まず、基本的に医療とは人のカラダを傷つける行為を行うことが多い。
注射も手術も「皮ふを切る」わけだし当然痛い。麻酔してても痛いときはある。
喉の奥を見る検査は苦しい、胃の内視鏡で死ぬほどの思いをした人もいると思う。
だから「治療の残酷さ」とか言われたって、「はあそうですか」としか思わない。
「まあ関係ない他人にはそう見えるかもしれませんけど、この人には必要なんです」と。
だってそうなんだから仕方ないよ。
抗がん剤なんか明らかに副作用が出るのを知ってて使うわけで、
「さあでるぞでるぞ」と思って観察してて、どーっと吐き気がきたり
一気に髪が抜けたりするのを見ると「はぁやっぱり来ましたか」と思う。
吐き気止めとかなんとか考えられる限りの対策をしても、来るもんは来る。
でもまあ、がんはね、治さないと死んじゃうからね。
でも不妊症は、少なくても「それが原因で死に至ることがある疾患」ではない。
もし万が一「飲むとこどもが欲しくなくなる薬」が開発されたら
この地球上から「不妊症」という疾患は消え失せる。
こどもが欲しくない人にこどもができなくても「不妊症」とは言わないから。
不妊症は「こどもがほしい」人だけが治療を受ける疾患だ。
治療をいつ始めるのも、逆にいつあきらめてやめるのも自由。
(45歳以上から治療するってのはいくらなんでも無理だけど。)
だから他人がどれだけ「残酷」と思っても、思うのは自由だけど、
治療を受けている人にとっては真剣でまじめで深刻なことなんです。
だから「治療が残酷」なんて言わないでほしい。
不妊治療の本当の残酷さは
「全不妊症患者のうち妊娠できるのは3割」という事実。
1万人の患者のうち、こどもが持てるのは最大3千人。
残りの7千人は、どれだけ時間とお金をかけてもこどもはできない。
この事実にとても耐えられなくて、自分は不妊症専門の世界を降りたんだけど、
3割の人たちだって、治療を受けなきゃこどもが持てなかったわけで、
その人たちのためにがんばる、という不妊症専門医はやっぱりこの世にいないとね。
“不妊治療の過酷さ”物語る写真が話題に
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=84&from=diary&id=4449176
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