(31)Luigi Ceriani(Lamerav 02/02/1939)
何種類の1手詰があるか?(13+12)
なくなった駒は白がBSPの3枚で、黒はQRBPの4枚。すぐ分かる駒取りは、白側がd,g筋、黒側がb筋のいずれもPによるものだが、注意深く考えると、他に白Pb6,c6と黒Pf3,g3がそれぞれcross captureしていることが分かる。双方ともこれで駒取りは尽きている。よって、a筋の白Pとh筋の黒Pはいずれも成っていることが分かる。ではどちらを先に戻せばよいのだろうか?
見ると黒にはPb2を使った待ち手が存在するが、白にはない。従って、まずはa8での成を戻すのが先決だ。成を戻す駒は勿論Rc8しかない。しかし、焦って1.Se8-c7 Rc7-c8+ 2.Sc8-a7 Ba7-b8 3.Sg7-e8 Rb7-c7 4.Se8-g7 Rb8-b7 5.Sc7-e8 Ra8-b8とすると、ここで6.Pb3-b2とせざるを得なくなり、以下6...Bb8-a7 7.Pb4-b3 a7-a8=R 8.???となって、黒の手がなくなってしまう。やはり最短距離で戻すのは不可能なのだ。
(失敗図)
ということで、白Rはc8からa8に行くのにわざわざ右下を経由して大回りすることになる。途中、黒Bg1の形を作る必要があるので、その遮蔽駒として黒Sもf2まで行くことになる。
1.Rh8-c8 Sc8-a7 2.Ba7-b8 Sa6-c7 3-9.R-- Sf2-h3-g1-e2-c3-a2-b4-a6 10.R-- Bg1-h2 11.Rh1
(途中図1)
これで無事h2を通過させることができた。後は当初の予定通り、白Rをa8でunpromotionするだけだ。
11...Bh2-g1 12-19.R-- Sc7-a6-b4-a2-c3-e2-g1-h3-f2 20.Bb8-a7
Sa7-c8 21.R-- Sc8-a7 22.Ra8
(途中図2)
失敗図との差は、黒Pb2を使わずにこの局面を得たこと。これにより、無事Rのunpromotionに成功する。後はPa6xSb5と白Sを戻し、今度はこれを遮蔽駒としてf2に挟んで、黒Sをh1でunpromotionすればよい。
結局、出題図は黒番である。よって「何種類の1手詰があるか?」という問いに対する答えは「一つもない」ということになる。
本作では、所謂Ceriani schemeが2ヶ所設定されていた。同様の作例をもう一つ紹介しておこう。
(31-a)Luigi Ceriani(La Genesi delle Posizioni 1961)
局面をほぐせ(11+14)
(32)Luigi Ceriani(Israel Ring Tourney HAP 1959, 1st Prize)
局面をほぐせ(9+15)
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