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2015年08月26日17:34

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お客様の卒業論文

笹舟倶楽部のオーナーはとなりの人間国宝ですが、無形文化財的なお客様が何人もいらっしゃいます。
その中のお一人 元ブルーグラス少女の卒業論文
御本人の了解をいただき○十年の時を経て一般公開


■ブルーグラス専門誌「ムーンシャイナー」に載りました。


ブルーグラス家族「永遠の絆」
−音楽文化のある家庭の父親像・日本におけるブルーグラス音楽界の親子の調査研究−
要約

 現代の日本社会では、家族の機能が大きく変化してきている。「父親不在」という点が問われてきているのである。父親の権威が喪失した家庭が増えてきている現在、父親の役割とは一体何かがわからなくなってきている。
 そんな中で、父親の存在が濃く見える集団があった。筆者が長年携わってきた、ブルーグラス音楽をしている集団である。ブルーグラス音楽とは、アメリカのアパラチア山脈の南部一帯で、イギリス系の移民がもたらした音楽をルーツとした民間伝承音楽から派生した、英系アメリカ民俗音楽である。やせた土地に暮らす貧しい彼らにとって生きる支えとなったものは、宗教と家族の結び付きであった。そんな歴史的背景を持った音楽が、戦後の日本に入ってきたのである。日本でのその知名度は低く、知る人ぞ知るといった形であったが、大学でのサークル活動を中心に、その輪は広がり、現在に至っている。
 その集団の活動がピークの時に大学生であった彼らも、今ではもう立派な親である。最近は子連れで活動に参加している。その主な活動は、ブルーグラス・フェスティバルと呼ばれるものである。それは、野外での音楽活動であり、今では全国各地で、主に春と夏の休みの期間に開催されている。典型的な形としては、キャンプ地でステージを作り、参加者はテントを張って夜通し楽器を弾くのである。そんな環境に連れて来られ、遊んでいる子供達を筆者が見たとき、その子供らしい明るさと礼儀正しさに、非行少年・少女は出てこないのではないかと感じたのである。現代社会で問題視されている事柄のいわば逆を感じたことから、その集団の親子関係を調査してみようと思ったのである。第三者が見ていてなつかしい感じのする集団の人間関係に作用するものは何かを客観的に考察しようというのが、この論文のねらいである。
1994年の夏に実施した、その集団の父親とその長子の質問紙法の結果から、仕事以外に打ち込めるものを持っている父親が子供へ与える影響と、父親が存在している家庭の子供の、親に対する考え方を導き出した。データからは普通とみられる特性の親子には、まず、音楽の持つ要素がからんでくる。演奏を通して、自己表現ができているのである。そして、ブルーグラス音楽界の父親には、実際の家族構成員の役割を認識するのに、演奏上での各楽器の役割が影響しているとの見解が、回答の結果とブルーグラス楽器の演奏上の特徴との比較により論じてある。子供には、野外活動での家事役割分担においてのしつけと訓練がなされていることが、論点の中心である。さらに、流行であるファミコンと、伝承音楽であるブルーグラスの比較も論じてある。
数ある音楽の中でも、歴史的背景として家族の結び付きがあり、フェスティバルという活動形態に特徴のあることが、ブルーグラスの親子関係を論じた理由である。


★順次公開予定 ナマ原稿は笹舟倶楽部で閲覧できます。

http://nishinomiya.areablog.jp/blog/1000061232/p11247994c.html

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