臍帯血も臍帯も若返り効果はない

なんかこのニュース関連の記事いろいろ検索してたら気持ち悪くなった。

臍帯血は血液疾患の治療に使われる。
造血幹細胞といって、血液を作る能力のある細胞が含まれているから
自分の骨髄が病気になってちゃんとした血液を作れなくなる病気に使う。
ただし、これを行っても、細胞が骨髄に生着するとは限らないので、
臍帯血移植を行えばすべての血液疾患が治るわけではない。
それに、臍帯血は一回でせいぜい２０ｃｃくらいしかとれないので、
たかが２０ｃｃの移植ではたいした細胞数は入手できないし、
生着率も高くはない。
それでもこの治療が行われるのは、
臍帯血幹細胞はオトナから骨髄をもらうより手軽だし、
GVHDという一種の拒絶反応（激烈）もおきにくいからだ。
起きないわけじゃないけど。

でも、記事を読む限り、どうもそういう病気の人間が
今回みたいな闇ルート横流し臍帯血をほしがっているわけではないようだ。

美容目的。

造血と書いたけど基本的に幹細胞はどんな細胞にも変化できる能力がある。
だからこれを注入して「お肌の細胞」にしたいとか言い出すようだ。
…そんな都合いい話あるわけないじゃん。
それから、臍帯血には胎児を成長させる不思議な力があって
…このへんもう吐き気するほど医学的に間違っているおとぎ話…
で、全身が若返るっていうイメージ。
これの関連でプラセンタ（胎盤）とか臍帯（へそのお）そのものまで
「人を若返らせる」という話にこじつけている。

誇大妄想つーかただのキチガイのたわごとにしか思えないが、
こういうのを結構真剣に考えちゃう人たちがいるんだよね。
お金がたくさんあってひまーな人たち。
今受けている各種エステ（高額）に満足できない人たち。
そういう方々がこの「臍帯血による蘇り美容」に飛びつくらしい。

ばーか。

で、ワシが一番気持ち悪いと思うのは
この話が何かに似ていることだ。

そう、「若い女性の生き血を飲んだりカラダをひたしたり」するという
古代からある禁断の美容法です。
赤ん坊をたくさんさらってきてその生き血を飲むとか浴びるとかの話もあるし、
バンパイヤさんは決して妖怪変化ではなく、
ふつうの人間の心に住む、ってやつですか。

うう、バカ臭いし気持ち悪い。

医学ができないことがふたつある。
人間を不死にすることと若くすることだ。
人間は生まれて年とって死ぬ。
これだけは絶対に変えられない。
いくら何やって「７０歳なのにこのビハダ！」とか言っても
生まれて７０年たっているという事実は変わらないし、
もう７０年後には死んでいることもはっきりした事実。
その事実から目をそむけてもねぇ。

■臍帯血の移植１回３００万〜４００万円台　巨額利益を容疑者ら山分け
(産経新聞 - 08月27日 22:52)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=3&from=diary&id=4736917