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2015年10月13日22:22

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L.Cerianiレトロプロブレム傑作選(35)

(34)Luigi Ceriani(La Genesi delle Posizioni 1961)
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局面をほぐせ(11+13)

 なくなった駒は白がQRPPPの5枚で、黒はRBSの3枚。また白側の駒取りはBc7とPe7でそれぞれ1枚ずつ、黒側はPb4,b5,c5で3枚(b-c筋でcross captureしている)と、Pg5で1枚の計4枚。すると黒Ph4は駒取りをしていないことになるので、白Ph7も一枚駒取りをしていることになる。よって、白側の駒取りはこれで尽きている。黒に一枚駒取りが残されていることから、黒駒が白Pをuncaptureし、それによって白の待ち手が生じるという展開が予想される。

 ここでc7に戻す黒駒を考えてみると、それは勿論RかSである。(黒Pは8枚とも盤面にあるから)しかし、黒Sを戻すと、どう頑張ってもこの後この黒Sは上辺からh筋方面に出てくることはできない。よって、戻される駒はRに決まる。
 序の手順には、紛れるところはない。それは次のようなものだ。

1.Bb8xRc7 Rb7-c7 2.Sc7-a6+ Sc8-a7 3.Ba7-b8 Rb8-b7

(図1)
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 この局面で黒Rがa8にいてくれたら、4.Bb7-a8 Ra3-a8...と予定通りRを外に出せるのだが、生憎b8だ。こういう時に何をすればよいのか?勿論、tempo moveが可能になる場所を探すのだ!さて、それは一体どこだろうか。
 すぐ思いつくのはe8に遮蔽駒を挟んで、Qにtriangulationさせる筋だが、残念ながらSe8はチェックになるのでダメ。しかし、手が作れそうなのは右上だけなのだが…。
 ここで、Sをe8ではなくf8に挟み込んで黒Qをg8に退去させ、それによって白Kも移動させるのがtempoを発生させる仕掛けだ。実際にやってみよう。

4.Sa6-c7 Rb7-b8 5.Sb8-a6 Rc7-b7 6.Sd7-b8 Rb7-c7 7.Sf8-d7 Qg8-f7 8.Ke8-d8 Rd7-b7 9.Kd8-e8 Rc7-d7+ 10.Sd7-f8 Qf7-g8+

(図2)
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 何故これでtempoが生じるのか、もうお分かりだろう。つまり、白Kが移動したことにより、黒Rがb7-d7と白枡から白枡へ移動する手が成立しているのだ。実に手の込んだ仕掛けである。
 無事tempoを失ったので、後は元に戻すだけだ。

11.Sb8-d7 Rb7-c7 12.Sa6-b8 Rb8-b7 13.Sc7-a6 Ra8-b8

(図3)
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 これで図1の黒Rがb8からa8に移動した図が得られた。これを解放して白Ph3をuncaptureし、再度c7に戻せばもう話は終わりそうだが…。とりあえず手を進めてみよう。

14-18.Bb8-a7 Ra8-a3-Pxh3-a3-a4-a8 19.Ba7-b8 Rb8-a8 20.Sa6-c7 Rb7-b8 21.Sb8-a6 Rc7-b7

(図4)
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 ところが、ここからまだ一悶着ある。というのは、この後白Sをa8でunpromotionしようとすると、例えば22.Sa6-b8 Rb7-c7 23.Sc7-a6 Rb8-b7 24.Sa8-c7 Rb7-b8と進み、ここで25.Bb8-a7??はillegal!白Sがa8に行った瞬間、黒Rはc7にいてくれないと困るのだが…。
 という訳で、何と再度tempo moveが必要となるのだ。

22.Sd7-b8 Rb7-c7 23.Sf8-d7 Qg8-f7 24.Ke8-d8 Rd7-b7 25.Kd8-e8 Rc7-d7+ 26.Sd7-f8 Qf7-g8+ 27.Sb8-d7 Rb7-c7

(図5)
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 これで漸く、当初の目標を達成することができた。以下の手順は容易だろう。

28.Sa6-b8 Rb8-b7 29.Sc7-a6 Rb7-b8 30.Sa8-c7 Rc7-b7 31.Bb8-a7 Sa7-c8 32.Ph2-h3 Sc8-a7 33.Pa7-a8=S Ph5-h4 34.Pa6-a7...

 もしCerianiがこの複合tempoを更に反復させようと試みていれば、いずれ詰将棋の知恵の輪趣向と同様の構造を発見していたのではないだろうか。


(35)Luigi Ceriani(La Genesi delle Posizioni 1961)
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局面をほぐせ(12+15)
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