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2018年07月07日07:11

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長編小説 角が有る者達 第188話 後編

『お姉様のお姉様』


〜某テレビ局内〜

チーフナンテ「まだ通信は回復せんのかぁっ!」
部下ナンテ「い、今あらゆる方法で試してみていますが通信が回復しません!
 完全に奴に乗っ取られたままです!」

 二人のナンテの映像の前ではルトーがマイク片手に歌を歌っている。その横ではもう一人のナンテが電話の相手に何度も謝っていた。

部下ナンテ2「はい、はい、申し訳ありません、では・・・(ガチャン)
 くそ、どいつもこいつもクレームばかりよこしやがる、俺達は『ルトークラブ』の一員じゃないぞ!」
チーフ「なんだ?」
部下2「テレビ見たバカどもが『うちの局でもルトー使いたい』だの『サインください』だの変なクレームが多すぎるんですよ!
 極悪非道な下衆野郎の集まりがゴブリンズなんだ!あんな変なアイドルにみんな夢中になりやがって!」
チーフ「くそ、このまま良いようにやられてたまるか!
 何がなんでも果心様の方に注目を集めさせるんだ!もうこうなったらテレビ局のブレーカーを一回落としてでも変えてやる!」

 チーフは吠えた後、テレビに目を向ける。そこには果心達が戦っている映像が映し出されていた。

チーフ「果心様の戦いを世界に見せる事が今回の計画のキモなんだぞ!
 絶対に通信を回復させてやる!」


〜フリークスサーカス内〜

 カスキュアペットの歩く死体達が蠢きながら果心達に近付いてくる。果心とダンスは息を切らしながらも剣を降ろそうとはしなかった。

フォト




果心「ニバリ、あの子の中には一体どれくらいの憎しみが詰まってるの・・?」
ダンス「同情してる場合か!?敵が来るぞ!」

 蠢く死体の中から二体の死体が二人向かって走り出してくる。その死体は黄色い道化服を着た、首の無い死体だった。
 手には細長いハンマーを掲げている。それを見たダンスは舌打ちした。

ダンス「あれはタイム&クロック兄弟か!気を付けろ、奴らは時を操る力を持って」

 る、と言い切る前に、タイムとクロックのハンマーがかちあう。
 その瞬間、時間が停止してしまい、この世界の全てが動かなくなる。
 死体は果心とダンスが動かなくなるのを見とどけた後、チホに体を向け走り出す。
 チホも果心も、誰一人抵抗する事ができない。
 そして、兄弟がチホの頭を潰す為に長いハンマーを振り上げた瞬間、真横から飛び出してきたケシゴの拳をまともに食らい二人は吹き飛ばされてしまう。
 それと同時に、時間が動き出した。

ダンス「るんだ・・・あ?
 な、あの兄弟、いつの間に消えた?」
ペンシ「こちらだ。二人とも」

 二人が振り返るとそこにはペンシとケシゴが立っていた。ダンスは眉をひそめる。

ダンス「お前達は確か、ナンテの実験で作られたペンシとケシゴのコピーどもか?」
果心「貴女、確かチホと一緒に捕らえられた筈・・・何故今ここに?」
ペンシ「私が答えよう。
 まず私は本物のペンシではない。
 そして、実験台にされた偽物でもない。
 本当に偽物のペンシとケシゴだ。
 おい、偽装術を解除しろ」
ケシゴ「了解。
 『パンの悪戯』、解除」

 ケシゴがそう言うと同時に、二人の姿が変化していく。ケシゴは頭部に角を生やした黒い山羊に変化し、右腕以外は筋肉隆々の男性の体に、そして機械的な右腕が駆動音を鳴らしながら動き出す。
 緑のジーンズを履いた、化け物と呼称されそうな大きな機械人形(アンドロイド)ーー『黒山羊』が姿を現した。
 ダンス、果心は息をのむ。

ダンス「な、ば、バフォメト!?」
果心「いいえ、あなたは確かメルの警護アンドロイドであった『黒山羊』ですね。
 ではそちらは、もう一人の警護アンドロイドである『白山羊』」
白山羊「そうだ」

 果心の目線の先に居る筈のペンシは消え、代わりに白い長髪の女性が佇んでいた。その顔は、果心と全く同じ顔をしている。

フォト



白山羊「後ろのデカブツである『黒山羊』には様々な特殊機能が備わっています。
 その内一つは黒山羊。
 単純な力なら、彼もまた負けてはいません」
黒山羊「メー!
 我、絶対、無敵!」

 黒山羊がそう言いながら死体の群れに飛び込み、強靭な肉体を駆使して敵を叩きのめしていく。

果心「・・・全く、同じ顔ですね」
白山羊「我が創造主、ドリーム・メロディ・ゴートからは『亡き妻と同じ顔を作った』と説明されましたが・・・いいえ。
 今はその話は後にしましょう」

 白山羊は右手を掲げると、何もない筈の手から銃が取り出される。
 黒いSAA(シングル・アクション・アーミー)が白山羊の手に収まり、蠢く死体達に銃口が構えられる。

白山羊「ロメロの物語になぞるならこちらの方が良いでしょう。
 ですが、化け物相手にはこちらです」

 白山羊の左手には、いつの間にか軽機関銃『M08/15』が握られている。

白山羊「Auf Wiedersehen(さようなら)。
 Mittelmaß(凡庸なものよ)」

 ドガガガガガガガガガガ!!

 白山羊の軽機関銃が火を吹き、蠢く死体達の肉を削り取っていく。更に右手の拳銃は的確に相手の足や顎を狙い、それを正確に撃ち抜いていく。
 弾が切れると拳銃を投げ捨て、もう一丁のM08を取り出し死体達を無造作に打ち続ける。
 その様子を見ていたダンスは顔を少し青くした。

ダンス「なんだこいつ、片手で機関銃振り回しながら戦っているぞ・・・」
果心「流石はドリームが作ったアンドロイド、という訳ですか・・」

『果心様。
 私が大罪計画に何を求めるかを教えましょう』

 果心は、ふと思い出していた。
 大罪計画の最高峰の立場に君臨していた男、『傲慢』のオーケストラ・メロディ・ゴート。彼が果心に伝えた大罪計画の目的を。

『それは、貴方を殺す事ですよ。
 全人類、全科学を総動員させてでも不老不死の貴女を殺す。
 だって貴女、長い間この世で酷い目に逢い続け、死に逃げしたくても出来ないんでしょう?
 だから、俺は果心林檎を殺す為に人生を捧げます。貴女をこの世から解き放ち楽にする事こそ、我が喜びだ』

黒山羊「めええええっ!!」

 黒山羊が筋肉の締まった腕を振るい、死体達を叩き潰していく。白山羊が銃を振り回し、死体達を粉微塵に変えていく。
 それを目の当たりにしながら、果心は手に持つ剣に力を入れる。

果心(オーケストラ・メロディ・ゴート。
 貴女の傲慢なる願いは今、私達を助けています。
 貴女の闇を理解できない私ではありますが、私はまだ生きていたいのです。
 どうか安らかに・・・)

 そう思いながら果心は心の中で祈りを捧げようとして、ハッと気付いた。
 そして、テントの上空で飛んでいる竜を見つめる。

果心(・・・まさか、貴女も?
 貴女も、私と同じように・・・)


 果心は再度、空を飛ぶニバリに視線を向ける。ニバリは赤と黒が混ざりあった目で果心を凝視していた。



▼△▼△▼△▼△▼△▼△▼


シティ「チホ・・・?」
チホ「お姉様!?き、気付かれたのですね!?」


フォト



 私の目の前に、チホが立っている。
 体を震わせながら、私の眼前にいる。
 顔を赤く高揚しつつ涙を貯めながら、その緑色の瞳は強く私を睨み付けている。
 私は、それが酷く恥ずかしくて、恐ろしくて強く逃げ出したい気持ちに駆られた。
 そして辺りを見渡すと、死体がこちらに向かい蠢き、その奥には『フリークスサーカス』と書かれた小さな壁が僅かに見えて、その上空には黄色と紫色の怪物が空を飛びながらこちらを見下ろしている。

チホ「お姉様、申し訳ありません!」

 不意にチホの声が聞こえ、私はそちらに再度目を向けた。チホは私の前で土下座している。

チホ「わ、私(わたくし)のような立場でありながらお姉様に手を上げるなんて!ですがお願いです、私の話に耳を傾けてください!」
シティ「・・・チホ・・・」
チホ「お姉様、どうか私と一緒に敵を止めるのを協力してください!
 あれは、今は酷く狂暴な存在なんです!」

 チホは声を震わせ、必死に懇願している。確かに私の力なら、止める位なら出来るだろう。
 ゴブリンズのみんなが来るのを期待しながら、敵を倒したっていいはずだ。
 そうだ、今の私はあの時とは違う。船で意気消沈していた頃の自分とは違うんだ。
 あれから沢山戦い、成長した筈だ。
 今の私に、あれを止められない訳が無い。
 分かったわ、チホ。
 私の破壊神とさえ呼ばれた力で一気に倒してやる。
 私はそう言いながらいつものように笑顔を見せながら体を立ち上げようとして、

シティ「・・・・・・」

 体はぴくりとも動かなかった。
 表情が変わる事はなかった。
 声は全く、心の中から出ようとしなかった。
 私はまだ、岩のように動かずチホの声を聞くだけの存在だった。
 私はあのミイラにただ一言、わ
             す
 まだ一緒に      れ
  いたいのに    て   
          と言われただけで、何もかも出来なくなってしまった。
 なんて、なんて弱い存在なんだろう。
 船でも同じ事を言われたのに、あの時は立ち上がれたのに。

          いやだ。
 
 私はなんで、動けないんだろう。
 周りの状況は明瞭に把握出来るのに、皆の気持ちは痛い程分かるのに、
 私は私自身の感覚全てを否定している。
 いやだ。こんな私、嫌だ。
 ふと、肩に暖かい感覚が来るのを感じた。意識を外側に向けるとチホがなにかをしゃべっている。

チホ「・・・お姉様。
 今の貴女の気持ちを、私は痛いほど分かります。
 私はお姉様が家出した時、今のお姉様と同じように私の全ての気持ちが遮断されてしまいました。
 何故、私を一緒に連れていってくれなかったのか。
 何故、私にお姉様の全てを話してくれなかったのか。
 ひたすらひたすら同じ言葉を繰り返し続け、数日間、何もかも信じられず、何も出来なくなりました」

 チホの言葉が私の心、嫌な記憶に触れていく。あの時、私は周囲全てを信じられず、自分の力だけを信じて飛び出したんだ。
 私は、あの時確かに長年連れ添った友達であるチホを捨てたのだ。
 ならチホは今の私に、怒りを覚えてもおかしくない。
 チホからその言葉を聞きたくなかった。一人で静かになりたかった。
 だけどチホはそんな私の痛みを布で包むように優しく声をかけてくる。

チホ「私は、今でも後悔しています。
 あの時お姉様のお側にいられたら、お姉様は必ず私を頼ってくれた筈だ。
 あの時お姉様のお側いられなかったから、お姉様は全てを見限り出ていってしまったのだ、と」

 チホは私の手を握る。
 私より弱く柔らかい手が震えながら、しかし力強く私の手を握りしめる。

チホ「そして、今。
 私はダンク様のおかげでここにいます。
 私は何度も諦めそうになりましたが、その度に私を励まし、応援してくれました。
 そして、私にしか出来ない役割があると教えてくれました」
シティ「ダンク、が・・?」

 私は目を丸くする。あのミイラ、何を考えているのか全く分からない。
 私には忘れろと言い、チホには役割を与え、そんな事をして何をするつもりなのか。
 チホにはそれが、分かるというのか?

チホ「覚えていますか、お姉様。
 お姉様が家出する前、私とお姉様は廊下で出会っていたのです。
 私はあの時、お姉様の側にいたかった・・私の父のように、心中を理解できる立場になりたかった。
 ですが、それが出来なかったからこそお姉様をお止めする事が出来ませんでした」

 つらつらと言いながら、チホの目に涙が溜まってくる。 
 知らなかった。あの時、私は自分の気持ちしか考えてなかった。父に家に閉じ込められ、自分の将来を勝手に決められてしまった。
 それが嫌で、自分の力を信じたくて、その一心で家を飛び出したんだ。
 遠くで、黒山羊が敵を薙ぎ払う音が聞こえた。
 
チホ「ですが、今は言えます。
 あの時より成長出来たかまだ分かりませんが、沢山の人生の生き方を知った私は今こそ、あの時伝えられなかった言葉をお姉様に言います。
 お姉様!」

 チホが私の手を握る力が強くなるが、そこで私はハッと気づく。
 チホの手が、ひどく震えているのだ。

チホ「わ、私は、私が知ってるシティお姉様は!
 他人の言葉なんかに負けません!
 いつも、誰よりもお姉様は格好よくて、誰よりもお姉様は強い存在です!」

 その言葉を聞いて、私の心の何処かで気持ちが落ち込むのが分かった。
 落胆していくのが分かった。
 本当は、こう言って欲しかった。
 負けていい、倒れていい、忘れていい、と甘えたかった。
 違う、違うのよチホ。

シティ「違うわ・・・チホ」
チホ「いいえ、違いません!
 お姉様は誰よりも強いんです!」
シティ「違うって言ってるでしょ!
 なんで貴女は私より私の事を理解しているつもりになってるのよ!
 私は、私は強くない!かっこよくなんてない!
 誰かの言葉に傷付くし、涙だって流すのよ!
 ダンクみたいに、他のみんなみたいにどんなに傷付いても立ち上がれるような奴とは違うの!
 私に貴女の妄想を押し付けないで!」

 私は昔からよく大声を出していた。
 そんな私が精一杯目の前のチホに叫んでも、チホは全く怯まない。手を離そうと力強く引っ張っても、手は全く離れない。

チホ「いいえ。いいえ、お姉様。
 私はもう強い貴女から退きません。
 私は、この戦いでお姉様の強さを何度も見ました!
 だからこそ、私はお姉様の強さを信仰しています!」
シティ「信仰?信仰ですって、何をふざけた事を」
チホ「周りを軍隊に囲まれ、船内の誰もが絶望していた状況で、お姉様は笑いながら数々の敵を倒しました!
 圧倒的な武力、戦力、兵力!
 それら全てを真正面から叩き潰した力!
 私達がこうして生きているのは、お姉様のおかげなんです!」
シティ「あれは私だけの力で成した事じゃない!」
チホ「そして広場ではゾンビ化した仲間が暴れないよう閉じ込め、皆さんが話をする時間をくれました!
 あれがなければ私達は作戦を立てる時間すら無かった!」
シティ「バカ親父が私に喧嘩吹っ掛けてきて、それの邪魔されたくないから閉じ込めただけよ!」

 チホは私の手を握りしめたまま次々に私の行動を賛辞してくる。

チホ「そしてお姉様はまた私達を、私を助けて下さいました!
 父を殺しかけた私を、助けてくれた!」
シティ「最初に助けたのはダンクよ。
 それに私は貴女を責めた。
 ゾンビ化した私を助ける為に行動した貴女を!
 結局、私は弱いのよ!」
チホ「いいえ、お姉様は強いです!
 自由に生きたいと決めれば家を出て、それを許してくれる居場所を見つけました!
 皆を助けたいと思えば、絶対諦めずにどんな敵にだって立ち向かいました!
 好きな人ができたら、その人を一生懸命追いかけようと足を止めなかった!
 お姉様は、お姉様は途中で諦めるような人じゃないんです!」

 チホは一気にまくし立てた後、少し目線を逸らした。

チホ「私は、何度も諦めました。
 諦めたからこそ父を刺すしか行動が見つからず、諦めたからこそダンク様に何度もご迷惑をおかけしてしまった・・・。
 それでも私が目指した先では、お姉様が酷い目にあわされず、敵と戦っていました。
 それはお姉様が敵に捕まって尚、何も諦めなかったからでしょう。
 お姉様が諦めていたら、私はこうしてお姉様の前に立てなかったんです!
 お姉様は弱くない、格好悪くなんかない。
 私が昔から知ってる通りの、素敵なシティお姉様なんです」

 チホの言葉に、私はこれ以上吠える事が出来なくなってしまう。
 目の前で私を信頼しているチホに、弱音を吐けなくなってしまう。 

シティ「・・・だ、だけど、チホ。
 私はもう、忘れろと言われたのよ。
 海でも同じ事を言われたわ。
 私がこれ以上走っても」
チホ「いいえ、違います。
 私はここで一つ、ダンク様の秘密を明かさねばなりません・・・」
シティ「・・・ダンクの、秘密?
 何言ってる、の?」

 一瞬、チホの手がびくりと震えたのが分かった。さっきまでの勢いに任せたのとは違う。
 なぜか不吉な予感を感じたか、チホはもう黙る気は無いようだった。

チホ「・・・ダンク様には秘密にするよう言われましたが、私はもう我慢ができません。
 お姉様、ダンク様はもうお体が限界なのです」
シティ「・・・え?」
チホ「ダンク様の姿を形作る包帯、それがもう少なくなっています。
 もう、彼は最低限の行動しか出来ない筈です」
シティ「ちょっと、何を言ってるのよ?
 あ、あいつは切っても殴られても何の痛みも感じないミイラなのよ?
 変な事を言わないでよ」

 私の声は、まるで別人のように声が高く軽くなっていく。対してチホの言葉は低く重たく響いてくる。

チホ「いいえ。
 ダンク様は魔力で自分の姿を取り繕って生きている存在です。
 ですが、この数日であまりにも魔力を消費し過ぎてしまいました。
 その上、ダンク様はここに来るまで激闘を繰り返して・・・!」

 そこまで言って、チホの顔から涙が溢れ出してくる。私はただ黙ってチホの言葉に耳を傾ける事しか出来なくなってしまった。

チホ「もう涙も痛みも枯渇する程頑張っているのに、私の事を気にかけてくれて・・・道を間違えても諦めずにすぐに行動して、優しい言葉をかけてくれて!
 お姉様の本心は存じています、しかし・・・!」

 そこまで言って、ハッとチホは気が付いて顔を真っ赤に染めながら必死に首を横にふる。

チホ「ち、違います違います!
 私、私はお姉様一筋です!
 お姉様の事を第一に、考えて行動、したいのです!だから、だから・・・」
シティ「チホ、分かった、分かったわよ。
 だから落ち着いて、ね?」
チホ「はい、申し訳ありません・・・」

 チホは私からようやく手を離し、顔を両手で覆い隠してしまう。
 私はと言えば、今更になって自分の我が儘を後悔し始めていた。色んな気持ちと感情がぶつかりあって、その全てが落ち着こうと必死になっている。
 だけど、ここまで頑張ってきた私に、もう我慢なんてしたくなくて。
 私は空を飛ぶニバリを睨みつけ、右腕を上げる。
 すると大地から電柱が突出し、全てがニバリを狙っている。

シティ「・・・私、今まで自分の事しか頭になかった。
 自分以外、誰かを見る気持ちになれなかった。
 だけど、だけどねチホ。
 私はもう、私をみてくれる人がいるって知った私は・・・能力発動、『コンクリート・ロード』!」

 シティが右腕を降り下げる。それに呼応して電柱が地面から飛び出し、空を飛ぶニバリに激突した。

ニバリ「ぐううう!」
シティ「私は、もう倒れない!
 いや、倒れても何度でも立ち上がってやるわ!そして高みを、目指し続ける!
 それがこの『高鬼』シティの生きる道!」

 シティは立ち上がり、空を飛ぶ怪竜を睨み上げた。



続 
 
 
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