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2016年04月15日22:48

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温故知新(519号-01)

 今日読んでいるのは、詰パラ519号(平成11年6月号)。順位戦から2作紹介することにしよう。

小林敏樹
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(詰パラ 平成11年6月号、第38期看寿賞)

37銀打、イ同飛成、A49香、ロ48龍、同香、36玉、32飛成、同馬、33飛、同馬、
37金、同桂成、54馬迄13手詰。

イ同桂成は35銀、47玉、58金以下。
A35銀は36玉、26金打、同龍、同金、37玉、27飛、48玉で逃れ。
ロ48打合は35銀、36玉、47玉、65角成以下。


 37を埋めて35銀としたい攻方と、それを何とか防ごうとする玉方。双方の思惑が絡み合うことで、結果的に龍の移動中合という大技が実現する。この序の応酬も十分見応えがあるが、勿論最大の見せ場はその直後の連続飛捨てだろう。
 この筋自体は類例があるものの、わざわざ馬を呼びだして33に玉方の利きを発生させてから二枚目の飛を捨てるところがパラドキシカルで面白い。古典的な主題の現代的な表現といった感じだ。

(参考図)
伊藤看寿 「将棋図巧」第六十二番
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17金、同馬、19銀打、29玉、18銀打、同馬、同銀、28玉、22飛、同馬、
23飛、同馬、73角、18玉、19銀、17玉、62角成、27玉、26馬、38玉、
37馬、29玉、28馬迄23手詰。


市島啓樹
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(詰パラ 平成11年6月号)

A97飛、イ38玉、36龍、同香、39歩、同玉、17角、28歩、同角、38玉、
37飛、同香成、39歩、27玉、17金迄15手詰。

A87飛は77桂、同飛、67桂、同飛、57桂、同飛、47桂で逃れ。
イ47歩成は28角、38玉、36龍、同香、39歩、27玉、17金迄。
イ他合は15角、38玉、48金、39玉、99飛以下。


 有名な四桂連合の筋を、飛の最遠打の意味付けに利用している。構成としては添川氏の看寿賞作と同じだが、15手という短手数にねじ込んだところに作者の並々ならぬ力量が現れている。
 この単一の意味付けによる連続合の系譜を辿ると、山田修司(近代将棋 昭和38年11月号、第22期塚田賞)を皮切りに、上田吉一「オーロラ」(昭和48年5月号、第41期塚田賞)、若島 正(近代将棋 昭和54年12月号、第54期塚田賞)、添川公司(近代将棋 昭和55年3月号、第19期看寿賞)など名作揃いだが、これらはいずれも有名過ぎるので、代わりにあまり知られていないであろう作を引用しておく。この筋を素直に作意に取り入れて短編化するとどうなるか、その一つの回答として記憶すべき作だと思う。

森本哲司
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(将棋世界 平成10年6月号)

36銀、87桂、同飛、77桂、同飛、67桂、同飛、57桂、29桂、26玉、
28龍、36玉、48桂、35玉、47桂、46玉、37龍迄17手詰。

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