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2021年06月02日07:23

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中編小説 石鹸怪獣へドラ

キャッチコピー。
『今日、僕は初めてタバコを吸った。凄く嫌な味がした。いつかこんな嫌なタバコを吸い続ける、ゴジラのような冷たくて怖い大人になるのだろうか。
 僕は、へドラのような優しくて仲良しなあたたかい怪獣になりたい』

タイトル 『石鹸怪獣 へドラ』




 超電磁ネット、対怪獣拘束用ランチャー、斥力戦闘バリアなど、ゴジラを追い払う装置を幾つも開発した夫婦。
 その夫婦は共にゴジラを倒す為に研究する研究者であり、仕事においてはとても優秀な人格者だが、仕事に集中しすぎてどちらも子どもを見ようとはしなかった。
 庭付き一戸建ての豪華な家の中にはタバコの吸殻やゴミ袋が散乱していて、その中で少年、マサルはいつも一人で部屋の掃除をしたり、振り込まれた金でコンビニ弁当を食べて日々を過ごしていた。
 ある日、いつものようにコンビニ弁当を買いにいった帰り、水溜まりに何かが蠢いている事に気付いたマサルが近づくと、そこには少し大きなオタマジャクシが水溜まりで泳いでる姿だった。
 少し可哀想に思ったマサルは近くに落ちてあった缶の中にオタマジャクシを入れて、一人こっそりと飼う事にした。
 だが少年は気付かなかった。
 その水溜まりは雨で出来たモノではなく、工場からのパイプから溢れ落ちた液体から出来たものである事に。

 家に帰ったマサルは小さな水槽を探し、そこに水道水とオタマジャクシを入れて世話をする事に。
 だけどマサルはオタマジャクシはなにを食べれば良いか分からず、とりあえずお肉を入れるが食べない。
 お肉を捨てて野菜を入れるが、これも食べない。色々探している間に誤ってゴミにする予定の弁当箱を落とすと、オタマジャクシはそれに飛びつき、ゆっくりと食事を始めた。

(オタマジャクシってゴミを食べるんだ)

 そう思ったマサルは家に散乱していたゴミを食べさせようと思い、小さなオタマジャクシに名前を付けた。

「僕はマサルって言うんだ。ゴジラに勝てるようにって理由でその名前をつけたみたいだけど・・僕はあまり好きじゃないんだよね。君が大きくなったら仲間がいっぱいいる池に返すから、そこでたくさん友達が出来るように、君の名前は『トモ』って呼ぶね。これからよろしくね、トモ」


 こうして、マサルとトモの不思議な物語が始まった。

承に続く。
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