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2018年01月17日19:50

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長編小説 角が有る者達 第176話

第176話 『再会する半世紀前』

〜ひとみな眠る夜、一人であるこう。
 あの人思えば、幸せになれるよ
 街は眠り、私は目覚める〜

〜半世紀前、エドガー大学〜
 これは老いた芋虫が、まだ青い芋虫だった頃の話し。

ジャン「おーい、いるんだろ、目ぇ覚ませよー」

 大学生、ジャン・グールはその日、大学の近くにある二階建てアパートの二階の一番奥の部屋の入り口をノックしていた。
 だが、何度扉を叩いても部屋の主は扉を開けようとしない。
 ジャンがため息ついてドアノブを回すと、簡単にドアノブは回り扉が開いた。
 ジャンはまたか、と小さく呟きながら扉を開ける。
 先ず最初に見えたのは本の柱。次に見えたのは崩れた本の山。その次に小さな机が置いてあり、そこで一人の男が黙って本を読んでいた。
 頭にはアイマスク代わりに使っている帽子を逆さまにかぶっていて、洋服はだぼだぼのだらしない服だ。
 ジャンは指をポキポキと鳴らしてから本を読む男に近づき、無防備な男の頭に拳骨を叩き込んだ。
 男は頭を本にぶつけ、殴られた部分をさすりながらようやく振り返る。
 それを見てジャンは呆れ顔を見せながら話しかけた。

ジャン「よう、ナンテ。
 おはよう」
ナンテ「あ、ああ・・おはよう、ジャン。
 なんだい、いつの間に入って来たのかい?ノックは?」
ジャン「何回したと思ってんだバカ。
 鍵もかけねえで何を読んでんだよ」
ナンテ「あー、悪い悪い。
 ラ・ピュータの『叩き役』をさせてしまってすまないね。つい夢中になって・・これだよ」

 ナンテが頭をさすりながら見せた本の表紙には、『不思議の国のアリス』と書かれていた。ジャンは『ラ・ピュータの叩き役』が何なのか聞きたかったが、彼のキラキラした目とその下に出来たクマと、手に持った擦りきれた本を見てそちらを訊ねる事にした。

ジャン「不思議の国のアリスぅ?
 お前大学生になってそんな本読んでんのかよ」
ナンテ「不思議の国のアリスは素晴らしい名作さ。ここにある本の三分の一はアリス関連なんだ」
ジャン「んー?」

 ジャンが部屋を見渡す。
 どこを見ても本、本、本の山になっているが、そのタイトルには全て『アリス』と書かれていた。

ジャン「『不思議の国のアリスの料理』『アリスの秘密』『不思議の国と精神学』『探険、不思議の国』・・。
 お前、将来不思議の国のアリス屋でも開くつもりか?」
ナンテ「まさか。
 僕は考古学者になりたいんだ。
 そいつは趣味であつめてるんだよ」
ジャン「趣味で、ねぇ・・」

フォト



 ジャンはじろじろと本の柱に書いてあるタイトルを見る。様々な国の『不思議の国のアリス』が集められており、中にはジャンさえ知らない言語で書かれた言葉で書かれた不思議の国のアリスまで本の柱の一部と化している。

ジャン(まじでアリス博士になれるんじゃねえかこいつ?)
ナンテ「そういや、ジャン。
 君は何でここにいるんだ?」
ジャン「そうだったそうだった。
 忘れる所だった」

 ジャンは尚も本を読み続けるナンテの首筋を掴み、ずるずると引っ張り始める。
 ナンテは本から目を離すがジャンは気にしない。

ナンテ「・・どこに連れてくの?」
ジャン「大学。お前、単位がヤバイの忘れてないか。早くしないと遅刻するぞ」
ナンテ「や、やめろ、離せ、あんな時代遅れの場所に行きたくない!」
ジャン「天才の癖にバカな事言うなよ。
 どんな天才も学歴持っとかなきゃ良い仕事つけないんだぞ。
 あ、お前けっこう軽いな。
 全然食ってねえだろ。
 俺のバナナやるから口開けろ」
ナンテ「や、やめろ!バナナ5本を一口で食えるわけ・・あーーーっ!!」

 あの時は、何もかもを信じる事が出来た。
 何もかもが楽しくて、自分に何が出来るか知りたくて、がむしゃらに生きていた。
 お前もそうだったんだろう、ナンテ・メンドール。

△ ▼ △ ▼ △ ▼ △

〜現在・ジャン・グールサイドー  

ジャン「『密林は一瞬にして成り上がる(ジャングル・フォーミング)』!」

 ジャンは植物の種を大量にばら蒔くと、廊下に樹木が大量に、そして一瞬で全てを覆い尽くしていく。

アイ「う、うわ!?
 なんだこの大木は、密林!?」
ルトー「リーダー、こっち隠れて!
 敵が来るよ!」

 密林の奥でアイ達の声が聞こえてくる。だがジャンは彼等がどこにいるのか手に取るように見えていた。
 ジャンは服の下に隠した様々な武器を一瞬確認した後、うしろで控えているペンシとケシゴに命令する。

ジャン「ペンシ、ケシゴ。
 お前たちはそこで待機していろ!
 奴等がこの森を抜けたらお前たちの出番だ!」
ペンシ&ケシゴ「了解!」
ジャン「さあ、暴れまくるとしようかぁ!」

 ジャンは全身に力を込め、飛び上がる。
 一足で大木より上に飛び、細い枝を幾つも折りながら突き進み、太い枝に足をひっかけもう一度跳躍する。
 密林を抜けた先には、アイ達の姿が見えた。固まって何か話し合っているのが見える。
 ジャンは笑みを浮かべた後、大声を上げる。突然声を上げさせて相手をすくませる為にだ。

ジャン「うきゃきゃきゃきゃきゃ!
 みぃーつけたぁぁぁ!」

 アイ達は驚いたのか、動こうとしない。その間にジャンは拳を作り、集団の中にいるアイ目掛けて拳を振り下ろした。
 
ジャン「と・・っ!?」

 だが、拳を振り下ろしながらもジャンは違和感に気づく。目の前にいるアイは、一瞬も動こうとしない。まるで自分の姿に気付いてないかのように。
 ジャンの拳に入る力が抜け、軽い突き程度で攻撃を抑えていく。
 それでも着地と同時に床に小さなクレーターが出来る程の衝撃が出来たが、拳はアイの幻影をすり抜けた。

ジャン(立体映像・・罠か!
 ち、防御服展開!)
ルトー「かくれ罠、『隠戦目愚流(おんせんめぐり)』!」

 ルトーの声が響くと同時に、立体映像の側に設置された無数の地雷が一斉に爆破した。

ルトー「爆薬の檻で眠れ、『缶決戦(かんけつせん)』!」

 ルトーが設置した地雷は爆破の方向を一点に集中させる機雷。それが四方から一気に爆破し、爆炎が噴き上がったのだ。
 炎の柱に呑まれたジャンを視認してから、ルトーは隠れていたアイたちに向かって叫ぶ。

ルトー「急げ、皆!
 今のうちに密林を抜けるんだ!この道の先に結婚式会場へ繋がる道がある!」
アイ「わかった、ルトー、たのんだぞ!」
ルトー「うん、隠れ花、『彩花屏風』!」

 ルトーが叫ぶと同時に、密林の茂みや大木の幹から、大量の花火が噴き出してくる。花火の光と派手な音に紛れて、アイ達が密林の向こうへ走っていくのがルトーには見えた。
 そして炎の柱の方に目を向けると、柱から白い機械仕掛けの腕が出てきた。
 
ルトー「ち、無傷か・・!」
ジャン「ウキャキャキャキャ!
 小僧、お主ただのコスプレ野郎かと思ったら、案外きもの座った事をしてくれるじゃないか!
 上々、ワシも沢山の武装をしてきた甲斐があったものだ!」

 炎の柱を切り裂いて、ジャン・グールが姿を現す。だがその姿は先程とは違い、白い機械仕掛けの防御服に包まれている。

ルトー「アーマー・・!」
ジャン「モンキーアーマー。
 こいつに頼る事はあまりないと思ってたが、コスプレ小僧のお陰でまた着る事が出来たわい」
ルトー「ああそう、言っとくが僕はルトー。変な名前付けないでくれ」
ジャン「悪いがあだ名を付けるのはワシの数少ない娯楽なんでな、勘弁しとくれ。
 さて、お主はどこにいるんじゃ?」
ルトー「見つけてみなよ、僕は『隠れ鬼』。
 隠れて戦うのが好きなんだよ。
 こんな風に・・ね!」

 突如、茂みの中から鎖が飛び出し、ジャンの腕に絡み付いていく。良く見ると鎖に油が塗りたくられていて、妙にヌメヌメしていた。
 その鎖の先にある茂みが突然燃え上がり、鎖に火が移っていく。

ジャン「む?」
ルトー「『炎城(えんじょう)・茂みTELLER(テラー)』!」
ジャン「油の付いた鎖で絡めて燃やす、か。意外にえげつない攻撃をするんじゃな。
 じゃが、こんなもん鎖を千切れば意味無いわい」

 ジャンが腕を軽く動かすだけで鎖が引きちぎれ、炎は途中で止まる。そしてジャンは余った鎖を放り投げ、声のする茂みに狙いを定めた。

ジャン「なら次はワシの番、じゃ!」

 ジャンは声が聞こえた茂みに向かい飛び込んでいく。彼が作った茂みならこの程度簡単に破壊できる、そう思い一気に飛び出し・・茂みの立体映像を通り抜けた。

ジャン「ぬ!?」
ルトー「残念、外れだよ!」

 そう言う声は立体映像の下に隠してあるスピーカーから聞こえてきた。そして茂みの先には、白く柔らかい物体が撒かれている。ジャンはあまりに勢い良く飛び出した為に物体が体中に付着してしまった。

ジャン「ぬ?なんじゃこの白い物体は?」
ルトー「トリモチだよ。
 貴方の力は底知れなくても、そのトリモチを全て外す事は出来ないよね?」
ジャン「なんの、こんなもん・・ふん!」

 ジャンが思い切り立ち上がろうとするが、トリモチから足が離れない。手を動かせばいいと思った瞬間、腕に大量のトリモチがかけられ、腕が動かせなくなる。

ジャン「む、むむむ!
 貴様、ワシの後ろにいるのか!」
ルトー「正解!
 貴方が沢山木や茂みを作ってくれたお陰で隠れやすかったよ!」
ジャン「ウキキキ、ワシの技を利用するとはなかなか抜け目無い・・じゃが、この程度で終わると思うなよ?」

 ジャンは笑みを浮かべながら後ろを向くと、トリモチの入った機械を持ったルトーが立っている。だが、ジャンの表情に恐怖はなくルトーの表情に油断はなかった。

ルトー「僕も、貴方を侮る気はない。
 だけど戦いを続ける前に一つだけ聞きたい事がある。
 何故、貴方はそこにいるんだ?」
ジャン「ああ?」
ルトー「貴方は、シティの父親なんだろ?
 誰よりも子どもを助けたいのが、親なんじゃないのかよ・・。リーダーは、そうだったぞ」
ジャン「ウキィ?なんじゃ、そんな下らん事を聞くためにワシとサシで戦っていたのか?そんなもん、お前・・」

 ズドオオォン!

 一瞬、ジャンの脳裏に記憶が蘇る。
 自分が目を覚ました瞬間、目の前に映ったのはシティが胸を撃たれた瞬間の映像が、一瞬だけジャンの心を支配し、消え去っていく。

ジャン「・・・・ワシが、何故お前たちと今までここまで来たと思ってる?
 金儲けの為?Non。
 娘を助ける為?Non。
 果心様を助ける為?Non!
 ワシが来たのは、アイツの計画を知っているからだ・・」

 ジャンの口に笑みが浮かんでいく。
 ルトーは眉をひそめ、ジャンは自分で自分の口を動かしていく。
 それが自分の意思から出た言葉でないと悟りながら、自分の言葉を聞いていた。

ジャン「そう、そうさ・・。
 ワシはナンテ・メンドールが作り上げた『不思議の国のアリス計画』の全てを知っている。
 ワシのスーツの内側ポケットに、奴が半世紀以上かけて作り上げた計画の全てが記された封筒がある!
 それが送られたから、それを読んだから、ワシはここまで来て、ここに立っている!」


 ▼ △ ▼ △ ▼ △

 密林と化した廊下を、ゴブリンズたちは走り抜ける。その先頭をノリが走り続ける。その速度は生い茂った密林の中で速度が全く衰える事なく、他のメンバーはアイを除いてついていけていない。
 ようやくノリに追いついたアイだが、そのアイにノリが訊ねてくる。

ノリ「ぼ、ボクは確かに奴等を注意するよう君に進言したけどさ!
 あ、あの怪物をあんな女の子一人に任せていいっすか!?今すぐ戻って加勢した方がいいッスよ!」
アイ「あいつはジャンの親族だから大丈夫だろ」

 ルトーはゴブリンズ以外には『ジャンの親戚』という立場で隠すようにしている。
 それでもルトーの戦い方では勝てる見込みは少なそうに見えるが、アイはルトーが負けるとはそれこそ微塵も考えていなかった。

アイ「それより、ペンシとケシゴの方が危険ってどういう事だ?」
ノリ「う、それは、正直言って・・勘、みたいなものなんすが、あれは、ペンシさんじゃない気がするッス」
アイ「偽物・・?」

「偽物とは、心外だな」

 声が、上空から聞こえてきた。
 それに気付いたアイは急いでノリを突き飛ばす。その直後、アイの左肩にペンシの拳がねじりこまれる。

アイ「がああああああ!」
ノリ「アイ!」
「私は『ペンシ』役をしっかり演じるつもりでいるのだが」
アイ「ぐ・・ぅ!」

 アイは右腕でペンシの腕を掴む。そして腕力に任せてペンシを放り投げるが、空中で一回転して背後の大木を蹴り、ノリ目掛けて飛んでいく。
 アイは肩を抑える間もなく二人の会田に立ちはだかり、ペンシは力を込めた右手でアイの胸部目掛けて殴りかかった。
 ズドン、という音が響き、アイの体が僅かに跳ね上がる。
 そして、ペンシの拳はアイの体を貫通していた。血が少しだけ赤い服を滲ませる。
 抜き出せば一瞬で血が噴き出るだろう。

アイ「ぐ!」
「知ってるぞ。アイ。
 お前が強い事も。そして仲間を守る時無防備になる事も。
 だから、お前は一番簡単に殺せるんだ」
ノリ「あ、アイ!」
スス「リーダー!?」
ユー「え・・パパ・・?」

 少し遅れて走ってきた仲間達の声がアイには聞こえてきた。アイはそれに目を向ける事なく、ペンシの腕を掴む。

ペンシ「む?こいつ、まだ死んでないのか?」
アイ「は・・バカを言うなよ。
 鬼がこんな簡単に死んでたまるか・・よ!」

 アイは力の限りを込めてペンシの腹部を蹴り飛ばす。ペンシの体がのけぞり腕がアイの胸から離れそうになるがもう片方の手がペンシの腕を掴む為に離れる事が出来ない。

「がぁ!
 貴様、まだこんな力を・・!」
アイ「お、お前こそ、御しやすいな・・。
 後は、頼んだぜ・・俺・・」
「なに?」
「任された!」

 不意に、上から声が聞こえてくる。
 ペンシが上を見上げると、そこには今心臓を潰した筈のアイが左手の掌を向けながらこちらに向かって落ちてくる。

アイ「アイスボム!」
ペンシ「な・・!」

 アイが向けた左手の掌から、銀色の球体が飛び出し、ペンシの体がアイと共に凍り付いてしまう。それを見届けた後、本物のアイは笑みを浮かべ、肩に隠れていた鬼の人形、ユウキと一緒に笑い出す。

アイ「はーっはっはっは!
 囮作戦大成功!」
ユウキ『いやー上手くいったね。
 まさかいきなり『俺の分身作って先を走らせてくれ』なんて言い出すから、驚いたよ』

 それは、密林を走る途中での事。
 ノリが一人で先頭を走るのに不安を感じたアイがユウキを呼び出し、急いでアイの偽物を走らせてノリの護衛を任せたのだ。

アイ「ありがとうよユウキ、一瞬であそこまで精巧な偽物を作るなんて、本当に驚いた」
ユウキ『そりゃあアイの偽物なんて、よくよく妄想の中で作ってるから簡単に出来るよー。
 アイとデート!アイとランデブー!アイと、フヘヘヘヘヘ!』
アイ「(無視)ノリも大丈夫だったか!」
ノリ「う、うう、大丈夫ッス・・。
 でもボクも驚いたッス。さっきボクが話してたのは、偽物だったッスか」
アイ「お前、一人で先に走りすぎなんだよ。
 少しは俺達の事も信頼しろ」
ノリ「・・ボクは、警察を辞めた身ッス。それでも、仇敵を簡単に信頼するわけにはいかないッスよ・・」

 ノリはアイから目を背け、偽物のアイの胸を殴り飛ばした、ペンシに目を向ける。
 ペンシは拳を振り上げた状態のまま凍りついているが、目はギョロギョロと動き回っていた。
 アイの氷では動けなくなっても意識はある状態になっている。
 
ノリ「ペンシさん、貴方もそう思いませんか?貴方の本当は何者かボクは分からないッスが、ここでナンテたちの操り人形になるのは一番ダメな行動だと思うッスよ・・。
 自分の誇りを、忘れないで欲しいッス」
ペンシ【・・・・・・】

 凍り付いてはいるが、意識はあるし外からの声は聞こえている。ペンシに似た誰かはしばらくノリを睨み付けていたが、やがて静かに目を閉じた。
 それを見届けた後、ノリはアイに振り返る。アイは気付いてないが、ユーが少し泣きそうな顔でアイを見つめている事に気付き、小さく頭を下げる。

ノリ「・・・・アイ。
 さっきは一人先に進んで、悪いことをしたッス。おかげで見たくないもん、見せちゃったッスね」
アイ「あ?ああ、別に大丈夫だ。
 あ、頭あげろよ、まだ敵はいるんだ。
 後はアイツだけだよな?」
ノリ「・・・・そうッスね。
 後は、そこに隠れているやつッスかね」

 二人の目線が茂みに動き、ユーは眉をひそめる。すると、茂みの方から声が聞こえてきた。

「なんだ、何もかもバレてたのかよ。面倒くせえなあ」

 アイたちの目線の先にある茂みの中から、ケシゴが現れる。だが全員が知っているケシゴは絶対浮かべない、薄ら笑いを見せてくる。アイの拳がギリギリと震えてきた。

アイ「・・不思議だな。俺はお前なんかどうでもいいと思ってたが、それでもお前を見るとすっごく気持ち悪いのだけは分かる。
 お前、本当は誰なんだ?」
「俺が誰かだと?そんなものどうでもいい。
 俺が『ケシゴ』だったかとか、元は誰かだったかも、もう興味はない。
 ただこの目に映る全てが、地獄に変えられるならな」

 そう言いながらケシゴの姿をした男は笑みを浮かべる。そして、男の全身から目玉がギョロリと浮かび上がった。

アイ「!!」
「『百目鬼贋作地獄廻り』!、新しくなったケシゴの『恐怖』をその身で味わうがいい!」
 


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