(68)Michel Caillaud(diagrammes 74 11-12/1985)
#6 Høeg Retractor(5+14)
Høeg Retractorは、手を戻す際に取られた駒の種類を取られた側が指定するタイプのDefensive Retractor(i.e. 黒が白に抵抗するRetractor)である。黒は必ずしも白の思い通りに戻してはくれないので、白は黒の逆算手順を制限するような戻し方を考えなければならない。
すぐに目につく黒Pa2が、キーとなる駒だ。左上の黒Pの塊を見れば、この黒Pは5枚駒取りをしてf7から来たものであることが分かる。では、この黒Pが取った白駒は何だったのだろうか?
答えを言ってしまうと、それはすべて白Bだ。では、作意を見てみよう。
Retract:-1.Kb1-c2 Pb3xa2+(+B) -2.Kc2-b1 Pc4xb3+(+B) -3.Kd3-c2 Pd5xc4+(+B) -4.Ke4-d3 Pe6xd5+(+B) -5.Kf5-e4 Pf7xe6+(+B) -6.Rh1-a1
(-6.Rh1-a1の局面)
このように白Bを5枚復活させると、この局面における黒の直前の着手は-6...Pg7-g5に確定しているのだ!それを以下で証明しよう。
白のなくなった駒はQRBSSPの6枚で、黒はQBの2枚。白はa-e筋の白Pを全て白桝で成る必要がある。しかし白側は2枚しか駒取りできないので、これはb,d筋の白Pによるものであり、a,c筋の黒Pは初形位置から直進している筈がない(もしそうだとすると、その筋の白Pは成ることができないから)。以上をふまえると、この局面において左上の黒Pを戻す逆算はいずれもillegalとなることが分かる。(では、白Bのうちどれか1枚をQに置き換えた場合に可能となる黒の逆算はどういうものだろうか?考えてみて下さい)
直前の黒の手がPg7-g5だと証明できたので、ここから白は1.Pxg6 e.p.#とすればよい。
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(70)Wolfgang Dittmann(feenschach 1978, 1st HM)
#32 Proca Retractor(9+8)
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