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2015年10月23日22:57

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レトロプロブレムの世界(15-1)

1、はじめに

 ここでは、「白(又は黒)のn手目の局面である。ここに至る手順を求めよ」というタイプの作品について議論しよう。その作意手順は厳密に決定されている、即ちキズも手順前後もないものとする。手順の一意性は、それが長いほど魅力的な側面となる。その作意の一意性のお陰でこれらの作品は「完璧」であり、それを解こうとする意欲を持った解答者たちの間で人気があるのだ。
このような作品を鑑賞する為には、解答を眺めるだけでは十分ではない。何故別な手順が成立しないのかを(それはしばしば、必ずしも明らかではない)、つまり作品を丹念に調べ上げることが重要なのだ。最後に、良くあるケースだが、作意手順は必ずしも最短手順とは限らないことを付記しておこう。

(1) T.Orban (Die Schwalbe 1976, Recommandation)
フォト
Proof Game in 4.0 moves (15+15)

 例として、ユーモラスな(1)を見てみよう。たとえば、1.e4 c6 (e6) 2.Bb5 (Bc4) e6 (c6) 3.Bxc6 (Bxe6) dxc6 (dxe6)などと指せば、黒の3手目でこの局面を得ることは容易である。ところが不思議なことに、あと1.0手を追加しようとすると、解答者は困ってしまう。(あとで友人にこの「小テスト」を受けさせてみたまえ)
1.e4 e6 2.Bb5 Ke7! 3.Bxd7 c6 4.Be8! Kxe8

 解答者が殆ど思いつかないような、手を消費する為の策略だ!J.SZTANKOVSZKYの作品(Fairy Chess Review 1954, RM no.8 (4) P227) もまた、同様の性質を持っている。
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