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2020年06月05日22:08

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読書日記

帰りの丸い月と偶然に目が合った。
仕事を終えて車に向かう駐車場の真ん中辺りだった。

踏み締めて歩く砂利の音が淡く消える間に
月がどう動いているか少し見詰めていたが、
首が痛くなったのでやめにした。
暖かい夜に今日が終わろうとしている。

十分くらい前の話だ。
残業中に同僚が給付金が40万入ったならそれで
株やFXをやれと勧めてくる。
数週間前までヤバいヤバいと嘆いていたが、
ここ数日で持ち直してきたらしく、
数十万は儲けているそうだ。

本人は経済学部卒で株は得意だとか、同窓生には
有名な証券会社に入った者や倒産した山一証券に居て
大変な目にあった者もいたなどと話して来る。

ちょうど今篠田節子の証券マンの或る男の人生を
書いた本を読んでいた。
作中では東栄証券と言う一流の会社に勤めていたが
倒産の憂き目に遭い人生に翻弄されていく。

偶然だったのでその友人は高澤と言う人ですか?
と訊ねようかと思ったがクライマックスが
薄くなりそうだったので喉仏辺りで止めておいた。

本の内容は涙が出て感動するでもなく、
重いテーマを投げ掛けて来るでも無くひたすら
或る男のありきたりな人生を男の視点で描いている。

作者は女性である。

女性軽視では無い。三人称形式だが正直、
作家は凄いなぁと思った作品だった。

同僚にはギャンブルはやらないと断った
偶然の夜の事。

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