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2016年03月18日22:48

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「カピタン」研究(18)

 ところで詰将棋に最悪詰や悪魔詰があるように、自殺詰にも先手が最悪の順を選ぶ、つまり詰められまいとするものが考えられます。
 先手玉を詰めるという目的に対し
 先手 後手
 最善 最善 :ばか自殺詰
(最善)最悪 :自殺詰
 最悪 最善 :最悪自殺詰
 最悪 最悪 :悪魔自殺詰


最悪自殺詰

 これは先手は最悪、詰められまいとするが、後手は最善、詰めようとして結局詰むというもの。これだけみると詰将棋で先後を逆にしたようであるが、これが先手は王手をかけ、後手は王手をはずす手順の中での詰であるから、全く異なる詰将棋になるわけです。

(5図)
フォト
最悪自殺詰 12手

 5図。初手は47金と27金がありますが、47金だと27玉、そこで37金、17金、28金は1手詰だから18金の一手。これに対して後手は16玉。そして27金、同玉、37金、同桂生の8手です。
 27金は、以下同金、47金、26玉、36金、17玉、18歩、16玉、26金、同金、17歩、同桂生迄12手で初手47金の8手より長く、この手順が正解です。

悪魔自殺詰

 これは悪魔詰の自殺版で、先手は詰められまいとし、後手は詰めまいとするにもかかわらず、先手玉が詰んでしまうのです。


(6図)
フォト
悪魔自殺詰 10手

 6図。初手は28香か39桂ですが、28香だと17玉、18香、同桂成の4手詰。したがって39桂以下、同飛成、28香、同龍、同歩、17玉、27飛、同と、18香、同と迄10手が正解となります。

 自殺詰以外にも2の後手玉を詰めるという目的の変え方はいろいろあり得ます。
 古くから行われているその方法の一つは、玉ではなく玉以外のある駒を詰めるというものです。飛を詰める飛詰、角を詰める角詰などがよく創作されるようですが、これらを総称して「駒詰」と呼ぶことにします。もちろん駒詰も3、4を変えることによって「駒ばか詰」「駒悪魔詰」などが考えられ、また2を先手の玉以外のある駒を詰める、とすれば「駒自殺詰」の系統もあるわけです。(実際には駒ばか詰以外はほとんど創作されていません)

 つぎに1の王手条件をはずしてしまったらどうなるでしょうか。
 もはや詰将棋とはいえないかもしれませんが、ばか詰でいくつか作品が発表されています(この種のばか詰を協力詰と呼ぶこともあるようです)。
 詰将棋は実戦に近いものになるでしょう。自殺詰はどっちみち王手しないで自殺するのはほぼ不可能だからあまり変わらないと思います。
 そうしてみると1をはずすのは発展性が少ないといえるようです。

 これまで「詰将棋」のルールの変化について不十分ながら分析してきました。そのなかで、ばか詰、自殺詰の位置がある程度明確になったと思います。またいくつかの新しいルールを導入しましたが、これらのルールの作品、これらに対する意見など、お寄せいただければ幸いです。
 なお例題の作者は3図を除いて全て小林博です。(小林 博・加藤 徹)

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