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2015年08月12日11:03

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「アメリカン・スパイナー」「おやすみなさいを言いたくて」と、怒り

「おやすみなさいを言いたくて」を観たくて、昨日、ギンレイ2本立てへ。
もう1本は評判の「アメリカン・スパイナー」。きつそう…と思いつつ、観る、

「アメリカン・スパイナー」http://wwws.warnerbros.co.jp/americansniper/
レジェンド、「伝説の狙撃手」と言われたクリス・カイルの自伝をもとに描く。

クリス(ブラッドリー・クーパー)は、射撃の腕を見込まれ、
アメリカ海軍特殊部隊シールズにスカウトされ、訓練を受け戦地に。

殆どが戦闘シーン。街を米軍の戦車が行き、殺し、殺される。
クリスは屋上から、敵を狙撃して仲間を守り、英雄と称賛される。
しかし、4度の中東への出撃に、妻は彼の死を怖れ、クリスも情緒不安定になる。

精神科医の問いに、「殺したのは蛮人。悔やむのは仲間を救えなかったこと」と
言い放つのは、それ以上考えると、自分の心が病むからの防衛本能か。
子どもに銃を向けることへのためらいが、2度のシーンで描かれるが、
相手の兵士にも家族があり…という想像力に蓋をしないと、戦場では戦えないのだろう。

「おやすみなさいを言いたくて」 http://oyasumi-movie.jp/
女性の戦場カメラマン、レベッカ(ジュリエット・ビノシュ)は、
中東で、爆弾を巻きつけ自爆する女性を追って、自分も負傷する。
夫や2人の娘ことに長女のステフは、その母親を心配し続ける。

「もう止める」と言い家庭に戻るが、安全と言われてケニヤの難民キャンプに、
アフリカに興味を持つステフと旅立つ。しかしキャンプが襲われる。

ステフを車で逃し、弾の飛び交う中を取材するレベッカ。
母親の立場よりも、職業人・報道写真家を選ぶ一瞬の判断をしたわけだ。
帰国したレベッカに夫は激怒するが、ステフはその母親を理解し始める。

夫も、対岸にある原子力施設セラフィールドの放射能を調べるなど、
海洋生物学者として、学究だけに生きているわけではなさそうだし、
レベッカの仕事も理解して結婚したのだろう。

しかし、娘も生まれ、妻の命の危険に怯えながら待ち続ける生活の過酷さ。
レベッカは母・妻として生きるか、報道写真家として生きるかの選択を迫られる。

クリスの単純化せざるを得ない愛国心、レベッカの母の立場よりも報道写真家の選択。
どちらも共感するのは難しい。ここまで私は追い込まれたことがない。

殺されていく現地の人々、若い兵士、爆弾を巻きつけられる女性。
心の深いところを揺さぶられる。共に★4。


1つ、とても共感した言葉があった。ステフに「なぜ?」と問われて、
レベッカは、自分を報道写真に駆り立てたものは、「怒り」と答える。

1年ほど前に、「学校メンタルヘルスリテラシー教育」についての
インタビューを受けたことがあった。いろいろな質問に答えた後、
「なぜ関わるのか?」と問われて、私は「怒り…かな」と答えたのだった。
そしてインタビューした人に、「ああ、その言葉で、腑に落ちた」と言われた。

この世の中にある理不尽はつきない。戦争、病気、事故、貧困、暴力、差別…。
こういったものに巡り合わない人は、幸福と言うより、目を瞑っている?か、
関係ないこととする? もしかすると見ても見えず? 鈍感なだけのかもしれないが…。

たまたま私が後半生に巡り合ったのは、精神障害者の問題だった。
「なぜ、子どもがこんなに重症化するまで治療を受けさせなかったの?」と責めたくなる。

苦しむ子供がいたら、親は何がなんでも病院に連れて行くのが当たり前でしょう?
それを何年も放置するなんて。ただ心配し戸惑い、出来ないからと悪化を放置する親。

しかしそれが、「こんな病気は知らなかった」「精神科なんて行くのは怖い、恥ずかしい」
等々の、無知や偏見からだったとは。そして保健所や病院に助けを求めても、
「親がして下さい」と突っぱねられる。こんな理不尽なことってある? ふつう、怒るでしょ?

その怒りが、私を「学校MHL教育」に繋げた。 http://ppcfe.com/smhle/
もし、中学生や高校生が、生涯に5人に1人がかかるという「こころの病気」の
正しい知識を持っていたら、対処の仕方を知っていたら、違うかもしれない。
病気にかかった人が一生苦しむことになる前に、治療を受けるかも知れない。

この教育グループの端っこに加えてもらおうと思った、
(それで今、ツールの校正で忙しい。私の出来ることはこのくらいでしかない)

怒るべきことは怒っていいんだ…と思う。いや、怒らなくてはいけなんだと思う。
怒りを個人に向けるだけではなく、物事の本質部分にまで向けたいと思う。

その意味で、クリスは160人を狙撃し、仲間の兵士を守りながら、矛盾を抱えたまま、
障害軍人のために尽くそうとして、その1人に殺されたのは哀しい。道途上だったと思う。
レベッカは職業としての信念は貫けた。ともに家族を犠牲にしながら。

1992年、アメリカで、日本人留学生が銃で撃ち殺されたバトンルージュ事件。
服部君の両親は、アメリカの銃規制を求める運動に関わり続けている。
怒りの矛先は、深く社会の矛盾・理不尽にまで向けて行きたい。

国民の半分以上が「原発は嫌だ」といっているのに、政府は昨日、川内原発を再稼働させた。
浜岡でなくて川内なのは、中央でなく、九州の端っこだから切り捨てたのだ。

政府と経済界は、お金のために、その地に住む人々を見捨てようとしているのだ。
それなのに、怒らなくってどうするのだろう…と思う。怒るべき理不尽はたくさんある。

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