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2015年10月06日22:25

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L.Cerianiレトロプロブレム傑作選(34)

(33)Luigi Ceriani(La Genesi delle Posizioni 1961)
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局面をほぐせ(11+15)

 なくなった駒は白がQRSPPの5枚で、黒はQ1枚のみ。また、白側の駒取りはPe7によるものだけで、黒側の駒取りはPb2で1枚、Pb5とPc4でのcross captureで2枚(何故なら、白Pb6,c6はいずれも直進しているから)、それにPf4とg4で各1枚の5枚。双方とも駒取りはこれで尽きている。
 さて、a筋及びh筋の白Pはいずれも直進して成っている。局面をほぐす為にはこの成を戻す必要があり、その駒がRg6であることもすぐに分かる。すると、g6に何か黒駒を挟み込まなくてはならないが、それが黒Sd8であることも明らかだろう。では、まずこのアウトラインに沿った手順を組み立ててみよう。

1.Ba7-b8+ Sb7-d8 2-10.Sh6-g8 Sf8-d7-b8-a6-b4-c2-a1-b3-a5-b7

(途中図1)
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 右下から入れない為、黒Sは左下でターンした後上辺を使ってf8に行くことになる(白はこの間、Sを往復させて待つことになる)。黒Sf8となり、これで白Rが簡単に解放できると思いきや、実はここからが本題なのだ。例えば、11.Rg8-g6 Sg6-f8+ 12.Rf8-g8 Bg8-h7 13.Re8-f8 Sf8-g6と進めると、この瞬間に白は14.Pe2-e3と戻すしかなくなってしまう。

(失敗図1)
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 この後も14...Sd7-f8 15.Rd8-e8 Sb8-d7 16.Re8-d8+と続けることは可能だが、貴重な手待ちの手段をここで失ってしまうと巧くいかないであろうことは、これまでの作品からも容易に想像できる。かといって11.Rg7-g6??としてみても、今度は11...Sg6-f8 12.Rg8-g7の瞬間、黒が12...Pb3-b2とせざるを得ない。以下13.Rf8-g8 Bg8-h7 14.Re8-f8 Sf8-g6...と展開することになり、さっきより更に事態は悪化している。

(失敗図2)
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 では、発想を転換して、上辺ではなく下辺を経由して白Rを運んではどうだろうか?その場合は、11.Sg8-h6 Pb3-b2 12.Rh6-g6 Sg6-f8+ 13.Rh1-h6 Pb4-b3...と戻すことになるが、やはりここでb筋の黒Pを2度も使ってしまうようではダメである。

(失敗図3)
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 万策尽きたように思えるが、途中図1をじっと見ていると、あることに気付く筈だ。つまり、もし白Sh6が最初からg8にあれば、黒Pb2を2度も動かさずに済むのではないか?この突拍子もない閃きを実現するための秘策がtempo moveであることに思いが至るまでにはそんなに時間はかからないだろう。具体的な手順は以下のようになる。

11.Rg8-g6 Sg6-f8+ 12.Rh8-g8! Bg8-h7 13.Rh7-h8 Sf8-g6 14.Rg7-h7 Sd7-f8 15.Rg6-g7 Bh7-g8 16.Sg8-h6 Sf8-d7

(途中図2)
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白Rをg6-g8-h8-h7-g7-g6と周回させることで、見事にtempoを失うことに成功した!後は先程と同じように下辺経由で白Rをa筋に運び、黒Sをc7に挟み込んでからunpromotionすれば良い。

17.Rh6-g6! Sg6-f8+ 18.Rh1-h6 Pb3-b2 19.Sh6-g8 Bg8-h6 20.Ra1-h1 Sf8-g6 21.R-- Sc7-a6-b8-d7-f8 25.Bb8-a7 Sa7-c8 26.R-- Sc8-a7 27.Ra8 Sc8-a7 28.Pe2-e3 Sc8-a7 29.a7-a8=R Pb4-b3 30.Pa6-a7...


(34)Luigi Ceriani(La Genesi delle Posizioni 1961)
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局面をほぐせ(11+13)
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