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2016年09月26日22:59

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楽しいレトロプロブレム(51)

(84)Rauf Aliovsadzade, Michel Caillaud, Evgeny Fomichev
(StrateGems 2007)
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ステイルメイトになるように駒を色分けせよ(21+0)

 まず、Kの色を確定させることが先決だ。仮にKf8を白、Kh5を黒としてみよう。そうするとRg8は白でPg4が黒ということになるが、これだとstalemateにならない(どちらにも次の着手が存在する)。よって、Kf8が黒でKh5が白ということになる。勿論その場合はRg8が黒であり、これよりstalemateになるのは白側だということが判明した。
 白側に合法な着手がないこと、及び双方にチェックがかかっていないという条件より、Qh3;Rg8,h7;Be8;Sd5,d7;Pe4,e6,f3,f5,g2,g4,g7が全て黒であることがすぐ分かる。

(図1)
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 ここまでで黒の配置は既に14枚、また黒Pによる駒取りは10枚あることが分かる。すると、白の配置は最大でも6枚だから、未確定の配置6ヶ所のうち少なくとも1枚は黒でなければならない。しかし1枚でもPを黒にすると駒取りの数が12枚を超えてしまうので、Pは全部白である。残ったRとSのうちどちらを黒にしても盤上には成駒が存在することになり、これで黒Pは8枚すべて使われているので、両方とも黒ということはあり得ない。

 以上より、可能性はRg6が白か、またはSh4が白かの2つに絞られた。問題は、これらの局面が本当にstalemateなのかどうかだ。引き続きそれを検証していこう。

(A)Rg6が白でSh4が黒の場合
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 白の配置は6枚で、黒の取った駒は10枚。ということは、黒はa筋の白Pも取っていることになる。つまり、この白Pは成っている。また、前述の通り盤上には黒の成Rが一枚あるが、これはa筋の黒Pが成ったものだ。この黒Pは駒取りできないので、a筋の白Pが成るときには1枚駒取りをしていることになる。白側の駒取りはこれで尽きている。ということは、この局面で白がPd4xe5??などと戻すことはできないのだ。
 これを踏まえて直前の黒の手を考えてみると、この局面からの逆算手順は、-1.Pg7-g5 Rf6-g6...というものしかないことが分かる。しかし、直前の黒の手がダブルステップなのだから、白は1.Pg5xf6 e.p.!!という着手が可能であり、この局面はstalemateではない。


(B)Rg6が黒でSh4が白の場合
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 こちらの場合は、この局面からの逆算手順として、-1.Pg6-g5 Sf5-h4 -2.Qg3-h3+...というものもが考えられる。つまり、直前の手がダブルステップだとは確定できないので、白Pによるen passant captureも認められない。従って、こちらは本当にstalemateであるといえる。


 他の色分け問題と異なり、一見条件を満たす局面が複数あり、それらのうちどれが真の解なのかを更に吟味する必要がある構成になっている。色分け問題に新たな光を当てる、興味深いアプローチではなかろうか。
 なお、Databaseを見る限り、Caillaudが色分け問題を手掛けたのはこれ1局のみ。その意味でも貴重な作品である。

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(86)Henrik Juel(StrateGems 1998, Com.)
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23枚追加配置してillegal clusterを作れ(4+4)


 illegal clusterとは、T.R.Dawsonによって1933年に提唱されたものであり、「そのままだと不可能局面だが、Kを除く任意の駒を1枚取り去ると合法になる」という性質を持つ局面のことを言う。(ちなみに、そのままだと合法な局面だが、任意の駒を1枚取り去ると不可能局面となるものはlegal clusterと呼ばれる)
 では、Dawson自身の手による作例を一つ挙げておこう。

Thomas R. Dawson(The Problemist FCS 04/1933)
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黒Rと黒Bを追加してillegal clusterを作れ(1+2)

 正解はRをg4へ、そしてBをh8に追加するというもの。これが確かに上の条件を満たしていることを、各自確認して下さい。

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