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2017年01月19日13:36

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産經夕刊の夕焼けエッセーにグッと来ました。

産經夕刊の夕焼けエッセーは楽しみの一つ

■いつも楽しく読んでますが、これにはグッと来ました。
http://www.sankei.com/west/news/170117/wst1701170068-n1.html

赤いバラの包装紙に包まれた箱が母から届いた。中には淡い水色の厚手のカーディガンが入っていた。1月16日、私の50歳の誕生日だ。その頃、気苦労の多かった私を気遣って80を越えた母が篠山の冬は寒いだろうと私の好みそうな色を選んでくれたに違いない。その夜遅く、久しぶりに母に長電話をし、お礼を言った。母も「趣味の写真を撮りにあちこちに行っている」などと近況を明るい声で話してくれた。
 翌朝テレビに映った神戸の惨状に愕然(がくぜん)とした。取る物も取り敢えず車を走らせ何とか辿(たど)り着いた家は全壊。夕べの電話の後すぐ寝たであろう姿のまま母は梁(はり)の下に逝ってしまった。一緒に住んでいた妹家族は自力で這(は)い出していた。
 篠山で簡単なお葬式を済ませ小さな箱に母を抱いた時、初めて人前に大泣きをした。昨夜の母の声が耳から離れない。若くして夫を亡くした母は苦労して私たち子供3人を育ててくれた。事情あって、18歳で皆と別れて暮らさねばならなかった私を何かと気遣ってくれた。いろいろな事への「ありがとう」を言えないままになってしまった。届くものなら手紙を書きたい。
  
  如何(いか)ほどの切手を貼れば届くのか母  住む国は空のまだ上
  
 そんなことを思っていた矢先、亡くなった人へ手紙を届けてくれるというイベント(慰霊祭)があり参加した。きっと母に届いたと信じたい。開けるのが辛くて箱に入ったままのカーディガン、今年こそ着てみよう。
 酒井牧(72) 兵庫県篠山市

■翌日の夕刊コラム

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