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2016年05月18日09:01

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XLIFについて

どなたか整形外科の先生が書いてくださるとよかったんですが、
とりあえず産婦人科医のわたくしが書ける範囲で解説します。

XLIFは椎間板ヘルニアの新しい手術方式です。
椎間板とは、背骨のクッションです。
背骨とは、短い円柱状の骨が積み重なってできているのですが、
骨と骨の間にクッションになる組織がはさまっていて、これが椎間板。
椎間板が何かのはずみで骨と骨の間からずれてしまって、
神経を圧迫して痛みやしびれが出てしまうのが椎間板ヘルニアという病気です。
手術は当然、このはみ出た椎間板を切除するわけですが、
この手術を、これまでのように背中を切開するのでなく、
横腹から内視鏡を入れて手術をするのがこのXLIFです。
XLIFは日本では2013年に開始した新しい手術のやり方で、
現在は講習を受けて認定された医師でないと行えません。

「難しい」からです。

人間の胴体を簡単に分けると、
「おなかの中」と「その周囲」のふたつになります。
背骨と椎間板は「おなかの中」ではなく、「その周囲」になるのはわかりますよね。
XLIFはこの「その周囲」に内視鏡を入れて、肉をかき分けて椎間板に到達する手術です。
だから「おなかの中」にある腸が傷つくわけがない…と思うかも知れません。

でも違います。

たとえば腎臓は、実は「おなかの中」ではなく「その周囲」にあります。
背中のかなり高い位置、にあって、「おなかの中」からみると
一部は「おなかの中」に盛り上がって触ることができるけどほとんどは
背中側の「にく」の中にめりこんでいます。
すい臓もそう、腸管もです。一部は「その周囲」である「背中の肉」に
めりこんでいる臓器なんです。

どのあたりでどのくらいめりこんでいるか、は個人差が大きく、
内視鏡を注意して入れていかないと、こういう臓器を損傷してしまいます。
実際に、このXLIFでは腸管や腎臓の損傷がありえる、ととある整形外科のブログにありました。

いわゆる内視鏡手術では視野が狭いので他臓器損傷の可能性は必ずあります。
整形外科だけじゃない、外科でも産婦人科でも他臓器損傷は起きることがあります。
大事なのはもちろん起こさないことですが、もし起きてしまったら
なるべく早くそれに気づいて修復することです。

この病院は整形外科専門病院だそうですね。
もし他臓器損傷が起きたら、他の病院に頼んでおなかを開いて
腸を縫うしか方法がありません。
万が一のとき自分のところ(院内)で完結できないような手術をすべきでない、と
わたくしは思いますがね。


■腰の手術ミスで女性死亡 船橋の整形外科、原因を調査
(朝日新聞デジタル - 05月17日 12:20)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=168&from=diary&id=3996122
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