(前に書いた日記の再掲)
お産の痛みで分娩後疲労しきってしまうと、育児も家事も大変。
お産の傷の回復も遅く悪露もなかなか止まりません。
無痛なら痛みによる疲労がほとんどないので分娩後が楽。
妊娠10か月自体が大変なんですから、もし楽にお産できるならそのほうがいいんです。
無痛分娩は「硬膜外麻酔」という方法を使うのが一般的です。
(もちろん他の麻酔方法もありますが)
下半身の痛み神経を麻痺させるのに、腰の神経に麻酔をきかせるのですが、
神経は、脊椎骨の中に「硬膜」という膜につつまれて入っています。
脳からずーっと脊髄神経が続いているわけです。
この、脊髄神経が包まれている硬膜の外側に麻酔液を注入します。
麻酔液は硬膜からしみこんで神経を麻痺させます。
ちなみに「脊椎麻酔」という虫垂炎とか帝王切開のときに使う麻酔があって、
これは硬膜の中に麻酔薬を注入するんですが、
この方法だと使う麻酔薬は2ccくらい。
硬膜外麻酔だと15から20ccです。
つまり硬膜外だと思っていて、万が一硬膜を破っていると(脊椎麻酔になっていると)
腰の神経より上まで麻酔がきいてしまい、
呼吸に使う筋肉が麻痺して呼吸が止まってしまいます。
この状態を「全脊麻」(ぜんせきま)と言います。
この状態に万が一なってしまったら、人工呼吸機をつけて麻酔が覚めるのを待ちます。
24時間以内には覚めますよ。
そういうわけで、硬膜外麻酔を行った場合、最初の30分くらは患者の状態をよーくみなくちゃならない。
そのあとも原則的には医者は患者につききりです。
最低でも他の手術に入ったり外来やお産で動けないなんてことなく、
つききりの看護師の常に呼吸や血圧を測定させ最低でも1時間に1回は自分で様子をみる。
これができてこそ「安全な無痛分娩」です。
この病院では、残念ながら麻酔後に医師がその場を離れてしまい、
そのときに状態が急激に悪化したようです。
麻酔が悪いんじゃない、ちゃんと見てなかった医者に責任があります。
ログインしてコメントを確認・投稿する