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2016年07月10日16:39

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カンガルーケアについての誤解や思いこみ

カンガルーケアはそもそも、未熟児を母親の胸の肌で抱いて
温めることをさしました。
未熟児を温める保育器がない環境でのレスキューでもあり、
保育器がある環境でもときどき保育器から出して母親の胸で抱くと、
赤ちゃんの呼吸や心拍が安定する、という一種の治療行為でした。
それがいつのまにか「母親と赤ちゃんをなるべく早く接触」させることで
母性を確立させ母乳育児を成功させる、みたいな、
母乳至上主義と結びついてしまって
「母乳育児推進はまずカンガルーケアから」みたいになってきたんです。
こうなるともう、なんかの主義主張とか強迫観念みたいなもんで、
カンガルーケアをしたしないで母乳の出方も母性愛も別に変わりはない、
少なくても調査してはっきり差が出た論文もないんだけど、
今もこの日本の病院ではこういうことが行われています。
ただ、お産が無事に終わったお母さんはくたくたに疲れ切っていて、
誰か家族が必ず付き添っているとも限らないのに、
助産師が赤ちゃんを胸に乗せてそのまましばらくいなくなってしまい、
その間にうとうとしてしまったお母さんが赤ちゃんを落としてしまったり、
お母さんが気付いたときには赤ちゃんの呼吸が止まっていたり、
そういう事故の報告が残念ながら聞こえてくるようになりました。
もちろん医療事故ですが、どうもお母さんが
「自分さえしっかり見ていたらこんなことにならなかった」と
自己嫌悪に陥ってしまって病院の責任を問う裁判などにはなりにくいのです。
生み方にこだわったり母乳にこだわったりカンガルーケアにこだわったり、
とにかく「自分だけのお産」にこだわる方々も多いですし、
それを利用して母乳至上主義みたいなカルト思想も入り込みやすいのが
今のお産の現場ですが、
お産はいったい何のためにあるのか、
お産する上で一番大事なのは何なのか、
考えなくてもわかりそうなもんです。

お産は、赤ちゃんを無事に世にだすためのものです。
お母さんの「わたしらしいお産」のこだわりを実現する機会ではありません。
赤ちゃんを無事にこの世に出したら、無事に育てなくてはなりません。
そのためだったら母乳もいいけど、
母乳がでないのを無理に「出ない間はあげなくていい」とか言い張って
赤ちゃんを低血糖による重篤な疾患に追い込んだりするのは、
絶対に「お産に係わる医療者」はやってはいけないことです。

■産後すぐに抱っこ、注意点は 赤ちゃん容体急変した例も
(朝日新聞デジタル - 07月10日 10:25)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=4085890
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