初めは笑っていられるが、その笑いが引きつってくる。……なんて月並みな感想だ。
久しぶりの池袋シネマ・ロサ。頑強にネット予約を導入せず、指定席でも当日窓口販売のみ、という骨のある映画館。システム作るのがめんどくさいだけかもしれんが。
公開劇場が多くないとはいえ40人くらいは入ってたかな。驚いた。年配が多い。多分若い奴らはコロナだな(エビデンスなし)。
聞いたことない監督で、これが第1作らしい。監督じゃなくプロデューサーがとんがった人らしく、ほらあれ「新聞記者」作った人。あの映画の結末は気に入らんが、製作姿勢はすごく評価するの、私。
何人かに監督を断られたらしい。
ずっと菅の顔見てるのもなあ、と思ったが、基本的に菅様礼賛映画ではないので。
タイトルバックがモロにモンティ・パイソンなので、そういう姿勢です、ハイ。
まず上西充子(ごはん論法と言った人です)の国会ウォッチングが笑える笑える。テレビニュースではわからない切り口。どんな質問をしてもおんなじような答えで返すのはわかってたが、それを何回も何回も延々と繰り返すのですね。で、ちょっと困ると後ろの席で秘書官がその場で原稿を書き始める。管はそれを読むだけ。本当に「ホントかよ」という光景が繰り広げられる。
面白いのは総理になる前の評判がそんなに悪くないこと。
ところが現在はご覧のとおりでございます。
管に批判的な記者なんかいると、単独で呼ぶそうです。で、パンケーキや稲庭うどんを一緒に食いながら、
「いつも貴重なご意見ありがとう。大変参考になります」
こう言われた記者は怖くなって口をつぐむのだとか。怖い怖い。
菅のみならず、現政権が、いや前政権から延々と酷いということが描かれる。
そして当時はそうは思わなかったが、30年前の自民党がいかにまともだったかも語られる。確かに自浄能力というか、派閥同士で牽制しあって結果的に独善独裁的な政権ではなくなる。
後半に差しかかって行くにつれ、暗澹たる気分になってくる。それでいて「そろそろ終わるな、もっと観たいな」という気が湧き上がってくる不思議。
ところどころ風刺的なアニメが挿入されるが、これはまあイマイチ。
ただ、羊と牧場主のエピソードは面白かった。
牧場に羊を放し飼い。「お前たちはいいなあ」(だったかな?)的に羊を可愛がる牧場主。
冬が来て寒空の下、ただモグモグと草を喰むだけの羊たち。1匹1匹と倒れてゆく。
「おお、かわいそうに。今暖かい小屋を建ててやるからな」
と牧場主はいうが、自分は暖炉の部屋でぬくぬくと飲んだり食ったり。
「もうすぐ大きな村祭りがあるんじゃ、羊の小屋なんかに金を使えるもんか」
無表情に草を喰む羊。倒れてゆく。
「なんとかしてやった方がいいんじゃあ」
一緒に飲み食いしている部下たちがいうが、
「大丈夫じゃ、あいつらは絶対に逆らわない」
という牧場主。
ネタバレ? 本当はもう少しあるけどね。
本当に何も言わずに村祭りに浮かれてるだけだもんなあ、この国の羊は。
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