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2018年01月31日09:19

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敗戦後の人口過剰問題の解決策

優生保護法は1946年にできた法律だが、
実は敗戦後の人口過剰問題への対策のひとつと位置付けられていた、ということを
この訴訟に関連する記事ではじめて知った。

なるほどねぇ、今も昔も「人工妊娠中絶」に関する法律は
人口調整手段のひとつなわけだな。
わたくしが医師免許をとった平成元年には「人工中絶を受ける理由」として
「経済的に負担が大きく育てられない」がちゃんと通ったが、
今現在ではこの理由では原則的に中絶ができない。
中絶処置を行う医師の資格も厳しく確認されるようになり、
明らかに「中絶しにくい社会」となっている。
これは当然「少子化対策」の一環だったのだね。

話をもとに戻すとそういうわけで、
中絶推奨、ただしどっちかっつーとまともな国民ほしいので、
バカ(あえて書く)の妊娠中絶を推奨ね!という法律だったんだが、
最初は「任意」だった。
するとその2年後「ちっとも成果が出ない」(人口増加が止まらない)との理由で、
「強制」と法律内容が変更された。

国がもっとやれどんどんやれ、というとき、現場の病院や医師にはどうにもできない。
今も、院内の薬倉庫にある薬は全部ジェネリックにしないと補助金削るよと言われて、
通院のときは院外薬局で先発品の薬をもらってた人も
入院すると「強制的」にジェネリック薬品しか使用できなくなる。
そしてジェネリックは、必ずしも全部がそうではないが、
先発品より効果が悪かったり副作用が強かったりするのは事実だけど、
「主成分が同じだから同じ薬」と国は言い切っている。

もう一回話をもとに戻す。
やはりこの事件に関連する報道で、手術の前の診断のとき
「精神薄弱」「ただし遺伝性でない」と書かれた記録が多く見つかっているらしい。
法律はあくまでも「遺伝性疾患」に対する運用としての強制不妊手術とされている。
ゆえにこの記録を書いた医師は、これから自分が行おうとする不妊手術が
法律にのっとっていないことを知っていたことになる。
つまり医師も自分がなかば強制されて手術を行っていたことを知っており、
せめてもの抵抗として「遺伝性なし」の記載をした可能性が高いと考える。

中国で、人口爆発への対処法として人工妊娠中絶を推奨したとき、
「ひとつの集落で1か月に何件の中絶」をしろ、と件数を割り振ってきて、
件数をみたせば奨励金を出した、という事実がある。
件数を満たさないときはどうなったかはその資料に書いていなかったが
おそらくなんらかの罰則があっただろう。
だから集落ではわざわざそこに住んでいない妊婦を探してきて
集落内で中絶したことにさせたりもしたという。
日本でもおそらく「成果が上がらないから強制的手術に変更」されたとき、
はっきりした言い方はしなくても
公立病院では年間このくらいの優生手術(優生保護法にのっとった手術)を
行うことが推奨される、みたいな通達が旧厚生省から回ったのではないか。

その意味では、手術を受けることを強制された患者さんも、
手術を行うことを暗に強制された病院も医師も、全員が被害者、ということになる。

ただし、以前書いた日記のように
法治国家では「悪法とえいど法は法」が原則なので、この法律の是非は今から問えないだろう。
すでに改正dされているので。
「遺伝性なし」の患者さんに手術を強制した、という法律運用上の間違いを問う裁判になると考える。
さらに、法律運用の間違いから受けなくてもいい不妊手術を受けさせられた患者さんには、
当然のことながら国の賠償責任が生じる可能性が高い。

強制不妊手術 除斥期間が焦点
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=2&from=diary&id=4965705
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