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2015年09月15日22:41

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L.Cerianiレトロプロブレム傑作選(31)

(30)Luigi Ceriani(Europe Echecs 122 03/1969)
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局面をほぐせ(15+10)

 なくなった駒は白がPのみで、黒はQRRBPPの6枚。黒側の駒取りはb筋によるもののみで、白の駒取りはPg6,g7によるものが3枚。更に、黒のb,c筋のPのうち駒取りをしていないものは直進している筈なので、白のPb6,Pc6はcross captureをしなくてはならない。これで白の駒取りは5枚。またa筋の白Pが成っていることと、h筋の黒Pが直進途中で取られていることも明らかである。局面を見ると、a8でunpromotionするのは白Qa3しかなさそうだ。ではその線に沿って逆算してみよう。

 最初は1.Ba7-b8+ Pf2-f1=Sと戻す他ない。次に白は、黒の手を作るためにPg7で取りを戻すのだが、後でその駒をc7の遮蔽に利用することは目に見えている。だがそれだけなら、どの駒に戻しても大差なさそうだ。ここでは取り敢えずSに戻してみよう。すると、逆算手順は例えば以下のようなものになる。

1.Ba7-b8+ Pf2-f1=S 2.Pf6xSg7 Se8-g7+ 3.Qb2-a3 Pf3-f2 4.Qc3-b2 Pf4-f3 5.Qg3-c3 Sc7-e8 6.Qh4-g3 Sa6-c7 7.Qh7xPh4...

 以下、白Qをa8に送り込むと、次のような図が得られる。(Qc8の瞬間にh筋の黒Pを戻さなければならないことに注意)

(図1)
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 この後は、Pa7-a8=Q Ph6-h5 Pa6-a7 Sa7-c8 Pa5-a6 Sc8-a7 Bb8-a7 Pa6xQb5...と戻すことができる。これまでのものと比べ、余りに呆気なく成が戻せてしまうが、勿論この作者の作品がこれで正解の筈がない。では、どこがオカシイのだろうか?

(図2)
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 この後、Bb8-a7 Pa7-a6と戻した局面を良く観察してみよう。次の手はQa6-b5しかないが、ここで黒はPh7-h6とする他なく、以下Rb5-c5 Pc5-c4 Re4-b4 Pb4-b3と戻すと、もはや黒はretro-stalemateに陥っている!

(図3)
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 落ち着いて考えてみると、白Q周辺の膠着状態はRe4-b4の後にRb4-b5 Pb5-b6と戻すことでほぐせるようだ。しかし、この白の2手に対応する黒の2手を、一体どこで稼ぐことができるというのだろうか?
 消去法でいくと、それはf筋の黒P以外ではあり得ない。ということは、Qg3の瞬間のチェックをこの黒P以外で防ぐ必要があるのだが…。

 ここで黒Sの更なる有効利用に思いが至れば、ほぼ解決だ。つまり、このSをPの代わりにf4に挟み込めば、黒Pf2を動かさずに済み、先程のほぐし方ができ(勿論、g7でのuncaptureする駒種の非限定も解消され)、ようやく解けたことになる。


(31)Luigi Ceriani(Lamerav 02/02/1939)
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何種類の1手詰があるか?(13+12)
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