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2017年06月13日08:33

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長編小説 角が有る者達 第151話

『シティとダンクとカスキュア』

 〜避難所前・広場上空〜

 空中ではマンボウマンがワイバーンと激しい戦いを繰り広げていた。
 マンボウマンが魚っ気(ぎょっき)パワーを両手に溜め込み、光弾(マンボウ波)を自分達を噛み殺そうとする翼竜に撃ち込んでいた。
 翼竜がマンボウ波に驚き逃げるのを確認した後、別の翼竜が火の玉をマンボウマンに向けて吐き出してきたが、
 魚っ気パワーを全身に溜め込んだマンボウマンにはダメージを与える事ができず、逆に火の玉が散ってしまった。
 目を丸くする翼竜の頭を殴りながらマンボウは下に顔を向ける。
 そこにはシティと対峙するダンクの姿が見えた。

マンボウ(団長・・お気をつけください。
 我等マンボウ合唱団はいつでも、団長を応援しています)「モラモラモラァ!
 どうした翼竜ども!もっとかかってこいやぁ!」

 七匹もいる翼竜が甲高い声でマンボウの挑発に乗った後、真っ直ぐマンボウに向かっていく。

マンボウ「我はマンボウ合唱団、筋肉担当のベイドリマンボウ!!
 我が筋肉はどんな美声よりも派手に鳴り響くぞ!!
 モラアアアアアアア!!」

 マンボウと翼竜の、激しい戦いはまだまだ続く。

▲   ▽   ▲


〜避難所前・広場〜

シティ(カスキュア)「キャァァァハハハハハ!!
 ダンク、あんたに私達を倒せる!?
 あんたが世界で唯一愛した女を、あんたは愛する事が出来るの!?」

 広場では避難所前でダンクと向き合っているシティがニヤニヤ笑みを浮かべながらベラベラ喋っている。

ダンク「口がうるさいな、少しは黙ってた方が美人にみえるぜ?」
カスキュア「下手な誉め言葉。
 さてはモテた事が無いわね?
 じゃあお姉さんが教えてあげるわね」

 そう言うとシティ・・いや、カスキュアの背後に大量の電柱が出現し、それは全てダンクに狙いを定めている。

カスキュア「親切なフラれかたって奴をサァ!寄生技、『ハイイロノアメ』!!」

 カスキュアが叫ぶと同時に大量の電柱が射出され、真っ直ぐ向かっていく。ダンクは一瞬避けようとしたがすぐに手を伸ばし、水色の魔法陣を目の前に展開させていく。
 そして完成した魔法陣を空に投げると、電柱が全て魔法陣へ向かっていき、魔法陣をあっさり差し貫く。

カスキュア「水色魔法『逃げ水』か。
 随分せこい方法で避けるんだな」
ダンク「温い攻撃しかしない奴に本気で対応する気はないさ」

 そう言いながらダンクは腕の部分の包帯をすこしほどき、縄のように細く伸ばしていく。そしだ空中の包帯で掴もうとした瞬間、
 背後からジャン・グールの不意討ちを喰らってしまう。

ダンク「ぐっ!」
カスキュア「キャハハハハ!
 不意討ちくらうとかほんとハッズカシー!
 ちゃっちゃと魔法の一つでも使えばいいのになー!ほんと、ばかだなー!」

スス「カスキュア・・シティの姿でダンクをいじめないでよ!」

 避難所前でススは叫ぶが、それは他の人の声でかきけされていく。

野次馬1「なんだあいつ、まともに技を喰らいやがって!
 ちゃんと戦う気あんのかよ!」
野次馬2「しかも、あの包帯野郎中身が無いぞ!人間じゃないのか!あんなん信用出来るかよ!」
野次馬3「女も女で電柱を振り回すなんて気持ち悪いし恐いし不気味だ!
 こんなん化け物同士の戦いじゃないか!
 俺は帰らせて貰うぜ!」

 ダンクとシティの二人を見て、野次馬達は怒りが頂点になっていた。ススは睨み付けるが、誰もそれに気付かない。
 ススの傍で立っていたノリが呟く。

ノリ「皆、酷すぎるッスよ・・。
 ダンクは必死に戦ってるのに・・」
ハサギ「仕方ないさ。
 あいつらは俺達とは違う。
 『ただ』旅行に来て『突然』変な奴に襲われて『危ないから』ここに来たのを『いきなり』眠らされ、挙げ句自分達の運命をあのミイラに託せって言われて、はいそうですかと従う訳にはいかねえだろ」

 ハサギはノリにそう言いつつも、左手の拳を強く握りしめたままだった。
 ススはそれを聞いてもなお、野次馬の声に負けないようダンクに叫ぶのを止めなかった。

スス「ダンクーー!
 あんた魔法使いでしょ、なんかインチキな魔法で何とかしなさいよ!」

 ススがもう一度叫ぶが、その声も他の人達の野次に消されていく。そしてダンクはジャンに目を向ける。

ダンク「その男に憑いた奴も、只者じゃなさそうだな」
カスキュア「あ、ばれちゃった?
 このコはカスキュアペットの中でも特にお気に入りなの。
 キュートな鼠少女は仮の姿。
 その真実は・・」

 ジャンの背後に突然、何者かの姿が見え始める。それは黒と白が入り雑じった気体で、その中から茶色の骨が姿を現していく。
 茶色い頭蓋骨の目が入っていた部分の二つの穴がこちらを睨み付け、手に持っていた錆びだらけの鎌を構えてくる。

フォト




カスキュア「かつてヨーロッパを恐怖の渦に巻き込んだ邪悪な怪物よ、アタシに従え!
 ハハッ、黒い夢の国へようこそ!
 眠らせる者(スリーパー)!!」

 カスキュアの言葉に反応して死神が鎌を振り上げる。その鎌をダンクの頭めがけて振り下ろした。

ダンク「っ!!」

 ダンクはぎりぎりの所で避けたが、今度はジャンがダンク目掛けて走りだし、巨大な腕で殴り飛ばす。

ジャン「バナナ〜〜バナナ〜〜バナナ天国〜〜」

 と言いながらビルをも壊す勢いで拳を振り回していく。ダンクは広場の端まで吹き飛ばされ、野次馬の目の前ぎりぎりで止まる。
 そして急いで立ち上がり、魔術を唱え始めた。

ダンク「個の世界よ輝け、個の世界よ渦を描け、個の世界よ、海原に突き進め。
 無色魔法、『閉じた世界のバイキング』!」

 ダンクが魔法を唱えた瞬間、空中に巨大な透明なガラスビンが出現する。その中には木造の船が入っている。ダンクは飛び上がるとその中に入り、船の中に入り込む。

カスキュア「な、なななあ!?
 船を出すとかズルいだろ!?」
ダンク「悪いがこちらは魔法が使える身分なんでな。お前も魔法美少女なら一つくらい魔法を使ってみたらどうだ?
 構えーーー大砲(つつ)!!」

 ダンクの船が横を向き、七門の大砲が向けられていく。カスキュアは笑みを浮かべた。

カスキュア(バカめ、まさか私が貴様等にビビって逃げ出すとでも思ってるのか?
 逆にわざと当たりにいって奴を動揺させて・・・・何!?)

 ニヤリと笑うカスキュアの右腕が上がり、空中に大量の鉄板が現れる。そして大声で叫んだ。

「鉄板カーテン!!」
ダンク「撃てーーーー!!」

 ダンクが叫んだ瞬間、大量の鉄板がカスキュア達の回りで展開し、大砲の球を直撃し、破壊されていく。それをカスキュアは呆然と見ていた。

カスキュア(なんだ、これは・・?
 アタシは今わざとやられようとしてた筈なのに攻撃を防いでいる。
 まさか、シティの意識がアタシを乗っとり始めた?)

 カスキュアは自分のモノとなった筈の手足を睨み付け、うごかしてみる。
 カスキュアが考えた通りに手足は動いた。

カスキュア(・・・・仮にそうだとして、なんだ?
 アイツがアタシを乗っとろうとこの戦いを止める事はできない。
 だが、念は入れておくか)

 カスキュアは左手の掌をかざす。
 すると、掌から粘性の高い水が溢れだしてきた。

ダンク「む・・?」
カスキュア「魔法が見たいなら見せてやるよ、アタシの奇跡の呪い、喰らいな!!
 嫉妬水『キルケ・ウォーターガン』!」

 カスキュアが叫ぶと同時に水が弾丸のように放たれる。しかしその先はダンクではなく広場の地面だった。
 地面に当たった水はぐにゃりと歪み、水の触れた部分から巨大な蛸の怪物が現れた。

カスキュア「キルケの泉は嫉妬の泉。
 その泉に触れた者はどんな美しい者も醜い怪物に変化してしまう・・。
 ズルって言うなよ!先にズルしたのはあっちなんだからな!」
ダンク「別にズルとか言う気は無いがな。
 構え、筒。撃て」

 ボン、と大砲が輝き蛸の怪物に砲弾が命中、一撃で蛸の怪物が爆発しバラバラになる。蛸の怪物の欠片に触れた野次馬が何人か悲鳴を上げたが、カスキュアは気にもしなかった。

カスキュア「くくく、弱いだろう。
 だがこいつの厄介な所はそこじゃない。
 この水を使えばあの野次馬をいくらでも怪物に・・・・うぉっ?」

 カスキュアは走りだし、ダンクの足元で止まる。そして右腕を振り上げると同時に地面から二本の電柱が出現し、ガラスビンの底を刺し貫いた。

ダンク「しまった!」
カスキュア「また・・!」

 ダンクが慌てている間にジャンがガラスビンを叩き、スリーパーの鎌がビンを切り裂く。ダンクは急いで船から飛び出したが、その直後船のガラスビンが粉々に砕け、姿が消えていく。
 広場に着地したダンクはカスキュアに向き直る。

ダンク「お前、ただの二枚舌だと思ったら意外に攻めるタイプだったんだな」
カスキュア(違うのーっ!アタシは)「あったり前でしょ!あんたはズルばっかするんだから!
 さあ、いくわよ!」

 カスキュアが右手を上げると、壊れたバスが二台空中から出現し、ダンク目掛けて落ちていく。ダンクは自分の体を構成する包帯を崩していき、攻撃をやり過ごそうとする。
 しかしその間にジャンが両腕でダンクを掴んだ。

ダンク「何!?」
ジャン「むにゃむにゃ・・」

 眠りながら豪腕を振り回し、落ちてくるバスに向けて投げようとする。このまま放り投げられればダンクは真正面からバスに激突した上に地面に踏み潰され、動けなくなってしまうだろう。
 だが、ダンクはジャンが掴みかかってくる事は想定していた。彼は更に自身の体を崩していき遂にはジャンの右腕に巻き付いてしまう。

ジャン「むにゃ?」
ダンク「離せるもんなら離してみろ!」

 ジャンは腕に巻きついた包帯をとろうとするが、ダンクはうまく自身の体をずらして動きを避けていく。
 そうこうする内にバスがジャンの目前まで落ちてきた。

ダンク「すまない、ジャン・・」
ジャン「バナナ、サイコー!!」

 ジャンが思いきり左腕を振り上げ、落ちてくるバスに殴りかかる。重量5000圓呂△襯丱垢、その一撃で吹き飛ばされた。

ダンク「な!?」
ジャン「バナナ食べれば力モリモリ!
 みーんなもバーナナを食べよー!!」

 ダンクは急いで腕から離れて自身の体を構成していく。その間にジャンにとりついているスリーパーが鎌を振り上げ、勢いよく振り下ろす。その一撃をダンクはぎりぎりでかわしながら、自身の体を完全に取り戻した。

ダンク「ち、なんだ今の!?
 あいつあんなにパワーがあるのか!?」
ジャン「執事ー!メイドー!
 オメーらもバナナ食えバナナー!
 しゃちょーが育てたバナナはうめえぞー!」
カスキュア(台詞が完全に酔った親父だ・・)「いや、そんな事よりこれは好機(チャンス)!
 このままアイツに任せて補助に回れば冗談じゃないわ!」

 カスキュアが叫ぶと同時に電柱が五本現れ、全てジャンに向かっていく。ジャンは簡単によけたが、いきなりの攻撃にダンクの方が驚いてしまった。

ダンク「む!?まさかこれは・・」
カスキュア「貴様、貴様アアアアア!!
 シティイイイイイイイイ!!
 アタシを、乗っとるつもりかあああ!?
 あっっったりまえでしょ寄生虫があああ!!
 私はシティ!あんたみたいな意気地無しにいつまでも操られる程優しくないわよ!」

 カスキュア・・いや、シティが頭を抑えながらダンクを睨み付ける。その目には先程とは違う輝きが見えていた。

シティ「ダンク、お願い!
 今の内に・・」
ダンク「ま、まてシティ!
 お前を傷付けるなんて本当は・・」
シティ「今までの鬱憤全部晴らさせろ!」

 シティは右腕に力を思いきり込めてダンクを殴り飛ばす。ダンクは完全に虚をつかれたのか、目を丸くしながら吹き飛ばされていく。そして倒れたダンク目掛けてジャンとスリーパーが攻撃の構えを向けるが、ジャンの顔面にタライが、スリーパーの頭に電柱が落ちて二体とも悶絶してしまう。

シティ「サルジジイもいつまでも操られてんじゃないわよバカ!
 あと野次馬どももさっきからうるさいのよ!私のイライラの六分の一はあんたらの罵倒なんだからね!?」
野次馬「な、なんだ?何がおきてんだ?」
野次馬「おいミイラ、早くそいつ殺さないと俺達が死ぬ・・」
シティ「『天誅脅し』!」

 大量の電柱を野次馬の目の前で落とし野次馬は全員何も言えなくなった。シティはふんと鼻を鳴らした後、目を丸くしているチホを睨み付けた。

シティ「チホ!」
チホ「は、はい!」
シティ「あんたの話、最初から全部聞かせて貰ったわよ!
 さっきからガンガン悪い事をして、よくもまあダンクに色々言えたもんね!」
チホ「も、申し訳ありません・・御待ちください!最初から!?
 お、御姉様、意識があったんですか!?」
シティ「あったわよ!体は全然動かせなかったけど!自分の父を刺したりこんな口だけぺーぺー女の言うこと聞いたり、
 いつもの真面目で厳しい貴女は何処行ったの!?」
チホ「も、申し訳ありません・・!
 今回の事は、本当に・・!」
イナカ「お、御嬢様・・!」
 
 シティは次にイナカに目を向けた。
 だが、その目には先程の強い怒りは込められてない。

シティ「イナカ!
 あんた私達が兵器みたいになるとかどーとか言ってたけど、私は一度も人を傷付けて楽しんだ事は無いんだから!」
スス「え!?」
シティ「無いんだからね!分かった!
 私はただ自分の力を軍隊やらテロリストみたいにえらっそうな自分つえーな鼻っぱしらを粉々にしてるだけなんだから!」

 それが人を傷付けて楽しんでるって事では無いでしょうか、と言いそうになったイナカはしかし、その言葉を飲み込んだ。
 
イナカ(先程から御嬢様は皆様に怒ってる。
 本当は、意見したり手を出せるダンク様や私達より辛かった筈なのに、それをおくびにも出す気配が無い。
 ・・これは、御嬢様なりの謝罪なんだ)

 イナカの目線の先のシティは気丈に声を出し続ける。カスキュアのドロドロした言葉とは違う、芯まで響く強さにイナカは僅かに笑みを浮かべた。

シティ「だから私はここに宣言するわ!
 カスキュア、私と勝負よ!
 な、なに!?
 それはどういう事だ!
 私があんたと一緒にダンクを倒す、出来なかったら私の勝ち!
 あんたを追い出しあの翼竜を下がらせなさい!
 倒せたらあんたの勝ち!私を好きにしなさい!ただし他の奴等を傷付けたり操るな!
 良いわね!?
 ふざけるな、そんなの聞くわけがい・い・わ・ね!は、はいぃ・・」

 壮絶な一人芝居にも見えるやり取りをした後、シティはダンクを睨み付ける。

シティ「そう言うわけで、ダンク。
 私は本気でやるからダンクも本気でやってね」
ダンク「シティ、お前・・」
シティ「私は、助けられるのを待つお姫様なんかじゃないのよ。
 誰もが恐れる破壊魔、高鬼シティ!
 そしてあんたは私が惚れた男、ダンク!
 だったらこの戦いも、本気で楽しみましょうよ!」
ダンク「・・分かった、俺も少しひよっていたようだな。
 行くぞ、シティ!本気でお前達を倒してお前を救ってやる!」
シティ「来なさい!」

 痛みから回復したジャンとスリーパーが立ち上がり、ダンクに向かい襲い掛かる。
 ダンクは二人を見た後、最大呪文を放つ為の最後の仕込みに入るため、シティ達に向かい走り出した。




ノリ「・・これ、事態が悪化しただけなんじゃ・・」
スス「た、多分大丈夫よ!多分・・」
 
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コメント

  • mixiユーザー

    mixiユーザー2017年06月20日 08:41
    ダンクvsカスキュア!
    とても熱いバトルですが、
    シティの体を乗っ取っている状態だとめちゃくちゃ不利ですね。
    死神が出てきたのがまた驚きました。挿絵も迫力あります!
    けれど、シティやはり乗っ取られたままではないですね!凄い精神力!
    決着の付け方もシティらしいです。どんな結果になるか楽しみですね。

    1つだけ気になったところが、死神が現れる場面
    ジャンの背後に突然、何者かの姿が見栄始める。とありますが
    「見え始める」ではないかと思いました。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2017年06月21日 06:59
    > mixiユーザー コメントありがとうございます。シティの精神力ならカスキュアに勝てますね。
     シティらしい決着の付け方ですが状況は少しずつ悪化しています。次回を楽しみにしてお待ちください。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2017年06月21日 07:02
    > mixiユーザー 誤字を訂正しました。教えてくれてありがとうございます。

mixiユーザー

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