ・ハレルソン)」と
町の人に評判の良い警察署長を名指しで非難する。

この広告に、町の人たちは驚く。そしてミルドレッドは、
被害者家族でありながら、やり過ぎだと非難を浴びる。
ディクソン巡査(サム・ロックウェル)は怒りを抑えきれない。

ミルドレッドの後悔を引きずった凍り付いたような無表情。
猛々しい彼女が、ひっくり返った虫を起こしてやる最初のシーン、
可愛らしいカーテンの柄やスリッパという小物が効いている。

ミルドレッドの息子の悲しみ、別れた夫の言い草、
その若いガールフレンドの無邪気さ、
ディクソンと、いかにもな母親の愛憎、
広告屋の一杯のジュース、署長の遺した手紙。

粗野な、人種差別の塊のようなディクソンが、
おだやかなウィロビー署長に寄せる敬愛、
火から救った書類、喧嘩を吹っかけて頬を引っ掻いた理由。

どのシーンもどちらに転んでもおかしくない危うい人間たち。
行き過ぎた行動、ふと見せる思いがけない行動、
一筋縄ではいかない人間の複雑さに唸らされる。

音楽も風景も痛みをもって心に沁みる。
見事な脚本、それを演じる俳優たちの上手さに圧倒された。
好き嫌いを越えて、凄いとしか言いようがない。
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