速報！「かそけきサンカヨウ」

　あのう、この話、なんか問題ありますか？　なんにも問題ないですよね。

　昨日土曜日はハードスケジュールだったので、今日は少し楽しようと、立川kino cinema。25席のシアター3です。そこの最前列の真ん中A-2が大好きなんだ。快適ったらありません。

　10:20の回で、＋700円のプレミアムシートB列C列は全部空席、他は全部埋まってました。極端だな。

　なにしろ悪い人、嫌なやつがまったく出てこない。いい人ばっかりと言いたいところだが、「ああ、この人いい人だなあ」という人物もいない。
　感情移入してしまう人、そこまでは言わないが、どんな行動を取るのか見続けたい人、いません。じゃあどんな人たちが出てるんですか？

　問題らしきものがあるのかないのか。

　幼い頃に妻と別れた父、その娘（主人公）。父親が4歳の子連れの人と再婚する。ここで波風立つか？　立ちません。後妻と娘に確執が？　ありません。4歳の連れ子と揉めるか？　あまり揉めません。
　一体なんなんだ？

　水彩画家である実の母親と再会。そこには複雑な思いが？　ないっすね。話は違うが実の母親役の石田ひかりはお姉ちゃんより年取ったと思う。

　陽（よう：主人公）のクラスメイト。ここに問題のある子がいるんでしょう？　うーん、どうかなあ。
　予備校に行けなくて、バイト先の喫茶店の隅っこでノートを開く子。ああ、貧困問題ですか。問題というほどではないし、映画の中で解決しようとかどうとかいうことはない。
　生まれつき心臓に異常があって手術を受ける男の子。お、難病ものですか？　いや、本人も「日常生活には問題ない」って言ってますし。バスケ部を辞めるが、それが大問題かというと、別に。
　恋愛問題はどうかというと、心臓の手術をした男の子が主人公に告白らしきものをするけど、こっちゃあ全然ときめかない。
　途中で「お母さんって呼んでいい？」というありがちなセリフは出てきても、ちっともよかったよかったという気にならん。そういえば呼んでなかったなあ、くらいの感じです。
　
　みんななかよし。

　この映画のどこに魅力があるのでしょう。

　考えるに、主人公とその相手が魅力的だったらそれを見ているだけで幸せな映画になったかもしれません。だけど失礼ながらぜんぜんボンヤリでした。
　女の子は「坂井真紀に似てるなあ」と思ったくらいで、「惚れた！」とはならなかった。
　男の子は可愛すぎて実在感なし。

　役者の演技でも、「うまいなあ」とか「この下手くそ」などという感想を抱けず、はい、みんなふつうでした。

　これを観て「しみじみしたいい映画だったなあ」と思う人もいるかもしれませんが、私はそうは思わない。

　この監督とはウマが合わないのかねえ。
　シートが快適だったので、いっそのこと寝てしまえばよかったか。