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2016年10月13日15:56

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薬師寺みちよという参議院議員がやった「よけいなこと」

少し前に産婦人科学会関係者に聞いた「こんなことがあったよ、驚いたね」という話題。

薬師寺みちよさんというお方は参議院1期目だそうだが、
そもそもは女子医大を出た医師免許のあるお方で、
専門が何かは知らないが学位(博士号)ももっている。

そのお方が去る4月に「質問主意書」ってのを提出した。
中身はいろいろ書いてあるけど
「看護師は子宮がん検診を行ってもいいんじゃないの?」という意味。
これに対して誰が答えたか知らないけど
「法律上は問題ないですよ」と回答されてしまった。

この裏には「助産師の業務拡大」運動がある。
お産の取り扱い件数がちっとも増えないので、何か自己主張したいやつらは
「子宮がん検診ならできるのではないか」と考えた。
実際少しまえに助産師学会から出た文章で
「女性の一生に寄り添う(この言葉がまたいやなんだ)職業」なんで
「更年期の診断治療や子宮がん検診」もやりたいと書いてあった。

それを読んだときすごーく、いやな感じがした。
更年期の治療ってけっこう大変なんだよ。
おばちゃんの愚痴聞いて「そうよねわかるわかる」って言えばいいんじゃない。
そもそも本人が「更年期で具合悪い」と思い込んでいても
まったく別な病気のことだって多い。
たとえば「うつ病」の初期症状はすごく更年期障害に似ているが、
うつ病と気づかないで漢方なんか処方しても治らないどころか、
万が一悪化すればうつ病症状として最悪の「自殺」がありえる。
なんでもかんでもホルモン剤使えばいいってもんじゃない。

その「ホルモン剤」を使うためにはどうしても「子宮がん検診」が避けて通れない。
だから…っていう話なんだと思われる。
おそらく厚生労働省看護局の偉いお役人(看護師助産師免許を持つ)が
この世間知らずな女医の参議院議員さんにとりいったんだと思います。
そして「できレース」の質問と回答をしたと思わる。

ただねー。
たとえば自己検診で膣内をこすって郵便で送る「子宮がん検診」あるけどさ。
子宮の入り口こすってないんだから、
そうとう大量のがん細胞が出てないと陽性にならないよ?
つまり進行がんしか診断できない、初期がんで部分切除で治るうちはわからない。
それでもまあ、産婦人科がすごく遠くて絶対受診できないけどがんは心配とかさ、
そういう場合はまあ「しないよりいい」けども、
産婦人科受診ができるならきちんと子宮口を見ながら細胞とったほうがいいわけじゃないですか。

この「子宮口を見る」にクスコというろうと状の器具を使うわけですが、
けっこう難しい。
膣の太さ大きさ方向が違う、痛みを感じる場所とか程度も違う。
子宮周囲の痛み神経は下手に刺激すると気絶する。
下手な研修医が子宮がん検診で気絶患者を数人作るなんてのはときどき聞く話だ。
まあそれでも細胞がとれれば「がん検診」の目的は達するけど
自慢じゃないが平成元年に免許をとったこのワシ自身、クスコをかけた
「ううこの人子宮口見えない」ってことがある。
すごいデブで肉が邪魔とかお産したことなくて膣激狭とか。

そういう患者さんを経験と勘でこなすのがプロの産婦人科医だ。
ああそれなのにそれなのに。
看護師風情ががん検診して細胞とりたいって?
ちゃんちゃらおかしいんですけど。

さらに、子宮がん検診には経膣超音波がセット。
これで卵巣がんとか子宮筋腫が見つかることはけっこうある。
ワシなんか一度、膀胱内に腫瘍あるのを見つけちゃったよ。もちろん膀胱がんだったけど。
この超音波だってなれるのがなかなか難しい。
100人見ないと何見ているかわからないからとにかく見ろと言われたくらい。

それも見れるってか?

とにかくこの話はあまりにも無謀で患者の立場からは危険ですらあるので、
学会の偉い人たちが厚生労働省と数度かけあって
「できるけど経験ある医師の指導のもとに、産婦人科のみ数年やった看護師だけ」ができる、とした。

まあこれで、なんとかしばらく大丈夫だと思うがな。

業務拡大、イコール権力拡大で医師と肩を並べようという
野望を持つ助産師どもはまだまだ絶滅しないので、注意が必要だ。
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