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2015年09月01日23:05

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L.Cerianiレトロプロブレム傑作選(29)

(28)Luigi Ceriani(La Genesi delle Posizioni 1961)
フォト
局面をほぐせ(12+14)

 なくなった駒は白がQRBPの4枚で、黒はQBの2枚。黒側の駒取りはb-e筋のPで尽きている。ということはf,g筋の黒Pは直進しているので、白Pf7,g6はcross captureしていることが分かる。白側の駒取りもこれで全部だ。

 序は1.Sc8-a7 Ba7-b8 2.Sb8-d7とする他ない。この後2...Sa8-c7 3.Sa6-b8としてみると、作者の主張が見えてくる。つまり、このままではSc7-a8と戻せないのだ。f8に寄らないといけないのだが、Bf8を移動する為にはRg7を動かし、更に白Kへのチェックを避ける遮蔽駒を入れる必要があるのだ。
 この遮蔽駒がSであることは当然としても、右上での手順は見た目ほど簡単ではない。まずRh8の形にしてg8にSを挟み込むのだが、白黒どちらのSを入れたらいいのだろうか?
遮蔽駒として使うとはいえ、これら2枚のSはいずれもa8でのunpromotionに必要な駒。ということは、右上は最終的にBh6,Rg7の形にする必要がある。実際にやってみればすぐに分かるが、g8に遮蔽駒を入れるだけでは無理で、Bを動かした後更に今度はf8に遮蔽駒を挟み込む必要がある。ここでf8に白Sを入れた場合、前述の形を得るまでこの白Sは動けないのだが、その間白の手はh筋のPを戻す2手しかない。しかし2手ではBh6-Rg7形は作れないので、この筋は成立しないことが分かった。つまり、g8に入れるのが白Sで、f8に入れるのが黒Sということになる。
 しかし、さっき分かったように、遮蔽駒として入っている間はピンされているので動けない。だが、代わりにh筋のPを戻さないといけなくなると、今度はa8で成を戻す際の待ち手が減ってしまうことになる。(h筋のPには、なるべく手を付けたくないのだ)
 ということで、白Sは一瞬g8に入るだけで、すぐに黒Sにその役目を譲りたい。そうする為には、白Sh6/黒Sd7という配置が必須であり、逆算手順は以下のようになる。

1.Sc8-a7 Ba7-b8 2.Sb8-d7 Sg4-e3-c2-b4-a6-c7 7.Rg8-g7 Sh6-g4 8.Rh8-g8 Ph3-h4 9.Sd7-b8

(途中図1)
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 これでSh6/Sd7となる。テンポのずれを調整するために1手だけh筋のPを使うが、ここまで予定通りだ。

9...Sg8-h6 10.Bg7-f8 Sh6-g8 11.Sf8-d7+

(途中図2)
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 この2.0手が狙いの手順。巧い具合にh筋のPの利用を最小限に抑えて、Bh6-Rg7形を得ることに成功した。後は当初の予定通りにa8でunpromotionするだけだ。

11...Sg4-h6 12.Bh6-g7 Se3-g4 13.Rg8-h8 Sc2-e3 14.Rg7-g8 Sb4-c2 15.Sf8-d7 Sa6-b4 16.Sd7-b8 Sc7-a6 17.Sb8-d7 Sa8-c7 18.Sa6-b8 Kf8-e8 19.Sc7-a6 Bb8-a7 20.Sa7-c8 Ph2-h3 21.Sc8-a7 Pa7-a8=S 22.Pd4-d3 Pa6-a7 23.Sa7-c8...

 同様の構想として、以下の作品を引用しておこう。

(28-a)Luigi Ceriani(La Genesi delle Posizioni 1961)
フォト
局面をほぐせ(10+15)


 (28)もそうだったが、これからしばらくの間、既に何度かお目にかかったBa7/Kd6という構図(私は勝手にこれをCeriani schemeと呼んでいる)を持つ作品を続けて出題することにしたい。基本的な構図は同じでも、そこからの展開はまさに多種多彩。Cerianiの豊かな発想力が満喫できる筈である。

(29)Luigi Ceriani(Europe Echecs 122 03/1969)
フォト
局面をほぐせ(12+13)
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