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2016年10月13日22:43

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楽しいレトロプロブレム(56)

(89)橋本 哲(Phenix 2000)
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Proof Game in 20.0 moves(14+14)

 なくなった駒は白がP2枚で、黒はRPの2枚。黒側の駒取りはc6,d6で尽きているのでg筋の黒Pはこの筋で取られており、白側の駒取りもこれとe3とで尽きている。よってb,c筋の白Pはいずれも直進しており、b筋の白Pは成っていてc筋の方はc6で取られたことも分かった。
 ここで白の手数計算をしてみよう。もし白Qg7がオリジナルなら、盤面配置に11手かかる。これにc筋のPの3手と、b8で成ったQをd6に捨てる7手を加えると計21手となり、手数オーバー。よってQg7は成駒であり、初形位置の白Qをd6に捨てたのだとすれば20手ちょうど。これで帳尻が合った。
 この成Qの動きを見るとg筋の黒Pは不動のまま取られており、従って白Pe3が取ったのは黒Rh8ではない(Pxe3の後でQd6となるので、Rh8がe筋から出てくることはできない)。では何を取ったのだろうか?黒が成駒を作れないことを考慮すると、取った駒はRで間違いない。ということは、実は取ったのは黒Ra8で、出題図でa8にいるのは元々h8にいたものだったのだ!
 ここまでくると、作者の意図が見えてくる筈。この黒Rの移動の為に、一見不動に見える8段目の黒駒が6枚もswitchbackしているのだ。あとは実際に試行錯誤してみるのが早いだろう。作意は以下の通り。

1.c4 Sa6 2.c5 Rb8 3.c6 bxc6 4.b4 Rb5 5.Ba3 Re5 6.b5 Re3 7.dxe3 Sh6 8.Qd6
exd6 9.b6 Qg5 10.b7 Be7 11.b8=Q 0-0 12.Qb2 Bb7 13.Kd2 Ra8 14.Kc3 Sb8
15.Kb4 Kf8 16.Qxg7+ Ke8 17.Sc3 Bf8 18.Rb1 Qd8 19.Ka5 Bc8 20.Rb7 Sg8

 表層的なことで言えば、6枚のswitchback+anti-castlingということになろうか。だが、こういう数量的な評価より、テーマの表現の仕方に関する作者の哲学を感じ取るべきだろう。

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(91)Michel Caillaud(Moutecidis Fougiaxis Prentos JT 12/2006, 2nd Prize)
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Proof Game in 18.5 moves (14+13)
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