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2015年10月29日23:20

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Advanced Course of Retrograde Analysis(51)

第49問 局面をほぐせ
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 なくなった駒は白がQRSPPPPの7枚で、黒はQBの2枚。黒側はc,d,f,h筋のPで4枚、更に最終手でも1枚駒を取っている。よって、黒の駒取りはまだ2枚の猶予がある。
 白側の駒取りを計算するには、左上の膠着状態をどうやってほぐすかを考える必要がある。注意深く観察すれば、Ke5-e6 Pf7-f6として白Kを解放してから、白からPe5xd6或いは黒からPe6xd5とすることで黒Rc6が解放できることが分かる筈だ。
 白からPe5xd6とした場合は、白は更にもう1度駒取りをする必要があり、白の駒取りはこれで尽きている。従ってPa7は直進しており、黒Pa5が2度駒取りをすることになり、黒の駒取りもこれで尽きている。
 一方、黒からPe6xd5とした場合は、e筋で更にもう1度駒取りがあり、黒の駒取りはこれで尽きている。従ってPa5は直進しており、白はa,b筋で2度駒取りが必要となる。よって白の駒取りもこれで尽きている。
 結論として、最終手以外の駒取りは双方とも全てPによるものである。ということは、g筋の白Pは成っていることになり、この成を戻せれば、その後はPg7-g6-xPh5と戻して、以下双方のBを解放することができる。

 ではこのPは何に成ったのだろうか?その駒がf7で黒Bに取られていることを考慮すると、それはR以外あり得ない(Sではg8へ行くことができない)。つまり初手は1.Bg8xRf7+だ。以下、この白Rをg8でunpromotionすることを目標に逆算してみよう。

(図1)
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 まず、実際に戻す前に、大まかな逆算の構図を確認しておこう。このRの成を戻すにはf8に何か遮蔽駒を置く必要がある。しかし黒Sでは白Kにチェックがかかってしまうので、これは白Sの役割ということになる。また、白Rがg8にいるということは白Bg6,Sf8,Rg8/黒Sf7,Bh7という配置が必然だが、このままではこの瞬間の黒の手がない。よって、これを回避する為、予め黒Sb8も解放しておく必要がある。その為の遮蔽駒もまた白Sであることが明らか。従ってシナリオは
(1)まず白Sがg5-f7-d8と入って黒Sb8を解放
(2)次に白Sをd8-f7-g5-f3-e5-d7-f8と動かして、白Rの成を戻す
というものになる。

 では、実際にその線に沿って逆算してみよう。まずは1...Sh3-f4 2.Sd7-e5 Bh7-g6 3.Se5-d7 Rg7-f7 4.Sf7-e5として、白Rf7を黒Sに置き換える。

(図2)
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 続いて4...Bg6-h7 5.Bh7-g8 Sg5-h3 6.Se5-f7 Sf7-g5+とすれば、白Sと黒Sを入れ替えることができる。

(図3)
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 このように2枚のKとBを対称的に配置することで、f7の駒が白黒交互に入れ替わることになる。シンプルながら、実に巧妙な構図だ。

 勿論この後は7.Bg8-h7 Bh7-g6 8.Sd3-e5 Rg5-g7 9.Se5-d3 Sd8-f7 10.Sf7-e5+として、白Sをd8に入れることになる。

(図4)
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 これで黒Sb8のピンが解除されたので、黒がretro-staleateに陥る心配はなくなった。この黒Sをどこか適当な場所へ連れていき、白Ra8をb7に入れておいて、いよいよ白Sをf8に連れていくことになる。

 もうお分かりと思うので途中の手順は省略するが、22.0手戻すと例えば以下のような局面になる。この後は予定通り白Rg7の成を戻せばよい。

(図5)
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第50問 どちらの手番か?

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