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2015年10月20日22:45

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L.Cerianiレトロプロブレム傑作選(36)

(35)Luigi Ceriani(La Genesi delle Posizioni 1961)
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局面をほぐせ(12+15)

 なくなった駒は白がSSPPの4枚で、黒はQのみ。また白側の駒取りはPg6によるものだけで、黒側もまたb6,c6,d5,f5の4枚のPによるもので尽きている。このことから、a筋とe筋の白Pはいずれも成っていることが分かる。この成を戻さない限り、黒Pの駒取りも戻せない構造になっている。a筋での成を先に戻さないといけないことは明らかであり、その駒が白Rh4であることもすぐに分かる。では実際に戻してみよう。

1.Ba7-b8+

(図1)
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 まず初手は絶対。白Rh4の成を戻したいのに、いきなり黒Ba7によってそのラインが遮断されてしまう。従って、当面の目標は右上の駒の配置を入れ替えて黒Kf8と寄れるようにし、それによって白Kをd8に入れて白Rをa8に入れることだ。ではその線に沿って動かしてみよう。

1...Bf8-g7 2.Rg7-h7 Pg2-g3 3.Rh7-h6 Rh3-h4 4.Sh6-g8 Qg8-h8 5.Rh8-h7 Qh7-g8 6.Rg8-g7 Bg7-f8 7.Rf8-g8 Ra3-h3 8.Rg8-h8 Bh8-g7 9.Rg7-g8 R-- 10.Rg8-f8 R-- 11.Kf8-e8 Kd8-c7 12.Bb8-a7 Ra8-a3
 
(図2)
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 黒Kを寄せる為には白Bをh8に持っていくのが必然であり、ここまでは案外すんなりと事が進む。しかし問題はここからだ。a8に入ったはよいが、すぐにまたBa7と遮断機が下りてしまう。
 いや、ここで13.Ph3-h2??と戻したら良いのではと思われるかもしれない。実際、13.Ph3-h2 a7-a8=R 14.Ph4-h3 Pa6-a7...と進めば、一見簡単に目標を達成したように見えるだろう。ところが、これは既に不可能局面となっているのだ。
 つまり、この後15.Pa7xSb6 Sa4-b6と戻すと、黒はここでretro-stalemateに陥っているではないか!

(図3)
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 従って、黒は13.Ba7-b8と戻さざるを得ない。以下、13...Kc7-d8 14.Ke8-f8...と戻すのが必然となるが、このまま元に戻るようでは白Rの成を戻すことは不可能となる。ではどうしたらよいのだろうか?
 h筋の黒Pを使わずに白Rの成を戻すには図2の局面を白番で迎えれば良い。その為にはtempoを失う必要があるが、その機構は勿論右上にしかない。複雑怪奇なその手順をとくとご覧あれ。

13.Ba7-b8 Kc7-d8 14.Ke8-f8 Rb8-a8 15.Rf8-g8 Ra8-b8 16.Rg8-g7 Bg7-h8 17.Rh8-g8 Rb8-a8 18.Rg8-f8 Bf8-g7 19.Rg7-g8 Qg8-h7 20.Rh7-g7 Qg7-g8 21.Rg8-h8 Ra8-b8 22.Rh8-h7 Qh7-g7 23.Rg7-g8 Rb8-a8 24.Rg8-g7 Bg7-f8 25.Rf8-g8 Ra8-b8 26.Rg8-h8 Bh8-g7 27.Rg7-g8 Rb8-a8 28.Rg8-f8 Ra8-b8 29.Kf8-e8 Kd8-c7 30.Bb8-a7

(図4)
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 よくよく見れば要するにQのtriangulation(h7-g8-g7-h7)なのだが、それを行う為にh8に連れていった白Bを一旦f8へ戻し、Qがtempoを失った後、更に再度h8へ戻すという、実に回りくどい方法で実現している。前回も書いたが、このあたりの構成は詰将棋の知恵の輪趣向と全く同じだ。

 これにて漸く、黒Pを一度しか使わずに白Rの成を戻すことができ、後は当初の予定通り局面をほぐすことができる。


(36)Luigi Ceriani(La Genesi delle Posizioni 1961)
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局面をほぐせ(12+14)

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