盤面の回転についても触れておきたいと思います。どうもこの条件は解答者の評判が良くないのですが、そこには一つの誤解がある様です。つまり「どれが正しい向きなのか分からないまま解くとなると、散々悩まされた挙句に『その向きでは解がない』ということになりかねない」と思われているのではないでしょうか?
実際にはそんなことはありませんし、単に解答者の手間を増やす為にこんな条件をかけているのでもありません。では、何故こういう条件を追加するのかというと、それは「
盤面の向きも論理的に決定できる」からです。「ある向きのときのみ解が存在し、その他ではあり得ない」ということは、きちんと証明できます。そこにロジックが存在するからこそ、こうした条件を付加するのであって、決して「偶々その向きでのみ解が存在した」というような低レベルな話ではないということを、ここで強調しておきたいと思います。
一つ、盤面回転の例を挙げてみましょう。
例題8(Type A)
先手が後手玉を1手詰にできるような配置を構成せよ。
必要があれば盤面を回転してもよい。
「あ」が玉で「い」〜「く」が生駒であることは、すぐに分かります。すると「さ」は成駒ですが、成駒を打つことはできませんから、「さ」が何であろうとこのままの向きでは非合法な局面です(例えば「さ」=成香だったとしたら、この成香はどこから来たのでしょう?)
従って、盤面を±90°回転する必要があることが分かりますね。そして、反時計回りに90°回転すると「さ」=先手の成桂となりますが、これだと先手が後手玉に王手をかけていることから現在後手番になり、先手から1手詰にすることはできません。以上より、盤面は時計回りに90°回転させなければならないということが判明しました。
「盤面の向きも論理的に決定できる」という言葉の意味がお分かり頂けたでしょうか?
(この後の、各駒を確定する過程は省略します。本作の詳細について知りたい方は、
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1941241159&owner_id=10857363をご覧になって下さい)
では、いよいよ卒業試験です。
高坂 研(Problem Paradise 68, 2015)
Type B
合法な局面を構成せよ。必要があれば盤面を回転してもよい。
解答発表は、9日(土)を予定しております。
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