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2016年07月11日23:00

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楽しいレトロプロブレム(31)

(62)Niels Høeg(Aarsskrift DSK 1939)
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黒駒を1枚追加し、黒が1手戻して、それからH#1にせよ(12+12)

 本作、最初に解答を書いてしまうと「黒Rをd2に追加して、-1.Rd1xQd2と戻し、そこから 1.Kg7 Qh6#」というものである。しかし、すぐに浮かぶ疑問は「何故取りを戻す位置がd2なのか?また、白Qを取った駒は本当に黒Rなのか?」というもの。では、これが作意通り限定されていることを確認してみよう。

(-1.Rd1xQd2と戻した局面)
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 なくなった駒は白がRRPの3枚で、黒はRSPの3枚。黒側の駒取りはすべてPc4によってなされており、これより黒Ph2は直進している。よって白側の駒取りは、Pg6によるものが1枚で、Ph7によるものが2枚の計3枚。従って、この局面で白Qがd2で黒駒を取ってチェックをかけることは不可能だ。すると、このチェックはen passantによるものである。では、更にその局面も構成してみよう。

(-2...Pf4-f5+と戻した局面)
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さて、c筋の白Pは駒取りをしていないので、黒Pc4が最後に取った駒はこの白Pである。すると、f筋の黒Pはe6とd5で白Rを取ったことになる。しかし、h1のものならともかく、a1にいた白Rはどうやってそこに辿り着いたのであろうか?暫く考えていると、以下のような戻し方があることに気付く。
(1)黒Pd5で白Pc4を取る
(2)黒Pc5をc6に戻す
(3)黒Pe6で白Rd5を取る

(Pe6xRd5と戻した局面)
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 実はこの局面、illegal positionなのだが、お分かりだろうか?そう、黒がPc6-c5と戻した瞬間、黒Rがa8へ戻れなくなっているのだ!つまり、黒がPc6-c5と指す迄は、黒Rは左上のBとPでできた柵の中にいて、Pc6-c5と指した後も、白Bf1と黒Bf8を結ぶ双方のPの障壁を越えて右に出てくることは不可能である。言う迄もないが、この黒Rが白Ph7に取られることなどあり得ない。
 以上より、作意順以外の戻し方は不可能であることが証明された。

「ある領域内に特定の駒を閉じ込める」という独創的なテーマを、完璧に表現した傑作。尚、Caillaudにも同様のテーマをより純粋に抽出した作例がある。紹介しておこう。

(62-a)Michel Caillaud(diagrammes 53 09-10/1981)
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#1(11+10)

 勿論この作意は、1.Kf2#(1.0-0-0? but illegal!)である。

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(64)Michel Caillaud(Rex Multiplex 1 01-03/1982)
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#2 b)Ka4→a3
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