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2016年07月17日14:51

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「戦争中の暮しの記録」

わたくしの母がおしいれに大事にとっておいた雑誌「暮しの手帳」。
表紙が手書きの絵のものばかりだったので、今調べるとけっこう前の発行のものだったはず。
小学校に入るころから夢中で読んだ。
4年生のときには記事を読んでセーターを編んで冬休みの宿題として学校に持っていった。
今あったら料理とか簡単な手芸、裁縫なんかでとても役立っただろうに、
たぶん実家にももうないだろう。

「暮しの手帳」に読者が書いた「戦争中の体験記」があったのを覚えている。
それらをまとめて「戦争中の暮しの記録」が発行された、という記事も読んだ。
「とと姉ちゃん」に関連する話題で、まだ「戦争中の暮しの記録」が売られている、と知って
買った。
びっしりとある記録はすべて「ふつうの女性」の体験記なので、
重くていっぺんに読み通すことができないが、
少しずつ読んでいる。

花森安治の巻頭言の一部を抜粋する。

「いま、君は、この一冊を、どの時代の、どこで読もうとしているのか、それはわからない。君が、この一冊を、どんな気持ちで読むだろうか、それもわからない。」
「しかし、君がなんとおもおうと、これが戦争なのだ。それを君に知ってもらいたくて、この貧しい一冊を残してゆく。」
「できることなら、君もまた、君の後に生まれる者のために、そのまた後に生まれる者のために、この一冊を、たとえどんなにぼろぼろになっても、のこしておいてほしい。これが、この戦争を生きてきた者の一人としての、切なる願いである。」

戦争の記録、といえば戦場で戦った話が多い、というかそれがほとんどだろうけど、
この本は日本の国の中で生活していた、その生活を書いたもの。
戦争になるとその家族はいったいどんな生活をしてどんな思いをするものか、
文章を書いたことのない人も一生懸命「知っておいてほしい」という気持ちで書いたもの。
これを読んでもまだ「日本が戦争できる国になればいい」という人間がいるのだろうか。

頭で考えたことではない、実際に戦わないでも戦場にいる人たちの
真実の毎日がこの本にある。
この本にないのは言いたいことがあったのに死んでしまった人たちの話だけだ。
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