昨日書いた、映画「タレンタイム〜優しい歌」は、
マレーシアの多民族・多宗教社会を描いている。
それに関連しての私の思い出。
YWCAの「留学生の母親運動」に参加し始めたころ、
息子たちは、まだ中学生と小学生だった。
わが家に時々来てくれる留学生を、子供たちは慕った。
今は大人になった息子たちの、民族・宗教に対する偏見の無さは、
留学生たちと触れ合ったおかげだと思う。
インドネシア、マレーシア、インド、香港(当時)、韓国、ラオス、
ベトナム、タイの留学生たちが一堂に会して、わが家のクリスマス!を楽しんだ。
知人のフィンランドの女性も一緒だった。
担当した中にマレーシアの男女もいて、どちらも、
中国系で漢字の名前だった。
この2人は私費留学だったので、アルバイトで大変。
女性から風邪の連絡が来て、食べやすいだろう食料などを持って、
郊外のアパートを訪ねたが留守だった。携帯などない時代。
しばらく待ってあきらめて帰ったけれど、彼女は熱があるのに、
アルバイトを休むとクビになるかも…と出かけたそうだ。
イスラムの子はインドネシアの女性。わが家に来ても、
さっさと帰ってしまうので理由を尋ねたら、1日5回の礼拝があるという。
「わが家でしてはダメなの?」と尋ねたら、「いいんですか?」と、
次から、小さなカーペットを持ってきて、時間になると手を洗い、
「メッカの方向は?西なんだけれど」と聞いて、礼拝をしていた。
豚肉はもちろん、きちんと殺したお肉(ハラール)以外もダメと言うので、
わが家での主菜は豆腐のチーズサンドフライやガドガド、グラタンなど。
インドネシアの青年は、中国系とインドネシア系のミックス。
彼は国費留学生でアルバイトの必要がなく、よくわが家に友達と一緒に来ていた。
「お母さんは働いているのに、女中も運転手もいない」と、
深く同情して、家では決してしないだろう皿洗いを手伝ってくれた。
彼の友人の中に、マレーシアのインド系シーク教徒の青年がいて、
いつも白いターバンを巻いていた。
「どうやって巻くの?」という私の素朴な質問に、彼は、
「家でしか外さないんだけど、お母さんだからいいか」と、
ほどいて、手早くきれいに巻くのを見せてくれた。
今思うと、宗教的に無思慮であっただろう質問。
その時は、「お母さんだからいいか」の言葉が嬉しかった。
インドネシアの青年は、その後、日本の大学、大学院、助手となり、
日本の大きな電機企業に勤め、洗濯機をプレゼントしてくれた。
そして結婚し、起業したときに、とうとう日本に帰化した。
なんと我が家の姓になっていて、ホントの家族の一員になった。
日本にやってきた留学生たちに、親切にしてあげて欲しい。
殆どの留学生は、日本が好きで夢を叶えたいとやってきたのだから。
彼らが帰国した時に、日本への良い印象をたくさん持って帰れば、
その国に日本への友好的な人を増やすことになる。何かあっても
「日本には、いっぱい良い人もいるよ」って言ってくれるんじゃないかな。
★「留学生の母親運動」★
http://www.tokyo.ywca.or.jp/peace/ryugakusei/
YWCA会員(母親)にならなくても、
毎週土曜日の午後の「留学生談話室」には参加(男性も)できます。
英語の勉強目的はダメですよ。彼らの日本語の勉強のためですから。
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