mixiユーザー(id:10857363)

2015年09月29日22:29

273 view

L.Cerianiレトロプロブレム傑作選(33)

(32)Luigi Ceriani(Israel Ring Tourney HAP 1959, 1st Prize)
フォト
局面をほぐせ(9+15)

 なくなった駒は白がQRBSPPPの7枚で、黒はQ1枚だけ。白側の駒取りはPd7によるもので尽きている。また黒側の駒取りはb,c,e,f,g筋のPによるものが6枚(白Pb6,c6は直進しているので、黒Pb5,c5はcross captureをしている)で、これに最終手のBによる駒取りを加えると、黒の駒取りもこれで尽きている。従って、a,h筋の白Pはいずれも成っていることが分かる。

 さて、今迄の作例からいって、白Sをc7に挟んでBb8-a7とし、その後c7の遮蔽駒を黒Rと入れ替えることでS成を戻すということになりそうだ。しかし、すぐにSc3をc7へ連れていくのは巧くいかない。(具体的には、白Sをc7に入れる迄に黒はPg4をg6まで戻さざるを得ず、そうすると白がPa7-a8=Sと戻した瞬間に黒の待ち手がない)それに、成を戻すのは明らかにh筋の方が簡単だ。前もってh筋の白Pを戻しておけば、その後a筋の白Pを戻す際の手待ちにも利用できそうだ。
 黒Bb2が何を取ったのかは現時点では不明だが、取り敢えずSを取ったものとして、逆算してみることにしよう。すると、具体的な手順は次のようになる。

1.Bc1xSb2+ Se2-c3 2-4.Ra5-a6 Sh8-g6-f4-e2 5-8.Ra6-a5 Ph4-h5-h6-h7-h8=S

(途中図1)
フォト

 ここまで白Pを戻すと、9.Ph5xSg4と黒Pg4が白Sを戻してくれる。この白Sを使ってc7を塞ぎにかかれば良さそうだ。

9.Ph5xSg4 Sb4-c2-e3-g4 12.Ra6-a5 Ph3-h4 13.Ra5-a6 Sa6-b4 14.Ph6-h5 Sc7-a6 15.Ra6-a5 Bb8-a7 16.Ra8-a6 Ba7-b8 17.Rb8-a8

(途中図2)
フォト

 h筋のPを双方とも1手ずつ手待ちに利用し、このあたりまでは予定通りに進む。特に紛れるところもないだろう。ここからが勝負どころだ。 焦ってすぐに17...Sa8-c7とやると18.Rb7-b8に対しPh2-h3と戻すしかなくなり、後で困る。よって、折角a8に入れる位置にいるが、白Sは一旦a6-b4と退却するしかない。
 本当はここで黒Rがb8ではなくb7に居て欲しいのだ。しかしこの狭い空間ではtempoを失うことは不可能。さて、どうしたらよいのだろうか?

17...Sa6-c7 18.Rb7-b8 Sb4-a6 19.Rc7-b7 Bb8-a7 20.Sa7-c8 Sa6-b4 21.Rc8-c7! Sc7-a6

(途中図3)
フォト

 黒Rはc7を再度白Sに任せて、8段目に出ていく。だが、ここでtempoを失ったとしても、黒Rが再度c7へ戻ることは不可能だ。しかも白は、22手目に虎の子のPh3も動かさざるを得なくなり、手待ちに使える手を失ってしまう。そこまでして一体何を狙っているのだろうか?その答えは、実に意外なものである。

22.Rg8-c8 Ph2-h3 23.Sc8-a7 Ba7-b8 24-26.Rc2-c3-g3-g8 Qc3-b2 27.Rb2-c2

(途中図4)
フォト

 この黒Rが狙っていたのはc7に戻ることではなく、遠くb2地点でピンされている白駒を解放することだったのだ!!それと同時に、最終手で黒Bに取られたのが白Qだったことも判明する。a8でunpromotionされる駒は白Sではなく、この白Qだったのだ!これでやっと、作者の目論見を全部暴いたことになる。

27...Bb8-a7 28.Sa7-c8 Qb4-c3 29.Sc8-a7 Qa5-b4 30.Sa7-c8 Qa6-a5
31.Sc8-a7 Qb7-a6 32.Sa7-c8 Qa8-b7 33.Sc8-a7 Pa7-a8=Q 34.Ph7-h6 Pa6-a7...

(途中図5)
フォト

 その後も白Qによるtempo moveが入っていて、最後まで楽しめる。実にスケールの大きい、見事な構成ではないか!


(33)Luigi Ceriani(La Genesi delle Posizioni 1961)
フォト
局面をほぐせ(11+15)
0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する