91×4と1
あの偶像は91日後には消えている。
あの偶像は91日後には消えている。
91日後には新しい偶像が僕に微笑みをくれるのを知ってるけれど、91日前の偶像がくれた温もり忘れる事は出来ない。
91日も君と過ごす日々は素晴らしくて、誰もその優しさを疑わないまま生きていく。
4つの新しい偶像が僕に微笑んで、優しく抱いてくれるけど、僕が気になるあの子は偶像に振り向かない。
あの子は偶像に夢を見ない。偶像に振り向かない。
僕はあの子に偶像の素晴らしさを歌いたいけど、あの子はずっと両手を耳でふさいだまま。
あの偶像は91日後には消えている。
あの偶像は91日後には消えている。
あの子にであってしまったのは偶像だった。
91日毎(ごと)の偶像よりも綺麗なあの子は不思議な子。
声をかけても気にしてくれないし、おどけてみせても笑ってくれないと知っているし、偶像を気にかけていない。
どうすればあの子に偶像の素晴らしさを教えられるのかな。どうしたらあの子と一緒に笑えるようになるのかな。
偶像達は微笑むばかりで教えてくれない。
僕はいっぱいいっぱいかんがえた。
僕はいっぱいいっぱいかんがえた。
あの子と一緒に笑うにはどうしたらいいのかな。あの子と一緒に悲しむには一体どうしたらいいのかな。
精一杯かんがえたけれど分からない。
どうすればいいかあの子に聞けば良いと何度もかんがえたけれど、
僕はそれをしようとしなかった。
書物の探偵のように漫画の能力者のように僕の力で気付いてみたかった。
やがてあの子は去っていく。
僕の悩みを知らないまま去っていく。
僕の精一杯の答えを聞かないまま消えてしまう。
手を伸ばす事も目の前に立つ事も出来ない僕はだけど、
君にかける言葉だけは忘れない。
91×4じゃ足りない位の優しい言葉を、いつか君一人だけに囁く為に。
僕はこの気持ちだけは、絶対に忘れないんだ。
91日後だって、4つの舞台が回った後だって、一生君の事は忘れないんだ。
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