こどもってダレでも産めるものじゃないよ？

もと不妊症専門を目指してた産婦人科医です。

この記事になっているお方は自分で「産まない」選択をした人なので
何を聞いてもいいかもしれないけどさ。
これを記事にしてみなさまに読ませてしまうのって問題あると思うわ。
だって

こどもは望めば誰でも産めるもの

ではないから。
誰も望めば必ず産めるなら、ワシのもと専門の「不妊症医療」なんか不要だ。
若くて結婚したって産めないカップルはなんぼでもいるぞ。

なにせ体外受精までいった理由の一番多いのが「原因不明」なんだから。
体外受精はふつうには「卵管が閉塞して卵子が通れない」理由で行う
一種のバイパス手術だけど（卵巣から卵とりだして受精卵にして子宮に戻す）
なぜだか「卵管は通っている」「他の検査も異常なし」なのに妊娠しない人たちに
最終治療手段として行われる。
…まあ裏を言ってしまうと、そこまでやってはじめて
「精子が卵を覆う皮を破ることができない」とかのミクロな理由がわかることあるけどね。
でも全員がそうじゃありません。

不妊治療に通う患者のうち、妊娠できるのは全体の３割。
この数字は「不妊治療というもの」が始まって以来ほとんど変化なし。
正確とは言えないがわかりやすい数字を出すと

全カップルのうち１０％が不妊症。
不妊症カップルのうち７０％は妊娠できない。
のだから
１０００カップルいたとして７０カップルにはこどもができない、という計算になる。

どぉです？けっこうな数でしょ？

だから「こどもを持たない選択」とかおっしゃってても
こどもがもてない運命だった可能性もあるんでね。
あんまりこういうことを「自分の選択の結果」だとか言うのは感心しないし、
それを記事にして「あなたはどういう選択をしますか」みたいな、
まるで「産むと決めたら産めるんだよ」みたいな言い方も好きじゃない。


■81歳の今だから語れること「子どものいない人生に一度も後悔はありません」
(ウートピ - 07月18日 19:52)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=184&from=diary&id=4674139