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2015年12月12日14:09

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今月のLC外伝ネタバレ

老双子編:第5話「静かなる炎」

「祭壇星座の真の力だと…?だが所詮お前が白銀聖衣を着る限りその域を出ることはできん!この勝負、お前が黄金を捨てた時点で決まっていたのだ!」
「いいや、お前はまだ知らん。祭壇星座の恐ろしさを。仔羊よ、捧げられよ!」
祭壇星座の聖衣の胸の鏡面パーツから白銀の炎が生み出された。その炎は周囲を取り囲み、地面に魔方陣を描いた。
「これは…白銀の炎が辺りを包んで…どんどん広がっていく」
矢座のアルコンが驚く。
「白銀の炎が巨大な陣を成した…。しかしこの炎は一体何なのだ…?鬼蒼焔とも違う。それに熱くもない。こんな炎でどうやって戦うというのだ…ハクレイ!」
「虚仮脅しにもならんな…。この程度か!?この炎、黄金聖衣の前には何の痛痒も感じぬ!所詮、白銀の技よな!」
「お前こそどこまで耐えられるか見物だな。言ったはずよな。俺にとってはどの聖衣も差はない!特にこの炎の前ではな!」
「ぬかせ…!ならばその炎ごと吹き飛ばすまでよ!フォースソア!」
「ハ…ハクレイー!」
ゲートガードの技が放たれる。
「今度こそ粉々に吹き飛んだようだな。無理もない。…黄金のお前だったならどれほどの勝負になったろうな」
その時、ゲートガードは異変に気づいた。
「……。くっ…」
力が抜け、地面にひざをつく。
「何だ…?体が重い…。まるで鉛…。何故突然…」
そして気づいた。
「違う…。重いのは聖衣だ…。一体」
「そうだ。今やお前の小宇宙は白銀以下に落ちている。今のフォースソアの威力も。言ったろう?聖衣は関係ないと」
白銀の炎の中にハクレイが立つ。
「これが教皇代理、祭壇星座に与えられた権限。全聖闘士に対する小宇宙および聖衣の剥奪!この炎はお前の小宇宙を焼き尽くす。やがては青銅、そして普通の人間の域へな!」
「小宇宙の…剥奪だと…?白銀のお前が…?黄金の…俺から…ッ。そんなことが許されてたまるか…!」
「…確かにこれは俺の身に余る権限よ。この炎を与えられると言うことはな。この白銀の炎は古代より祭壇星座が預かる聖なる火。今のお前の小宇宙は全て聖域とアテナ様に還元されている。そうだ、この聖火の陣はそのまま巨大な祭壇となっているのだ。神への贄を捧げる祭壇にな!」
祭壇の上でいけにえの羊が焼かれる。
「フフ…。流石に驚いたな…。祭壇星座がそれほどの権限を与えられているとはな…。それほどイティア様がお前を認め信頼していたということだろう」
「…そうだったのかもしれんな…。だがもうそれを確かめる術はない。あの方はお前が殺したのだから!」
「その通り。だからこそ俺はな。もはやこの道を突き進むしかないのだ!」
「!」
「イティア様の理想の為に」
ゲートガードがハクレイを殴る。
「ハクレイー!」
「ぐっ…」
『馬鹿な…あいつさらに…。小宇宙を…生命力を放出させようというのか…!?』
「お前は分かっていない。どこまでも…。この黄金聖衣は選ばれたものしか与えられないということ。これこそが平和の象徴にふさわしいこと…。世界を導けるということを!」
「だから冥王軍に下るというのか…?かつての仲間をあざむき操ってまで…!?俺にとっては白銀も青銅も等しく仲間であり家族よ!イティア様も人々がそうあるべきと願っていらっしゃた!」
「お前にあの方の何が分かる!」
「!」
「黄金の責から逃げたお前に…。そんなお前が白銀聖衣をまといイティア様を語るなど…許せない…!」
「ゲートガード…」
『死界の蝶(フェアリー)たちがゲートガードの魂から押し出されている…。違う…やはりあいつは洗脳を受けて動いているわけではないのだ…!何か…確固たる強い自分の意志で動いている…!ゲートガードよ…。一体何がお前をそこまで…』
「お前だけは私が殺す。たとえ…この小宇宙全てを失ってもな…!」
「くっ…。ゲートガードォォ!」
再びフォースソアが放たれる。
「死ぬ気か、ゲートガード…!やめろぉおおーッ!」
『わかる。全ての力が出ていくのを感じる。俺が黄金聖衣を目指して築き上げた力が。白銀に、青銅に、ただの人間に。生まれながらに悪性で愚かで、争いを好んで滅びたがる。だから神に見捨てられる』
かつて戦争に巻き込まれて矢傷を受け、隠れていた子供のゲードガードはイティアに拾われた。
「教皇様!だめです…生存者はこの子のみです。教会中心の小さな集落です。襲撃はあっという間だったのでしょう」
「……。そうか」
「…一体、私達が何をしたのでしょう」
幼いゲートガードは泣いた。
「神はどうして私達をお見捨てになったのでしょうか。私達はただ静かに祈り暮らしてきただけなのに…。憎しみでいっぱいです…!」
「…確かここは春になると木苺が多く実るのだったな」
「!」
イティアがゲートガードの横に腰を落ろす。
「お前の…祖父か…曾祖父の代か、来たことがある。その時、この地方はある悪神に襲われていた。私達聖域軍も何人もの仲間を失い、ようやくそれをこの丘に封じたのだ。平和であれと願ってな」
「……ッ。そんなの…いっそ神に滅された方が諦めがつく…。結局、貴方方が作った平和は人間に壊されてる…!嫌になる…!自分が人間なことも…!」
「そうではない、少年よ、そう思ってくれるな。今は仕方あるまい。だがどうか憎しみに染まった生涯だけは送ってくれるな。お前はこの地で最後に生き残った子だ。私と仲間達にはそれが何よりの救いだ。分かるか?救いなのだよ」
そう言ってイティアはゲートガードの頭を抱いた。
「そうでなければ、私達は何のために戦っているか分からぬ」
『この方はきっと、今までこんなことを何度も見て来たのだろう。神が見捨てるような人間のために。崩れる砂の城のような平和を長い間守ってきたのだろう。ならば俺はより完璧な人間…黄金となってこの方を支えよう。それなのに…』
「待て、ハクレイ…!お前…何故本気で黄金を勝ち取ろうとしなかった?今の継承試験、わざとセージに負けたろう!?」
蟹座の継承試験の後、ゲートガードはハクレイに食ってかかった。
「スマンな、ゲートガード。やっぱり俺に黄金は似あわんよ」
「お前という男は…!」
そして二人は今、再び衝突していた。
「うわああ!」
白銀たちが衝撃に押される。
「黄金の光、白銀の光がせめぎあっている…。ゲートガード様の力は無尽蔵なのか…!?」
「いや、違う。俺でも動きが見える程、力が劣えている…」
『もはや聖衣も防具として機能していないだろう。まるで生贄の羊が炎の中でもだえるような…』
それでもゲートガードはハクレイを攻撃し続けた。
『本心なのだな…?それらの言葉は洗脳ではなく、お前の本心と命がけの覚悟ということなのだな!?ならばもはや、命ごと奪うしかないではないか…!かつての戦友(とも)として、祭壇星座として…!』
「来い、ゲードガード!次で終わりにしてやろう!」
「うおおおーッ」
その時、二人の間に割って入ったのは天秤座の黄金聖闘士だった。
「……。天…秤座…?」
ハクレイの額が傷つけられ、血が噴き出る。彼は地面に倒れた。
「ハクレイーッ!」
「……。ぬるいな」
天秤座が言う。
「……ッ。お前…は…」
天秤座がゲードガードの腕をとる。
「教皇の代理を務めたいのなら、もっと強くあるべきだったな、2人とも。行くぞ、ゲードガード」
「待て…。どこへ…?」
「決まっている。黄金の帰るところは十二宮よ。時は満ちた」
主の殺された教皇の間ではパピヨンのまゆが羽化しようとしていた。
◆聖域にさらなる異変が…!?


作者コメント:ちょっと間が空きましたが、シオン外伝後編は発売されました!&今年もお世話になりました!


まだまだ続く老双子編!なんと善悪をはかる天秤座まで敵に。そしていよいよパピヨン登場か!
しかし祭壇星座の能力がチートすぎるw

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