mixiユーザー(id:10063995)

2014年07月09日23:13

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勢いだけで作った短編小説

短編小説

全人類均一化計画

『全人類均一化計画』
貧困、環境汚染、戦争、政治…。
様々な問題を解決するため、ある一人の学者が装置を開発した。
それは人類均一化装置。

この装置に入る事で、人間の思考、世界観、判断基準、外見は一定となり世界を均一化する。
それはすなわち世界の文化、歴史、価値観を破壊する事に他ならない。
初めは反対する人が大勢いたが、均一化されてない彼等の意見が揃う事はなく、身内同士で争うだけに終わってしまった。

それを見た博士や政治家はこぞって価値観の均一化を推進し、世界中の人間が装置により均一化する事が決定した。
これが均一化された人類の姿である。
フォト



そして、数年の月日が経ち、装置は全人類を均一化させた。
思考、外見、世界観を均一化された人類は争いが無くなり、銃を持つ意味を失ったかに見えた。

しかし均一化された人類は仕事をこなす事が出来なくなっていた。

子育ての仕事をする者は子育てができなくなり、
警察や軍人は自分の行動に自信が持てなくなり、解体された。
均一化された人類は仕事に自信や才能を見出だす事ができなくなり、芸術は完全に死滅。
小説、宗教、漫画、音楽、絵画、造形、更には工業、料理までもが存在の意味を無くした。

均一化した彼等だが感情を失った訳ではない。
人々の感性があくまで均一化されただけで、怒りや悲しみはある。
そのため仕事が出来なくなった者達は悲観し、自殺したり異常行動を起こすようになる。
だが異常行動を起こした者は反逆者として裁判に掛けられ、死刑となる。
均一化された世界に残された最後の個性、それは法律だったのだ。

それに気付いた者達は法律を大切にするようになる。
新しい法律を作る事は国の行事のように大切になり、人々は国の法律をまるで神のように崇めていく。
これが彼等から見た神々しい法律の姿だ。

フォト




しかし法律は世界均一ではなく、国一つ一つに合わせた個性だった。

法律を大切にするようになった人々は、違う法律にケチをつけるようになる。
我が国の法律はここが素晴らしいのに、君達の国の法律はそこが違うのだ、と。

それが発端となり、人々は銃を持つ意味を取り戻す。
人々は自分の法律の為に、相手国の法律を崇める人々を殺し、自らの国の法律によって死刑になり殺される。
それを見た人々は彼等を英雄と崇めるようになり、彼等の均一化した感性の中で光り輝く存在になる。
また殺された法律の国の人から見れば彼等は敵として憎まれるようになり、均一化した感性の中で闇の感情の中心となっていく。

このままでは戦争が始まってしまう。
その危険性を考慮し、再度均一化の為の装置が動き出した。

しかし、再度均一化の装置が動き出してしまった為にある事実に人類は気付いてしまう。

『人はそれぞれ、少しずつ違って存在しているのだ』、と。

気付いてしまった人類はもう均一化を讃えていた時代には戻れない。
そして気付いた人類が最初に行ったのは、失われたモノを取り戻す為に均一化解除装置を作り出す事だった。

Fin

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コメント

  • mixiユーザー

    mixiユーザー2014年07月10日 00:04
    こんばんは、はじめまして。卒爾ながら、コメントさせていただきます。

    この小説は、C.トベルト様の感性が色濃く反映されていて、なんとなく引っかかるというか、実に興味深かったです。きっとトベルトさんは、普段からいろいろと深く物事を考える癖がついているタイプなのかなあと想像しました。

    個性を意味する「法律」がなぜネジなのか?普通はDNAを書きますよね?で、銀河鉄道999の最終回に同じようなことが書かれていますので、そこから来たのか?と想像しました。

    人類が取り戻す「失われたモノ」。なんだろう?と考えてしまいました。文化とかいう表層的なものではない気がする。いずれにしろ、解除装置を作るだけでは、解決はしないのではないか?と思いました。

    ありがとうございました。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2014年07月10日 06:16
    うーん……
    難しいですね……
    感性が均一化されると法律が国によって変わるんでしょうか?
    そもそも国と言う概念が残るんでしょうか?
    なんと言うか難しいですね。
    でも面白い作品でした!
    ただ、短編よりもじっくりと時間を掛けて長編にしたい内容ですね。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2014年07月10日 09:40
    すべてが均一化された世界。

    すべて均一化されているはずなのに、起こってくる違い。
    均一化装置が不完全だったのか、まだまだ人間の心を消すには早かったのか
    すべてを同じにするならば、感情を消してしまうべきだったかなと思いました。
    感情が無ければ争いも戦争も起こらないはずですから・・・
    楽しみも喜びもないのでそれに存在意義があるかは疑問ですけど・・・

    取り合えず思ったことは「今の世界で十分」かな(^^;)
    皆違ってるのは当たり前!
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2014年07月10日 10:03
    > mixiユーザー コメントありがとうございます。均一化するとどうなるか、あの絵を中心に書いたらこうなりました。
    他人の基準は分かりません。だから自分の基準は大切にしないといけないんですよね。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2014年07月10日 10:12
    > mixiユーザー コメントありがとうございます。その想像で正解だと思います。結構深読みするタイプなんですよ。
    個性を意味する法律が何故ネジなのか、と言う問いですが、あれは皮肉のようなモノです。
    簡単に取り外しできる、簡単に付け替えられる、絶対性の存在しない『個性』を皮肉ってネジにしました。

    失われたモノは人それぞれだと思います。
    職人の誇りだったり、愛する心だったり、進むべき夢だったり、忘れたくない想い出だったり、均一化する事で失われたモノは何かに夢中になれる事、なのかなと自分は考えています。

    コメントありがとうございます、短編小説はプロフィールでまとめて掲載してるので良ければ見に来て下さいね。(⌒∇⌒)ノ"
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2014年07月10日 10:17
    > mixiユーザー コメントありがとうございます。
    法律が国によって変わるというより、元々残っていた『個性』の残骸に皆がしがみついていた、というようなものでしょう。
    国という概念は殆どないと思います。見た目まで均一化された事で彼等の目には国境は存在しなくなり、法律が分けられた地域、という考えになったと思います。
    そこら辺書けなかったのは勿体なかったですね。
  • mixiユーザー

    mixiユーザー2014年07月10日 10:25
    > mixiユーザー コメントありがとうございます。
    均一化された事で人々は執着しなくなり、様々な世界観が無くなります。
    簡単に言えば牛肉を食べない人達が牛肉を食べられるようになり、ニュースを見ても皆同じ感想しか言わなくなる。
    そんな感じの世界です。
    そしてそんな『何もかも自分と同じ世界』だからこそ、『他者の意見』である法律は輝いて見えたのです。
    やはり皆違って皆良いのです。

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